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10話 つかの間の休息

「ユ、ユウト王子、お、おはようございます。もう朝になりますよ。起きてください」


 今日はあまねちゃんが俺を起こしに来たか。


 なら、やることは決まっている。二度寝だ。


「……分かった。あと30分したら起きる」


「だ、だめですよー! もう他の皆さんは起きてますよ。あとはユウト王子だけです!」


「もう少しだけ……」


「朝ごはんも冷めちゃいますよ。一緒に朝ごはん食べましょうよ!」


「それは大変だね、……うーん。どうしようかな」


――――ガバッ


 俺があまねちゃんの優しさに甘えていると、ユキが不機嫌そうな顔をしながら俺の毛布を引っぺがした。


「起きてください。それと、私以外のメイドに迷惑をかけるのやめてもらっていいですか?」


「……分かりました」


 こうして俺の一日が始まった。

 





 朝食を食べ終え、俺はさっそくランディアと話をした。


「ランディア、嫌じゃなかったらでいいんだけど、きのう俺たちが来る前に何があったか教えてもらってもいいかな?」


「はい。全然大丈夫ですよ。何でも聞いてください」


「ありがとう。それじゃあ最初に、あの森にはいつからいたのかな?」


「えーと、おとといの夜からあの森にいました」


「おとといの夜からか。あの森の中で長期のクエストでもやっていたのか?」


「いえ、違います。そもそも私は冒険者登録していませんし」


「え? じゃあなんであの森に?」


「えーと、言いにくいんですが、実は私……家出してきたんです」


「家出?」


「はい、私はエルフの村というところに住んでいたんですが、おととい親が無理やり好きでもない相手と婚約させようとしてきたんです。それが私はすごく嫌で逃げ出しました。その後、あてもなくただ走って逃げ続けていたらあのケルベロスに遭遇してしまい、応戦したのですが負けてしまって。あとはご存じのように、食べられそうになったところをユウトさんたちに助けていただいたんです」


「なるほど。エルフの里から逃げ出した後、偶然あいつとあってしまったってことか」


「そうですね」


 そのあとも話を聞き続けたが、結局ケルベロスがなんであそこにいたのかはわからなかった。





 俺が質問し終わったタイミングでミーロンが俺にこっそり話しかけてきた。


「ねえ、ユウくん。昨日ランちゃんに聞いたんだけど、ランちゃん泊るところがないんだって。だからさ、しばらくうちにお泊りさせてあげようよ!」


「ん?ああ、別にいいぞ。部屋もたくさん空いているし。好きに使ってくれていいぞ」


「やった! さっすが私の王子様♪」


―――ッ


 そういってミーロンは俺に抱きついてきた後、ランディアにここに住んでもらうよう提案した。


「いえ、そこまでしていただくわけには……」


「別に大丈夫だよ! 部屋もいっぱい空いてるし!」


 その言葉を聞いて、アンリも反応してきた。


「それホント? だったら私もここに住みたい! ミーロン、私も住んでいい?」


「うん。いいよ。みんな一緒でたのしそうだし」


 おい。アンリには許可してないぞ。まあ、俺は別に構わないが問題は……、


 ちらっとユキの方を見ると、ほっぺたを膨らませて俺のことをにらんでいた。


 やっぱりライバルと住むのは嫌だったかな?


「そーだ。ユウくん! 今日はランちゃんに街を案内してあげようよ! ちょうど今日は月に1度のバザールが開催されてるし、行ってみようよ」


 バザールはこの街では誰でも知ってる有名なイベントである。


 普段は食べられない料理をあじわえたり、かなり貴重な武器や装備品を安価で手に入れることができる。


「そうだな。俺も自分の武器が欲しかったし、みんなで行ってみるか」


 早速俺たちは街へと出かけに行った。






 街はイベントだけあって、かなり大賑わいだった。


 初めて見るおいしそうな料理がいろんな店に並んでおり、いい香りが漂っている。


 初めてここにきたランディアもそうだが、他のみんなもテンションが上がっているように見えた。


「うわー! アレすっごくおいしそう! 行ってみようランちゃん!」


「う、うん!」


「ユウくん、ユッキー、あまねる、アンリンもーーー」


「は、はい。今行きます!」


「ちょっと待ちなさいよーー」


 ミーロン達はランディアを連れて店に入っていった。


「ユウト様も行かれますか?」


「いや、俺は武器を探しに行こうと思う。ユキもみんなと一緒に行動してもらっていいぞ。後で合流しよう」


 俺がそういうと、ユキはしばらく考え込み、少し照れながら俺にある提案をしてきた。


「そ、それでしたら、以前私の武器を作って頂いたお店が近くにあって。あの、その、よろしければそこにご案内しますが、いかがいたしましょう?」


「それはありがたいけど、本当にいいのか?」


「問題ありません!大丈夫です!」


「ありがとう。それじゃあ案内してくれるか?」


「ッ! はい! かしこまりました♪」


 朝から不機嫌そうだったユキが少しだけ微笑んだ。


 ユキも俺と同じで、自分の新しい武器を探すのを楽しみにしていたんだろうな。


 俺はそう思いながらユキのおすすめの武器屋へと向かった。


※次は明日の8時10分ごろに第11話を投稿します。


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