33話 マスターについて
モンスター館での騒動の後、ミアたちを迎えに遊園地に戻った。
「ゆうと、おかえり。おそかったね」
「ああ。ただいま。まあ、いろいろあってな」
「あれ、どうしたんですかユウト王子? さきほどより元気がないように見えるんですか」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
ユキ達をスライムまみれにしたことはだまっておこう。
「あいす、おなかへった。ばんごはんまだ?」
「王宮でお食事をご用意しております。ですので、帰るまでもう少しお待ちください」
「わかった。じゃあはやくかえろう」
ミアにせかされる形で、俺たちは急いで王宮に戻った。
夕食を食べ終わった後、みんなそれぞれ自由に時間を過ごしはじめた。
俺は今、部屋でゆったりとくつろいでいる。
そろそろ眠りにつこうかと考えていた時。
ーートントン
誰かがドアをノックした。
「おやすみ中に失礼します。アイスです。ユウト王子、今お時間よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ」
俺は急いでドアを開けた。
「こんばんは、アイス国王、何か御用でしょうか?」
「はい。以前舞踏会でお話ししたマスターのことについてです。舞踏会では話が途中で終わってしまったので、今からその続きを話そうと計画しています」
マスターというのは前国王のことだったな。
異世界転生者について知ることができる数少ないチャンスだし、逃すわけにはいかない。
「ぜひお話を聞かせてください」
「それではまず、マスターの部屋に案内いたします。話はそこで行いましょう」
「すごい本の量ですね」
「ここにはおよそ1万冊の本があります。マスターは毎朝3時間は必ず本を読み続けていました」
毎日3時間も本を読んでいたのか……
それなら部屋がほとんど図書館のようにもなっていても不思議じゃないな。
「マスターは読書が好きだったんですね」
「いえ、読書が好きというよりは、知識を得ることを目的に本を読んでおられました。特に、魔法に関することについてはより熱心に」
「魔法ですか……」
「マスターは『魔法があれば何でも作ることができる』という言葉を、口癖のように毎日おっしゃっていました。マスターはもとにいた世界ではなかなか自分が想像したものを作れなかったらしいです。ですが、ここに転生してからは、魔法をつかうことで自分が作りたかったものが作れたと言って、大変喜んでいるご様子でした」
「そうだったんですか。それにしても、魔法を使っていったい何を作りたかったんでしょうか?」
「回答。マスターの作りたかったものは、私のような人型AIロボットです」
「人型AIロボットですか」
「はい。マスターは人間とロボットが共に生活する世界に憧れを持っていたようです。……残念ながらその願いはかないませんでしたが」
「えっ? そんなことないと思いますけど。今日だってたくさん人がいたじゃないですか?」
「あの人たちはほとんど観光客なので、共存しているとは言えません」
「そ、そうですか。それでも今日一日観光してみて、俺はすごく楽しくて良い町だと思いました。なので住んでいる人も多いんじゃないかと思うんですが……」
「いえ、実はこの街なんですが、人間の住人はほとんどいないんです」
「人間の住人がいない?」
「はい。マスターが生きていた時代はそれなりに人がいたのですが、なくなってからはどんどん人が離れていってしまいました」
「え?どうしてそんなことに?」
「おそらく、新しい発明が出来ていないからかと思われます」
「新しい発明?」
「はい。この街にある設備や道具はすべてマスターが考案していました。しかし、マスターがいなくなってからは誰も考案する人がいなくなってしまい、街が発展が止まってしまいました。その結果、成長がない街に飽きてしまった人達は次から次へと別の国に行ってしまいました。そして今、このような状況になってしまいました」
「……そうですか。ちなみに、新しい発明をアイスさんが考案したりとかはできないんですか?」
「ロボットは新しいものを生み出す創造力を有していません。なので私には不可能です」
「そうですか……」
「はい」
「それじゃあ、この国は……」
「私が国王を続けていく限り、いずれ崩壊するでしょう」
発展した国だと思っていたが、まさかこんな危機的状況だったとは。
「ただ、一つだけこの問題を解決する方法があります」
「それってなんですか?」
「新しい人間のマスターをみつけ、その方に国王になってもらうことです」
「……新しいマスターですか」
「はい、マスターと同程度の創造力のある、素晴らしい人間に国王をやっていただければこの問題は解決します。なので私はいろんな国をめぐって、新しいマスターを探しています。しかし、なかなかふさわしい人は見つかっていない状況です」
「そうですか、見つかるといいですね」
まあ、異世界転生者と同程度の想像力がある人なんてめったにいないだろうな。
「以上がマスターに関する情報です。……話が長くなってしまいすみません。今日はもうお休みなさってください」
「分かりました。お話を聞かせてもらいありがとうございました。アイス国王、おやすみなさい」
「……おやすみなさい」
マスターとAICⅡについてくわしい話を聞いたあと、俺はしずかに部屋に戻った。
※次は明日の12時20分ごろに第34話を投稿します。
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