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第26話 ラフォラエルの過去1


【注意!】


26、27話には一部、性的迫害及び残酷な描写が含まれます。 

2019/3/20 改稿しました。

 両親が事故で死んだ後、俺と姉ちゃんが預けられたのは、町の小さな孤児院だった。

 だけどそこは12才までしかいられなかったから、3つ年上の姉ちゃんは別の施設に行かされることになって。

 離ればなれは嫌だって、俺、泣いてばかりいた。

 そんなとき、ドノマンから養子縁組みの話がきた。

 施設で受けた俺の知能テストが異常に高い成績だったから、ヤツの目にとまった。

 ヤツは言った。

 二人ともワシの子供になれば、ずっと一緒にいられるし、最高の教育も受けさせてあげるよ、と。

 願ってもない申し出だった。 ドノマンは人格者として社会では通っているから、施設の人達も大賛成だった。だからあっさりと養子縁組を組んだ。

 確かにドノマンの家は最高だった。 広いし綺麗だし、きちんと3食食べられるし。

 沢山の孤児がいるから男子寮、女子寮という感じで部屋は別れていたけど、姉ちゃんに会いたくなったらいつでも会えたし。 


 俺は学校に通わせて貰い、1学期で基本修了課程をクリアした。

 だから特別に家庭教師がついた。

 ライマじゃないけど勉強は好きだったから、そして望めばどんな高度な事も学ばせてもらったから俺はあっという間に医師免許を取得した。

 次に、好きな研究をしていいぞと言われて、俺専用の実験室を貰った。 俺は研究に没頭し、何個か論文を書いた。

 俺が各分野の研究を進めて論文を書く度に、ドノマンがとても喜んでいくのが分かった。

 俺の書いた論文の何個かが、ドノマンの名前で発表されたけど、別にどうだって良かった。

 好きな研究が出来ていれば幸せだった。 姉ちゃんと一緒に暮らしていけるのなら、ドノマンが俺の代わりに名声を手にしても何とも思わなかった。


 そして、俺の15才の誕生日。

 ドノマンが変な笑いを浮かべて、今回の誕生日はお前にとって特別な日にしてやろう、と言ってきた。

 今日はお前が一人前の男になる日だと。

 俺はなにも疑わず素直にドノマンの後をついて、屋敷の中で唯一、立ち入り禁止だった区域に行った。

 天井まで届くような重厚な扉があって、その前に立った時、奴はこの部屋がワシからのプレゼントだと言った。


 そこが、ハーレムだった。






 ドノマンに促され、扉を開けて中に入ると、そこには沢山の女の子――俺と一緒に屋敷に引き取られていたみんな――が、裸で待っていた。

 背後で扉が閉じ、ガチャリと大きな音をを立てて鍵が閉まった。

 驚く俺を見てドノマンは満足そうに笑った。

 一人だけ、みんなの背後で隠れるようにしていた女性が、両脇を掴まれて前に引きずり出された。

 それは、姉ちゃんだった。

 ドノマンは姉ちゃんに、命令した。

 言うことをきけ、って。


 姉ちゃんは嫌だと言った。

 ドノマンの機嫌が一瞬で悪くなった。


 ヤツは懐から銃を取り出して、姉ちゃんの頭に当て、命令が聞けないヤツはこうだ、と言って発砲した。


 姉ちゃんは……その場で死んで、

 俺はその場で無理矢理…

 そして現実に慣れるまで、ずっとそのハーレムに閉じこめられた。



 


 やがて、俺がそのハーレムを利用しないと、俺のハーレムにいた女の子達が”使えないヤツ”と烙印を押されて拷問されたり、売られたりすることを知った。 

 だから俺は何も考えずにそこを使うしかなかった。



 俺がハーレムを利用してからはドノマンの機嫌は良くなった。

 ヤツは、男は女を与えてさえいれば満足するだろうという考えだった。

 性的欲求さえ満たしてやれば、自分に逆らわないだろうと。

 そんなこと、俺はどうでもよかった。

 ただ研究がしたかった。

 だからさっさとハーレムを利用して、後の時間は研究に没頭した。

 研究が成果をあげて、ドノマンの名で発表している論文が認められていくのと比例してドノマンはもっと上機嫌になった。

 奴はハーレムを与えているから不満は無いと信じきっていた。

 ああ、不満は無かったさ。

 未来に希望も無いのに。

 何の期待も持っていない人間に、不満なんてあるはずないじゃないか。

 俺は何も感じないようにしながら、ハーレムと研究室の往復の日々を送ってた……。







 ラフォラエルが言葉を止めた。

 ライマは彼が告げた、あまりのおぞましい内容に青くなった。

 そして、思った。

 ならなぜ、今ここにラフォラエルはいるのかと。

 本土での研究や、ハーレムはどうしたのかと。

 ラフォラエルは頭を押さえて、引き裂かれそうな悲しい声を出した。

「――でも、一年半前、耐えきれなくなったんだ」

「どうして?」

 ライマは弱々しく尋ねた。

 ラフォラエルがちらりとライマを見て、視線を再度床に落とす。

「――ある日、サシャという女の子が俺のハーレムにやってきた……」





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