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10 セレナ、魔王領のあれこれを学ぶ

私はセバスに連れられて執務室とやらに向かっていた。


というのも、


「それでは一旦落ち着いたようですし、執務室にまいりますか」


そうゴーレムに夢中になっていた私にセバスが切り出してくれたからだった。


執務室かぁ


まぁ、国のトップである魔王なんだからそういう部屋があるのは当然かもしれないけど


執務室があるってだけで、なんだか仕事ができる人っていう感じがするなぁ




執務室は謁見の間の隣にあった。


中央に重厚感漂うテーブルが設置されていて、壁の本棚には様々な書類がぎっしりと詰まれている。


その中でもひときわ目を引いたのは中央のテーブルに置かれている模型だ。


大きな本の上に縮小サイズの街、いや国が展開されている。


山や川、街、そして城などが本物と見間違うほど精巧に作りこまれている。


ん?これ魔王城?


ってことはこれは魔王領のジオラマかな?


「さようでございます。触れてごらんになられてください」


触れてみる?


いいのかな?


そう思って触れてみると


ー魔王軍統治機能が追加されました。以降「編集」と唱えていただければ、どこででも編集が可能です。


ー編集を開始します。


そんな機械的な声とともに目の前に様々なオプションが表示される。


城壁(10m) 100MP


見張り台 150MP


ん?


MPってなんだ?


ー魔王ポイントです


そのままだな。


ー魔王ポイントは魔王レベルに応じて一日に一回追加されます。


いや、またなにか分からない言葉きた


分からない言葉調べたらまた分からない言葉が出てきて永遠に理解できないやつじゃないのこれ?


魔王レベルって何?


ー魔王レベルは魔王領の発展度、つまるところ魔王領への貢献度をもとに測られる数値です。(Max.100)


ー魔王領の発展度は、戦力、防御力、民の満足度など様々な基準をもとにして計算されます。


へぇー


なんだかゲームみたいだ。




今の私の魔王レベルはいくつぐらいなんだろう?


そう思ってさっきからぴかぴか光っている魔王レベルという表記をタップしてみる。


*****

おめでとうございます。


魔王レベルが50に到達しました。


以下のものが建築可能になりました。


・村セット


5、10、20、30、40、50レベル到達を記念して1,550,000 MPを追加します。


デイリーボーナスで50,000MPを追加します。


戦力がカンストしました。

*****




...へ?


レ、レベル50?


ど、どういうことだ?


建築可能になったものに関しても、表記上では村セットっていう一つのくくりにされているだけで、展開してみるととてつもなく長い設備のリストが出てきた。


最初は「村セット」だけってちょっとしょぼくない?とか思った自分を許して欲しい


しかし、突然の事実に困惑する。


え、私何かしたっけ?


そう自分の行動を思い返しているとふと何かに気づく。


あ、そういえば魔王レベルを測る基準の一つに戦力ってあった気がする。


そしてさっきの戦力がカンストしましたっていう表記。


...黒竜か!


ここにきて黒竜のイレギュラーさが火を吹いている。


これはゲームデザイナーもびっくりの展開なのではないだろうか?




私が驚いているとセバスが声を掛けてきた。


「その模型の使い方はご覧になられたでしょうか?」


「う、うん分かったけど...」


「どうかなされましたか?」


「いや、なんかその魔王レベルが一気に50に上がったみたいで...黒竜のおかげで」


「なんと。歴代の魔王様は最初のレベル上げに苦労成されていましたが、その心配が内容で安心しました。いやはや、黒竜様はやはり規格外のお方だ。」


『いやぁーそれほどでも』


黒竜は照れたそぶりを見せる。


うん、黒竜のおかげなのは事実なんだけどね。


なぜかそれを口にするのに抵抗がある。


「それなら、様々な物が建築可能になったのではないのでしょうか?」


「うん。そうみたい。」


「聞いた話によると、魔王レベルが上がった際に設営できるようになるものは人によって異なるみたいですよ。


歴代の魔王様がそれぞれ自分色の都市に染め上げていました。」


そうなのか。


私の街はどんな感じになるんだろう?


私が建築可能になったものにあまりこれと言った特徴は見られない。


すべて建築したとしても、いたって普通の村ができるような気がする。


今後、この世界にないものも日本での記憶を頼りに作れるようになったりするのだろうか?




私がそんなことを考えていると、セバスのトーンが少し真剣なものへと変わる。


「建築方法などに関してはひと段落したみたいなので、私からは現在の魔王領の状況をお話します。


先程勇者が魔王城に到達していたことからもお分かりになる通り現在魔王領は存続の危機に瀕しています。


人間界では数百年に一度勇者の加護を得たものが生まれるみたいなのですが、魔王様はその勇者と戦う運命となっています。


セレナ様と対峙する次の勇者が現れるまでに、魔王領を強固な守りで固めなければなりません。


ちなみに、魔族の者の寿命はとても長いのですが、セレナ様のような人間の方は寿命が短いのも存じ上げております。


ですが、それに関してはご心配なく。魔王に就任された際に寿命が魔族並みに伸びているはずですので。」


そういうことか。


魔王はその数百年ほどを掛けて防衛のしくみをつくるのね。


っていうかいつの間にか寿命伸びてたのか私。


え、寿命伸びるなんてすごくない?


このためだけに魔王になる人もいそうなぐらいだけど。


セバスは続ける。


「魔王領には四天王と呼ばれるものが存在します。


その四天王を全員倒して初めて勇者は魔王様を実際に消滅させることができます。


先程勇者が魔王城にたどり着いていたことからもわかる通り、現在四天王はいません。


四天王は魔王様が魂を分けて生成する事となっています。


なのでセレナ様はこれから領地の方向性を決めるとともに、四天王を生成しなければなりません。」


一度に凄い情報の波が押し寄せてくる。


うーん、自分はそこまで戦いが好きなわけじゃない。


まぁ、これに関してはぼちぼち決めていこう。




そんなこんなでもう夜だ。


フェルが作ってくれた夕食を黒竜と一緒のテーブルで食べる。


黒竜は食べても食べなくてもいいらしいが、食べながら話したりするのは好きらしいので一緒に夜食を取る。


ここでの食事は煮たり焼いたりが主流だ。


だから日本にいたときみたいに繊細な味のする食べ物とかは食べられない。


今日の夕食も何かの肉を焼いただけのものだ。


だけど暫くの間碌に食べていなかったからか、気づいたころにはすべて食べ終わっていた。


この食糧問題もいつかは解決したい。




私は寝巻に着替えた後、自室であるという広々とした部屋に通される。


ここも魔王らしく黒を基調とした家具で統一されていて、中心には大きなベットが置かれている。


寝かしつけますというフェルに精一杯の抵抗をし、一人でベットに入る。


私はすぐに深い眠りについていた。

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