11話 オリジナル武器
店につくと、そこには年を取ったドワーフの老人がいた。
「いらっしゃい。おや、君は、、ユッキーじゃないか! 久しぶりじゃのー」
「お久しぶりです。タンゾウさん。あと、ユッキーって呼ぶのやめてもらっていいですか?」
ユキは以前あまねちゃんとミーロンと一緒にこの店に来て、タンゾウさんに武器を作ってもらったそうだ。
タンゾウさんはかなり腕利きの職人らしく評判もいい。
しかし、タンゾウさんの店はバザールが開催される日にしか店を開けていないので、知っている人は少ないらしい。
「それでユッキー、今日はどうしたんだい?」
「ですから、ハァ、もういいです。今日は私ではなく、この方にふさわしい武器を作ってください」
「この方? ……って、王子じゃありませんか!! なぜこんなところに?」
「……武器を買いに来たんだ」
「そ、そりゃそうじゃの。こりゃ失礼いたしました。フォフォフォ」
そういってタンゾウさんは高らかに笑った。
「笑ってないで、さっさと武器を作ってください」
「ユッキーは相変わらず厳しいのぉー。もっとミーロンちゃんみたいにニコニコして愛嬌を見せてほしいんじゃが」
ユキが今にも怒りだしそうだったので、俺が代わりに話をした。
「俺に良さそうな武器は何かありますか?」
「うーん。王子は今までどんな武器を使っていたんじゃ?」
「主に剣か杖ですね。他にも弓や大剣、槍や斧なんかも使ったことはあります」
大体の武器は子供のころから訓練で使い続けているから、よっぽどのものじゃないかぎりすぐに使えるはずだ。
「ほお、それはすごい……。魔法はどの属性が使えるのかな?」
「全部使えます」
「なんと!? それだと逆にどれを選べばいいか迷いますな。……そういえば、王子のように何でもできる人が前に1回来たことがあったな」
俺と同じってことはまさか。
「それって、以前国王様もここに来たことがあるんですか?」
「ああ、確か20年以上前じゃったかのぉ。たくさんの美女をお供に連れていて、めっちゃうらやましく思っとったんじゃ」
親父は昔もそんな感じだったのか。
「確か国王様には日本刀、お供の聖女様には白の杖を作ってあげたんだっけな」
たぶんその聖女様ってのは母さんのことだろうな。あと、とりあえず日本刀は武器の候補からは外しておくか。
「そうですね。魔法を使いながら剣を使えたり出来れば最高なんですが……」
「それならソード・ステッキなんてどうじゃ? 確か国王様も日本刀とソード・ステッキどっちにしようか悩んでいたかのぉ。いや、懐かしい。親子で武器の好みが似てくるもんなんじゃな」
親父の武器候補だったってのは気に入らないが、ソード・ステッキか……
「っていうか、ソード・ステッキってのはどういうものなんだ?」
「簡単に言えば魔法の杖に刀が仕込まれている武器じゃ。『仕込み杖』ともいうんじゃったかな?」
ソード・ステッキか。使い勝手はよくわからんが、何となく気に入ったしこれにするか。
「じゃあそのソード・ステッキを作ってもらっていいですか」
「よし。わかった。それじゃあいろいろ調べたいこともあるし、奥に来てもらってもいいかのぉ?」
「はい」
こうして俺は自分のオリジナル武器である、ソード・ステッキを作ってもらうことになった。
さらに、ソード・ステッキ以外にも遠距離攻撃が可能なサブ武器も作ってもらうことにしたが、それは完成までにしばらくかかるらしい。
2つの武器の完成が非常に楽しみだ。
その後、俺はミーロンたちと合流し、夕食を食べて屋敷に帰ろうとしていた時だった。
――――バサバサバサバサ
森の方から黒い鳥が大量に飛んできた。
「あんな鳥の群れ見たことありませんね」
「うん。なんかちょっと不気味」
この時、これがとんでもないことになる前触れだとは俺たちは気づかなかった。
※次は11時40分ごろに第12話を投稿します。
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