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2話 3人のメイド

 なんでこんなことになってしまったんだ。クソ親父から聞かされた衝撃の事実をいまだに受け入れられない。


 その後に分かったことだが、俺が暮らす予定だった街はずれの小さな宿屋がなぜかキャンセルされていた。代わりに国王が立派な庭付きの豪華な一軒家が用意していて、そこに住むようにと指示された。


 俺の心配をしているのか、それとも俺を監視するために住む場所まで制限しているのかはわからないが、とにかく俺に自由はほどんどあたえてもらえないらしい。


「そもそも一人暮らしをしたいっているのに、なんでメイドなんて雇うんだ……」


 宮殿にメイドは何百人といたからメイドのいる生活自体は慣れているが、俺の根暗な性格もあってか、どのメイドとも仲良くなることはなかった。


 気まずい新生活にしたくはないな。できればまともなメイドが来てほしいところだがどうなるだろうか……


 ピンポーン


 いろいろ考え事をしているうちに、新居のドアのチャイムが鳴った。


 正直めちゃくちゃ緊張する。いったいどんな子が来るのか。不安な気持ちを抱きながらドアを開いて、さっそくメイドの3人を招き入れた。





 メイドの荷物を整理した後、全員で自己紹介をすることになった。

 

 最初に挨拶をしたのはピンクの長い髪をした俺と同じくらいの年齢の女性。凛とした顔立ちでかなり美人である。


「初めまして。本日からユウト様のお世話係として配属された、ユキと申します。これからどうぞよろしくおねがいいたします。」


 一切どうようせず、淡々とていねいに自己紹介を済ませていた。


 次に挨拶をしたのは鎖骨くらいまで長さのある黒髪の女の子。年齢は俺より少し下くらいだろうか?二重の大きな目が印象的なとてもかわいらしい女の子だった。


「えっ、えーーと、あ、あまねって言います。あ、あの。よ、よろしくおねがいします……」


 ユキとは異なり、かなり緊張している様子だった。


 最後に挨拶をしたのは、茶髪の長い髪をリボンを使って二つ結びの髪形にしている狼の耳としっぽが生えた獣人の女性。初めて会った時からずっと笑顔を浮かべており、かなり明るいお姉さんという雰囲気を感じる。


「王子様やっほー。私ミーロンって言います。これからよろしくねーーー」


 ミーロンは明るく気楽に挨拶してくれた。


「それじゃあ最後に、サクマ・ユウトです。皆さんわざわざ来てもらってありがとうございます。これからよろしくお願いします。」


「こちらこそよろしくお願いします」


「よ、よろしくおねがいします……」


「よろしくーー」


 こうして顔合わせを終えて初日を終えた。





 翌朝、息苦しさで目が覚めると、何か柔らかいものが押しつけられていた。


 (……これはいったい?)


 視線を少し上げると、とてもあいらしいミーロンの寝顔があった。なるほど、どうやら俺はベットの毛布の中でミーロンに胸を押し当てられ抱きしめられてるっぽいな。状況確認も済んだしもうひと眠りするか。


 ……って、ちょっと待て。何だこの状況は?っていうか、早く離れないと……


 しかし、俺はミーロンのスイカのような大きな胸を押し付けられ声も出せない状態だった。


 まあ、ミーロンも寝てて起こすのもかわいそうだし、じたばたしても動けないからこのままでもいいか……


 しばらくこの幸せな時間を堪能しようとしたとき、俺の部屋のドアがノックされた。


「ユウト様、朝食が出来ましたのでそろそろ起きてください」


 やばい、ユキだ。何とかばれる前に逃げ出さないと。再び振りほどこうとしたとき、


「うーん、くすぐったーよおー」


「ミーロンの声? 中で一体何が……」


 ミーロンが声を出した直後にドアが開いた音がした。

 

 あっ、おわった。


「王子……」


 呆れたように俺のことを呼ぶユキの顔をしばらく見ることができなかった。




 その後、俺たちは気まずい雰囲気のなか4人そろって朝食を食べることになってしまった。、


「ごめんねー。王子。なんか部屋間違えちゃったみたいで……」


 この雰囲気をなんとかしようと、ミーロンが謝ってきた。


「別に大丈夫だよ。初日だし部屋を間違えるのは仕方ない。今度から気を付けて。」


「えへへー。わかった」


「以後気を付けてください。今回は見逃しますが、次回からこのようなことが発生した場合は国王に報告させていただきます」


「え!報告ってどういうこと?」


「ユウト様がおかしなことをした場合、きちんと報告をするよう国王陛下に義務づけられていまして」


「マジか……」


 あの親父余計な事を。


「ちなみに、国王陛下から伺ったのですが、ユウト様は冒険者になってみたいんですよね?」


「え?ああ、あれは一人暮らしするための嘘で」


「なるほど。それは問題ですね。さっそく国王陛下に……」


「あーーー。なりたいです! 是非冒険者になりたいです!」


「そうですか。それならよかったです。」


 そう言うと、昨日来てからずっと無表情だったユキが少しだけ微笑んだ。


「ユッキー、もうちょっと王子に優しくしようよー」


「これでも十分優しくしています。あと、ユッキーって呼ぶのやめてもらっていいですか?恥ずかしいので……」


 口論が続いている中、幸せそうに朝食のパンを食べているアマネちゃんの姿が目にうつった。


「アマネちゃん、パンおいしい?」


「っ……、は、はい。とてもおいしいです。」


「それは良かった。何か他にも食べたいものがあったら好きにリクエストしていいよ」


「あ、ありがとうございます!」


 他愛もないことを話して冒険者になることをうやむやにしようと思ったが、ユキにはそれは通じなかった。


「ユウト様、話はまだ済んでいませんよ」


「わ、分かってるよ。冒険者の話だっけ?」


「はい。それでユウト様に確認したいのですが、冒険者になるには冒険者学校に通う必要があることをご存じですか?」


「ああ、たしか最低限の知識と戦闘スキルを学ぶために行くんだっけ?」


「はい。ユウト様はすでに優秀な魔法やスキルを使えると思いますが、どんな方でもギルド管理者が設定した教育プログラムを受けないと冒険者にはなれないので、この学校に通ってもらうことになります」


「だろうな。まあ、めんどくさいが一人で学校に通うしかないか……」


「いえ、一人ではありませんよ?」


「え?」




「私たち3人も一緒に冒険者学校に通うので」

※次は20時10分ごろに第3話を投稿します。


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