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黄泉から帰る

作者: 古新野まーち

上様

 何度も黄泉から帰る身分の都合、妻に次に会うときは何がほしいかLINEでもメールでもしてくれと言うと貴方はセンスが無いから何も望まないときた。




 黄泉で手に入るものは意外と多い。丸薬、古着、小銭、骨飾り、多年枯草、ワーム糖、知恵結晶、餓鬼型ダストボックス、等。


 センスがどこで磨かれるのかというのは、老若男女問わずの疑問であることは承知の上であえて言うならたしかに私にはセンスがない、ないというか奪われたというか、どうも固定固着沼の底の汚れた岩の苔の清掃を請け負う業者というものがいたとすれば、それは私のことであって。




 失礼。取り乱した。




 黄泉からここに来るとどうも思考が枠のなかに収まらない。若年、枠にとらわれないことを是としたものだが枠のないとは用の成さない桶に似ている。否、それでよいのかもしれぬ。黄泉の者が此岸にて大成、これほど不公平極まることはない、二度目の人生で成功者というのが隣にいてみろ私なら殺してしまう。黄泉送りだ馬鹿野郎、野郎自大も甚だし差別的な輩を粉砕するのは豚餌業者とかわらぬ事業である故に。




 失礼。取り乱した。




 何も望まない、とは修辞である。なぜなら妻のことはよく知っているからだ。健康美容の気になる歳だ。


 脂渇塩、顔変軟膏、グールコサミン、辺りを購入。ここでは人命を支払うことになっている。




 こちら領収書となっており、受け取られた方は妻のために諦めていただくと幸い。

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