第42話 研究室にいる間も私のこと
2019/03/20 改稿しました
タン、タン、タン……
梯子を登ってくる足音が耳に届くと、ライマは勢いよく跳ね起きた。
そしてじっと隠し扉のある書斎を見つめる。
床の隠し扉からラフォラエルの手がにょきっと伸びた。
ライマの顔がぱあっと晴れると同時に、のそのそとラフォラエルが姿を現した。
「〜ん〜ッ! もう朝かぁ〜!」
「ラフォー! おはよう! 終わったの?」
ライマはすぐさま駆け寄った。
「おー♪ 終わったよー」
そう言って笑うラフォラエルは、完徹したのだろう、少し疲れた顔をしていた。
「俺、頑張ったぁ♪」
ラフォラエルはそう言うと手を伸ばしてライマを抱きしめた。
「ん♪」
ライマは慌てることなく自分から身を寄せて彼の体に両手を回した。
きゅー、っとお互いに引き寄せ合う。
同じ家の中で、たった丸一日離れていただけなのに、まるで数年ぶりに会ったかのような離れがたさを感じていた。
ラフォラエルがライマの頭をあやすように撫でる。
「俺、朝になって船の時間が来たらライマが勝手に帰っちゃうんじゃないかって不安で。 絶対朝までには全部終わらせようって思ってたから。 だから戻ってくるの遅くなってゴメンな」
それを聞いたライマは首を横に振る。
「研究室にいる間も私のこと考えてくれたの?」
「当然。 ライマは?」
「ずーっとラフォーの事考えてた」
「本当に?」
「うん」
そして二人は見つめ合い、朝には不似合いなほどの濃厚なキスを交わす。
唇を求め合いながらラフォラエルが呟く。
「ダメだ。 好きすぎておかしくなりそうだ。 キスをすればするほどライマが愛しい。 もっと好きになる。 気が狂いそうなくらい」
「私も……もっとこうしてたい……ずっと一緒にいたい……」
「いいよ。 一緒にいよう。 こうしてよう」
二人はキスをしながらゆっくりと書斎を出て寝室へ移動する。
ベットの側まで来るとラフォラエルが唇を離して言った。
「でも、シャワー浴びてきていい?」
ライマが少しだけつまらなさそうな顔をする。
「じゃあ、一緒に浴びる?」
ライマは真っ赤になって首を横に振る。
「ふふ。 じゃあ待ってて」
ラフォラエルはライマの瞼にキスをして離れる。
部屋を出て行こうとする彼の背中を見つめるのが嫌で、ライマは意味もなく部屋の中をうろうろして――あるものを見つけた。