12話 緊急招集
ランディアに街の案内してから数日が過ぎたとき、俺は親父に呼び出されて一人で王城に向かっていた。
「ユウト王子、お久しぶりです! メイドたちとの生活は楽しめていますか?」
俺に挨拶をしてくれたのは、門番長をしているストラだった。ストラは俺が小さいころから一緒に遊んでくれた数少ない年上の男友達だった。
「ストラ、久しぶり。一応今のところ何とかやっているよ」
久しぶりに会えて色々話したいことがあったが、今日はそれどころではない。
「そういえば、今日なんで俺が呼び出されたのか知ってたりする?」
「はい。実は先日の……、って、俺が言うより国王様に聞いた方が良いかと」
「そんなにやばいことなのか?」
「私の口からは何とも。あ! すみません。話し込んでしまって。もう国王様もお待ちでしょうし、急いで中にお入りください」
「ああ、分かった。また後でゆっくり話そう」
こうして俺は親父のもとへ向かうのだった。
俺は親父に挨拶をした後、さっそく何があったのかを聞いてみた。
「国王陛下、今日はいったい何の御用でしょうか?」
「うん。さっそくだが、お前には魔族を討伐してもらいたい」
「魔族ですか?」
「最近、近くの森でよく魔獣が出てくるのをお前もしってるだろ?」
ああ、あのケルベロスのことか……
「それで、森に調査隊を送って現地調査をさせたわかったんだけど、驚いたことに森の奥で魔王城が出来てたらしいんだよ」
「魔王城ですか……」
「魔族たちが好き放題暴れるだけだったら別にいいんだけど、洞窟とかの鉱石も勝手に占領しだしてるんだ。それをされると迷惑だから、今から君にやっつけてもらおうと思ってる」
「事情は分かりましたが、それは国王陛下が直接手を下せば解決するのではないでしょうか?」
「いや、今日はアイリーネとデートに行かなくちゃいけないから代わりにやっておいてよ。君ならできるでしょ?」
アイリーネは俺の母さんではなく、おそらく最近できた彼女の名前だろう。
親父は母さんと結婚した後も、いろんな女性と関係を持っていた。
母さんも内心怒っているはずだ。
それでも、親父は異世界転生をしてチート能力をもらった特別な存在。
母さんは自分一人が国王を独占するのは間違っていると思い、ぐっと我慢している。
そんなことを親父は知っているわけもなく、母さんの優しさに甘えて好き放題女遊びをやっている。
これだから俺はこいつのことが嫌いだった。
「分かりました。それで、敵の数はどれくらいなんでしょうか?」
「ざっと100体くらいかな。魔王はSランクくらいだけど他はBランクくらいのザコモンスターだし余裕でしょ?」
俺たちはEランクの冒険者なんだが?
「分かりました。それで、どのくらい人員を用意してくださるのでしょうか?」
「君がギルドで組んだパーティーだけで討伐してくれ。あ、門番長のあいつは連れてっていいぞ。お前と仲良かったよな。それで十分だよね?」
「……はい」
これは少し本気を出さないといけないかもな。
俺は王城を出た後、再びストラと話をすることにした。
「王子、大変なことを頼まれましたね……」
「ああ、ギルドメンバーとストラだけで魔族討伐をしなくちゃならないのは……」
「えっ?ちょ、ちょっと待ってください。今なんて言いましたか?」
「ん?ギルドメンバーとストラだけで魔族討伐……」
「私も魔族討伐に行くんですか!?」
「あれ?聞いてなかったの?」
「初耳です……」
あいつ、思い付きだけでストラまで巻き込んだか。
「そうだったのか。ごめん。今回は少し危険な任務だし、ストラは来なくても構わないぞ」
「いえ、少々驚きましたが、王子だけを危険な目にあわせるわけにはいきません。私も一緒に行きます。荷物運び程度であればお役に立てるかと」
「戦闘面でも期待してるぞ。仮にも俺に剣術を教えてくれた師匠なんだし」
こうして俺は、ストラを仲間に加えて魔王討伐への準備を始めたのだった。
※次は15時10分ごろに第13話を投稿します。
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