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5 セレナ、自分の運命を悟る

『ふひぃーーーーーーーー


どう?静かになった?』




どうしてこうなった。


私はどこで選択を間違えたんだ?


むしゃくしゃしてやったでは済まないレベルの被害が出ている。


『ねーねー』


天然?天然なのか?




あ、上にいる人と目が合った。


魔王城の人だろうか?


こんにちわー


ユニークスキル「人見知り」を発動


突如としてできた穴におっかなびっくり下を覗いている。


とうぜんだわな


あ、私じゃないですよ。


この隣のやつがやりました。はい。




私が黄昏ていると、隣でまたのんきな声が発せられる。


『ん-、なんか上が騒がしいね。ちょっと行ってみるか。』


いや、そりゃいきなり建物が半壊したら騒がしくなるでしょ。


...ん?行ってみるって言った?


そう言うと黒竜は前足を器用に使って私を背中に乗せた。


嫌な予感がする。




そして空を飛んだ。


お、落ちるぅぅぅぅ




...って事もなさげ?


黒竜の背中は意外と快適だった。


ちらほらと落ちてくる瓦礫が私に当たらないよう丁寧に避けてくれている。


大胆なリフォームによって新しく実装された穴を通り抜け、あっという間に最上階にたどり着く。


それにしても、なかなか風通しの良い職場になったんじゃないかな。


うん、両方の意味で




最上階は謁見の間みたいな大きな広間になっていて、そこに複数人の人影を発見。


大きな盾を構え、重厚な鎧に身を包んだ騎士


ローブを羽織り、杖を持った魔法職の男


そして白い祭服に身を包んだ女性


テンプレに則って考えると勇者パーティってところかな?


「な、なんなんだ今の。勇者と魔王が一瞬にして、、」


魔法職らしき男がそう呟きながら震えている。


あのーすいません


恐る恐る声を掛けると、彼らは見てはいけないものを見てしまったかのように逃げ出した


ちょっと、私も化け物扱いされてるんですけどー


こんなにもぷりてぃな見た目をしているのに心外だ。


まーでも要は魔王と勇者は突然現れた謎の光線によって吹き飛ばされたってことだよね


なるほどねー


不可解なこともあるもんだ




そこに執事のような服に身を包んだ男が慌てた様子でやってきた。


白いひげと長い髪を丁寧に整えたいかにも「じいや」って感じの人だ。


そのやさしさの漂う顔からはどこか貫禄も感じられる。


頭に角を生やしているから魔族とかそのあたりかな?


「魔王様は…?」


でもそんなしっかりした感じの人でも困惑を隠しきれないようで、さっきまで戦場になってたらしき広間にぽっかり空いた巨大な穴と黒竜をみて硬直していた。


『吹き飛んだよー』


ちょ、そこ即答しない。


魔王補佐(仮)は崩れ落ちた———


まー、仕方ないよね。


自分が忠誠を誓っていた主人が、うるさかったからっていう理由で消し飛ばされたんだから


—かと思うと決意したかのように尋ねてきた。


立ち直り早ない?


「あの黒竜はあなた様が使役しているのですか?」


「まぁ、使役しているっていうか契約を結んでいるだけだけど…」


がばっ


私がそれを言った瞬間にじいや(仮)さんは私の前に跪く。


あ、このパターンは面倒ごとになるタイプ


「私、前魔王補佐セバスはあなた様を次期魔王として仕えることをここに宣言いたします。」


なんか私魔王になるっぽい。


ーーー


え、な、なんで私が?


そう混乱していると、セバスはすぐに説明を始めた。


困惑しているうちに自己紹介されたのだがこのおじいさんはセバスというらしい。


なんというか…らしい名前だ。


「魔王軍は実力主義であり、魔王様が代替わりする際にはその時点で一番強いものが魔王になると決まっているのです。


黒竜様単体であればまた別でしょうが、今は貴方様が黒竜様を使役しているとのこと。世界有数の強者たる黒竜様を従える貴方こそが魔王にふさわしいと誰もが認めるでしょう。」


そういうことねー


って納得できるか!


こんな大国を治めるのはさすがに私でも荷が重すぎる。


私ってば幼女よ?前世分を含めてもただの小娘でしかない私にそんなことが出来るわけ無いんですけど。


でも、セバスさんは見た感じめっちゃ乗り気な感じだし…うーん、どうやってこの場を治めようか。




すると耳を疑うような言葉が黒竜から発せられる。


『僕はいいと思うけどなぁ』


え?


『行く当てもなかったんだし、一発なってみたら?』


そんなバイトするみたいなノリで魔王になってたまるか。


そんな黒竜に私は反論する。


「それなら私よりも黒竜のほうが魔王に適任なんじゃないの?」


『いや、僕は一応世界のことわりを保つものとして魔王になるのは少し慮られる。


魔王領に住む者たちの命を預かるわけだし、理を保つためといって力を抜くのはやってはいけないことだと思う。


一方、君が魔王になるのであれば直接的でもないし賛成するよ。』


うーん、命を預かるうえで手加減するのはいけないだとか印象にそぐわないど正論で返してきた。理とかなんだとかの話は良く分からないけど、コイツの態度的には結構ガチな話っぽい。


でもまぁ、確かに魔王になってみたらっていう黒竜の意見にも一理ある。


この問題児である黒竜と契約を結んだ時点で色々な面倒ごとに巻き込まれるのは確定しているんだ。


せっかくの異世界ライフ。


ラノベの主人公みたいに魔王になってみるのもいいのかもしれない。




うーん…いいのか?


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