23:59
21歳になった、
ついに"20代"がスタートしてしまった、
そのことの果てしなさ、
あっけなさ、
「お誕生日おめでとう」と、
予期するひとが、
予期せぬひとが、
ぽつりぽつりと祝ってくれた、
そのどれもが確かに心に響いて、
そのどれもが確かに心に響かなかった、
二度と埋まる気のしない穴、
ドーナツホールがその穴をすり抜けていった、
満たされないオレは、
間違いなく無駄な生き方をしている、
誕生日なんて、
ただ産まれただけなのに、
どうしてか大事で大切で、
なぜかその日は「自分」が少しだけ濃くなる気がする、
おそらく本当に誕生日を特別視しているのは、
本人よりも周りのひとたちなのかもしれない、
大事なひとの誕生日はどんな数列より鮮明に脳に刻まれるし、
「あなたを大事に思っています」の言葉の代わりに、
誕生日を脳にインプットする、
それはもはや祈りとなんら変わりがなくて、
風が強くて生暖かい、
こんなにも月が綺麗で透き通った夜に、
ここにもどこにも過去にもいまにも未来にもいないあなたの、
たった一言を待っているなんて、
フィクションが反転したって
事実にはなりえない。