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1 プロローグ

新連載です。

がたがたがたがた


小刻みな振動に小さな体が弾む


もう何時間ぐらいたっただろうか


そんなことを考えながら、また次いつ来るかわからない大きな衝撃に構える



がったん


ほら、やっぱり


もうそろそろ、次の大きな衝撃が来そうな気がしたんだよなー


そんな現実逃避にもいつかは限界が来る


いい加減、お尻が限界なんですけどー




セレナ、7歳(心は18)


絶賛拉致られ中です。


ーーー


私、一ノ瀬かえではきわめて普通の女子高生だった。


ただ他の人に比べて少しだけ一人の時間を大切にしてるだけであって。


世間的にはそれを陰キャと呼ぶらしいが、そんなことは知らない。


っていうか、開き直ってすらいる。


陰キャって、誉め言葉ですよね?


日本のサブカルに準する、繊細で孤高な心をお持ちの素敵な方っていう。


そんな私は例にもれず帰宅部のエースだ。


終業のベルがなるころにはすべての荷物をカバンにしまい終わっている。


本当はドアの前でクラウチングスタートを決めたいぐらいだが、それは帰宅部としての道理に反する。


終業のベルが鳴る前に帰ってしまわないのも、当然かもしれないが帰宅部のそれだ。


一度、転校生がショートホームルームの存在を知らずに、終業のベルが鳴る前に帰るという事件があった際には心がざわついたがそれはまた別の話。


超えてはいけない一線はわきまえているつもりである。




今日も長い学校での一日が終わり、ショートホームルームでの先生の話はどこ吹く風


そそくさと荷物をまとめる


それを高3の今となっては気にするものは一人もいない。


外のコンディションを確認すると、朝の快晴が嘘のように大雨が降っていた。


普通の人なら帰るのを躊躇するとこなのかもしれないが、私はこんなことで迷ったりしない。


大雨のフィールドは人通りが少ないために、アウェイというよりもむしろホームだ。


折り畳み傘は持った。


壁掛け時計の秒針を確認し、チャイムがなるまでのカウントダウンを始める。


3、2、1、、、


きーーんこーーn



私は教室の裏口から外に出た。


ーーー


3年生になると教室が一階なのは本当にありがたい。


折り畳み傘を盾にしながら、雨の中を突き進む。


雨が傘を激しく打ち付けるのが持ち手伝いに伝わってくる。


水たまりを躊躇なく踏みしめたことで、靴の中に水がしみ込んでくるがそんなことはお構いなしだ。


風の抵抗を一身に受けながら走り抜ける。


私は家の近くの高校に通っているため、家までは約十分ほど走り続けなければいけない。


走りながら考えるのは家で何をするかだ。


平日の家での時間は睡眠時間を加味すると意外と短い。


一時も無駄にできない為、今から明確なスケジュールを立てる。


あ、そういえば今日の18時にあの小説の更新あったよね?


年単位で更新がなかったお気に入りの小説の更新が先週からまた始まったのだ。


これほど嬉しいことはない。


そんなことに思いを馳せて走っていると不意にあたりが明るくなり、騒音が鳴り響いた。


ゴロゴロ


わお、雷。


これはちょっと急がないといけないかもしれない。




走る。走る。無心で走る。


自分結構速く走れてるんじゃない?


体にぶつかる風がそう錯覚させる。


自分はもともとそこまで雷とかが得意なわけではない。


家の中にいると大丈夫だけど、外にいるとなかなか怖い。


青白い光が視界を埋めつくす度に心臓が縮みあがり、動悸が早くなる。


でも同時に雷によるスリルもあってか、びしょびしょになりながら一心不乱に走る自分を想像するとなぜか笑えてくる。




常時私は一秒でも早く家に帰るために、角はインナーコースを攻める。


十字路の曲がり角も、壁にぶつかるかぶつからないかのスレスレを通る。


だが、これが良くなかったのかもしれない。



どごおぉぉぉぉん



きわきわを通った街灯に雷が落ちた。


あ、これ死ぬわ


私の意識はそこで途絶えた。




ーーー




ん...?


ここはどこだ?


薄目を開けるとまぶしい光が目を焼く。


死後の世界...とか?


まさか、ね...


ラノベだとここで女神様とかがチートスキルを授けてくれる訳だけど。


あー、転生フラグ立ててくるの忘れた


しまった


いきなりすぎてそこまで頭がまわらなかった。




目の痛みが治まると同時に目を開けてみる。


するとまず目に入ったのは精密な模様の凝らされた天蓋。


そしてそのレース越しには、品格漂う白い壁とシャンデリアが見受けられる。


ん??


あれ魂だけの存在にしてはえらく体が重いな


なんかもっとふわふわーみたいな感じをイメージしてたんですけど


そんな私の重力はちょうどいい柔らかさのマットによって受け止められている。


滑らかな生地に沈み、包まれているような感触はえらく心地いい。


体を少しかがめてみると部屋が一望できた。


大部屋のようなサイズの部屋に、質の良い調度品が並んでいる。


そしてそうすると必然的に自分の体も視野に入る。


自分の意志で動く、成熟過程の幼稚な四肢を見て分かった。




あ、これ転生したわ。

巡り巡って筆を執ることにしました。楽しんでいただけたら幸いです。30話程執筆済みですので暫くは一日一更新で続けていきたいと思います。

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