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『獣医の先生も大変なのです・・・ えっ? 例えばですか?』

作者: 謎猫

たまに・・・


私へ必死に何かを教えてくれているのでしょうが

そういう時、猫の言葉が分かれば良いのに~とか

人間の言葉が話せたら良いのに~とかとか

想うのですけども


それはそれで問題が多すぎるので

やっぱり言葉は通じない方が良いです。

でも、心は通じ合ってますけどねっ!

(たまに一方通行ですが!)

私は、こう見えて獣医師なのですけど・・・


最近は、人気の動物から珍しい動物まで

飼育条件や許可証があれば誰でも一緒に

暮らせる様になりましたが・・・

その分、病院には多種多様な患獣?が運ばれてきます。


「では、レントゲンを見ながらご説明します」

「はい・・・」


こちらの患獣さんは、ハムスター君です♪

小さくて可愛いので子供に人気がありますが

ご飯や散歩の他、設備投資的な金銭面でも

負担が小さいので大人にも人気があります。


すっごく小さな耳と♪

ぴくぴくずっと動いているお鼻っ!

あと、何を考えて居るのか全く分からないけど

可愛い瞳っ!

きゃわわーです(照)

もうっ! 食べたくなっちゃいますっ!(////)


でも、食べたら激怒られてしまいますが・・・(汗)

主に、ハムスター君の家族&ネット上から???

私、炎上っ!?


「それでは、これが右後ろ足のレントゲンですが」

「はい」

「ケージから出そうとした時の事だと想いますが」

「はい・・・」

「落下してしまった際に、骨折してしまったようです」

「はい(泣)」


小さいと言う事は、余計注意をはらわなければならない。

と言う事です・・・

ちょっとしたミスが大怪我や重大な事故に繋がります。


「怪我の処置についてですが」

「はい」

「骨折ですのでギプスで固定する方法と」

「はい・・・」

「手術で骨をピン固定する方法がありますけど」

「はい(泣)」

「普段、噛み癖とかはどうでしょうか?」

「噛み癖?」

「はい、ケージ内の物がかじられてボロボロとか」

「特に、何かをかじって壊したりする事はありません」


ハムスターもネズミと同じく齧歯類げっしるいですので

元々何かを噛むのは大好きなのですが

異常に大好き過ぎたりするとギプスまで

かじってしまいますので

その場合は、出来れば小さな体への負担を考えると

手術せずに治したいのですけども・・・


「では、最初にギプスで処置してみて様子を見ましょう」

「はい・・・」

「もし、ギプスをかじってしまうようなら手術に」

「分かりました」

「それでは、このあと処置を始めますので」

「よろしくお願いします」


今回の所は、ギプスで固定する方法にしましたけど・・・

ハムスターの足ってすごく小さいのです(泣)

出来れば、このまま治って欲しいのですけどね。


あっ! あとあと!

たまに、まんまるもふもふハムスターが

来院する事があるのですけども

そのハムスター♪ 手足が埋もれて(///)

めっちゃきゃわわっ!(嬉) なのですっ!!!


でも、私のテンションが上がっている事は

患獣のご家族にはバレないよう気を付けております(汗)


----------


別の日。

確かに多種多様な動物と暮らせる世の中ではありますが・・・


「こ、これは珍しいですね?」

「はい・・・」


今回の患獣さんは、フェネックさんです。

お顔を中心に見るとネコのような?

お耳を中心に見るとイヌのような??

お尻を中心に見るとキツネですね???


分類学的には、ネコ目イヌ科キツネ属フェネックギツネ種

となりますから・・・

一応、特徴通りと言う事でしょうか?

神様も、こんなに分かりやすくフェネックにだけ特徴を

ギュウギュウに詰め込まなくても・・・(汗)


「えっと・・・ 今日は、どうかされたのですか?」

「実は予防接種と言いますか・・・」

「感染症に対する予防の事ですか?」

「その、ワクチンについて相談がありまして・・・」

「ワクチンの相談?」

「はい・・・」


フェネックさんは、簡単に言えばイヌ科ですので

イヌ科が掛かる感染病には掛かりやすい事もあるのですが・・・


「相談というのは?」

「ワクチン接種はした方が良いのでしょうか?」

「接種に関しての相談ですか?」

「それとも、ワクチン接種はしない方が・・・?」

「う~ん それは、難しい問題ですね(悩)」

「はい・・・」


例えば、人間にもインフルエンザのワクチン接種がありますが

ワクチン接種は、もちろん予防する為のものですけども

ウイルスが体内へ入り込み、『感染』する事へは

抑える事が出来ません。


ウイルスに感染後、症状が出始めると『発症』となるのですが

その発症を抑えたり、たとえ発症しても症状の重症化を

阻止する役目がワクチンなのです。


「ワクチン接種に不安があるのですね?」

「はい・・・」


細菌やウイルスといった病原体に対して

それぞれ作られているワクチンですが簡単に説明すると


病気にさせる毒性を極力弱めた生ワクチンと呼ばれるものと

病気にさせる毒性を無くしたり、そこから成分だけを取りだして

作られる不活化ワクチンと呼ばれるものがあり

予防接種を行った時の体調などでワクチンの効果が無かったり

場合によってはワクチンで感染発症してしまう事も・・・


「感染症用のワクチンで発症するリスクですね?」

「はい・・・」

「ワクチン接種で減るリスクと」

「はい」

「ワクチン接種で増えるリスク・・・」

「そうなんです(悩)」


もし、フェネックさんの生活している環境に

感染症のウイルスは居ないと言い切れるのなら

ワクチン接種はリスクになります・・・

けど、ウイルスが居ないとは言い切れなければ

ワクチンでリスクを減らせる事でしょう。


それが、フェネックさんの命にも関わる程の

リスクがあるワクチン接種だとしたら・・・


「一番は、ウイルスを体内へ侵入させない事なのですが」

「マスクとかでしょうか?」

「まぁ、フェネックさんには無理でしょうが(泣)」

「はい・・・」


動物にマスクをして生活なんて見た事有りません(泣)

マスクではありませんが、手術後とか傷口を舐めないようにする

エリザベスカラーくらいが動物の限度だと想う・・・

アレはアレで、見ていて可愛い時もあるのですけどね(///)

ただ、付けられている方はストレスだったりするのでしょうが(泣)


「万が一、ウイルスに感染・発症した際に・・・」

「発症した際に?」

「コンコンと咳をしたら要注意ですねっ!(ドヤっ!)」

「・・・それはフェネックがキツネだからですか?(困)」

「・・・・・・はい(照)」

「はい・・・・・・(汗)」

「えっと・・・(///)」

「・・・・・・・・・(汗)」

「も、もう少しリアクションを下さい(><)」

「あっ・・・ す、すみません(困)」


絶対・・・ 今、私を白い目で見ていた・・・(泣)

ちょっと、診察室の温度が下がった・・・(涙)

ぐすん・・・


って! 今はワクチン接種についての相談でしたけど

それにしても、こればかりは・・・

状況を見極めてからの最後は運次第になりそうです。


もし、フェネックさんを外出させる事なく

イヌ科の動物が近隣にも居ないのであれば・・・

とか考えたりしますが、どちらにしても100%の保証は

無いのですけども。


「とても難しい判断ですが・・・」

「はい・・・」

「私は、ワクチンを肯定も否定もしません」

「はい」

「まずは、フェネックさんの体調管理を」

「はい?」

「ストレスを軽減させ、運動と栄養で免疫力を」

「はい」

「病気のリスクは他にも沢山有りますし」

「そうですね」

「でも、健康であれば健康でいられますから」

「何となく云いたい事は分かりました」


元々、フェネックは砂漠に住む動物。

砂に穴を掘って、昼間は大人しくして夜活動する夜行性。

そもそも日本には居ないし四季も知らない動物。


万が一、ワクチン接種で悪い結果になったとしても

ワクチン接種しなかったのが原因で悪い結果になったとしても

それらとは別の原因で悪い結果が訪れたとしても


「しあわせに生きてくれればそれで良い」


私は、獣医として間違っているのかも知れないですが

人間以外は人間の言葉を話す事は出来ませんし

人間同士でも治せない病気があるのだから

全ての動物を救う事も不可能です・・・

それでもお互いが、しあわせに暮らせれば

良いと想うのです。


----------


また別の日。

確かに多種多様な動物と暮らせる世の中ではありますがっ!


「こ、これは???(困)」

「・・・・・・・・・・・・(汗)」


今回の患獣さんは・・・

なんでしょう? 初めて見るのですが・・・


「えっと・・・ 白いですね?」

「はい・・・」


真っ白なふわふわの毛で覆われております・・・

そして、全く動きません(汗)

でも呼吸はして居ますので、十中八九!

紛れもなく生きております。


「あの・・・ この子の名前は?」

「シロちゃんです・・・」


初めて来院したので、カルテが何もありません・・・

確かに、受付で記入された部分の名前欄には

シロちゃんと書かれておりますが・・・

これって、ちゃんの部分までが名前???

私が呼ぶ時って、シロちゃんさんってなるの!?


「えっと~ シロちゃんさんは・・・」

「はい・・・」

「今日は、どうされたのですか?(汗)」

「実は・・・」


どうされたか聞いてみましたが・・・

私には、このふわふわの生物が何なのか

判っておりません(泣)


「何か、怪我とかですか?」

「いいえ」

「では、病気ですか?」

「いいえ、違います・・・」


怪我でもない、病気でもない・・・

何っ!? 一体何の用件で病院に!?


「はい???(謎)」

「実はこの子・・・」

「モフモフちゃん?」

「正体が分からなくて・・・(汗)」

「えっ???」

「この子・・・ 何なのでしょうか?」


初めてです・・・

99%の確率で一応地球上の生物だと想われる

この真っ白なモフモフちゃんの正体を

教えて欲しいとの理由で来院されました・・・(泣)


「えっとですね・・・(汗)」

「・・・・・・・・・」

「この、モフモフちゃんと出逢ったのはいつですか?」

「1ヶ月くらい前です」

「その時から、この状態だったのですか?」

「いいえ、今よりは少し小さかったです」


小さい???

多分ですけど、小さいというのは外径的な事で

モフモフちゃん本体の部分は

それ程変わっていないと想うのですが・・・


「それは、このモフモフな真っ白の毛がですか?」

「はい・・・」

「今よりは、毛が短かったのですね?」

「はい、そうです・・・」


と言っても、外観を見ただけの状態では

今私が見て居るのは、モフモフちゃんの顔側なのか

お尻側なのか脇腹側なのかも判りません・・・(泣)


「ちょっと、抱っこしてみても良いですか?(///)」

「はい」


うにゅん!(喜)

このモフモフちゃんをっ!

自然な流れで抱っこ出来る状況が整いました♪

あとは、バレないように・・・(///)


「で、ではっ! 抱っこしますね(///)」

「はい」


ふわふわっ!

めっちゃふわふわっ!!

モフモフちゃんふわふわっ!!!

超絶しあわせっ!!!


「にゅふふ~ん(///)」

「?????」

「モフモフぅ~(///)」

「先生?」

「ビクッ!(焦)」

「えっ?(困)」


あまりにもしあわせ過ぎて

ちょっと意識が(///)


「えっと・・・(汗) お、大人しいのですね?」

「はい、抱っことかは嫌がりません」

「ふにゅふにゅ(///)」

「せ、先生?」


あぁー! もうダメです!

モフモフちゃんが可愛すぎてっ!

全く診察になりません・・・(///)


「えっと・・・(汗) 後ろ足発見しました」

「は、はい・・・(汗)」


後ろ足の向きから考えて・・・

きっと私の方を向いているのは

モフモフちゃんのお尻・・・

まぁ、可愛いから別に良いですけど(///)


「意外と軽いのですね?」

「はい」


モフモフの毛で大きく見えますけど

多分、シャワーとかで毛が濡れたら

残念チワワ状態になると想う・・・


「このモフモフちゃんの正体ですが」

「あ、あの・・・ 先生?」

「はい? なんでしょうか?」

「その・・・(汗)」


何やら、モフモフちゃんのご家族の方が

とても言いにくそうにしております・・・


「どうされました???」

「あの・・・ その子・・・」

「モフモフちゃんが何か?」

「その子・・・」


何か、新しい情報でも頂けるのでしょうか!?

モフモフちゃん・・・

実は、こう見えて水中生物とか?

こんな格好してますが、空を飛べるんですとか!?


「どうしたのですか?」

「その子・・・」

「はい」

「モフモフちゃんじゃなくてシロちゃんです(泣)」

「Σ(=□=)!」

「・・・・・・(泣)」


何と言う事でしょう・・・

私・・・ 患獣の名前を間違えて呼んでいました。

それも、ちゃんと正しい名前を呼んだのは

たぶん最初の1回目だけ・・・


「す、すみませんっ!(汗)」

「い、いいえ・・・(汗)」

「し、シロちゃんさん・・・」

「し、シロちゃんで良いです・・・」


な・・・ 何ですかっ!?

この微妙な空気はっ!!(泣)

まぁ、原因は名前を間違えて呼び続けた

私にあるのですけども・・・(涙)


「えっと・・・(汗)」

「は、はい・・・」

「シロちゃんの正体ですが・・・」

「分かったんですか!?」


この毛の長さと、抱っこを嫌がらない性格

そして、後ろ足の骨格から判断して


「アンゴラウサギだと想います」

「アンゴラ???」

「はい、トルコが原産のウサギです」

「そうなんですか」


ただし、アンゴラウサギと言うのは

ヒツジと同じで野生には居ない品種なのです。


「このアンゴラウサギですが」

「はい」

「人の手で品種改良されたウサギで」

「はい・・・」

「モフモフの毛は、ずっと伸び続けるのです」

「そうなんですか!?」


このアンゴラウサギもヒツジも

人間によって品種改良された事により

伸び続ける毛によって野生では生きていけないのです。

たった数ヶ月で伸びる毛は視界を妨げ

食事をするにも毛が邪魔になり、ダニとか害虫による

感染症とかも心配になります。


「なので、月に1回はトリミングとかが必要です」

「そうなのですね」

「長すぎる毛は衛生面や健康面の害となりますので」

「そうなんですか」


ただ、1つだけ心配な事が・・・


「あ、あの・・・」

「はい?」

「もし・・・」

「もし?」


その心配事というのは・・・


「もし、シロちゃんが」

「はい?」

「ウサギじゃなく、ネコだったらごめんなさい(><)」

「・・・・・・(汗)」

「にゃぁ~って鳴いたらごめんにゃさいっ!(=><=)」

「わ、分かりました・・・」


正体不明のシロちゃん・・・

一応、暫定アンゴラウサギ認定ですが

希望としてはブリティッシュロングヘアキャットである事は

私だけの秘密ですけどねっ(///)


「モフモフうさぎ・・・」


ホント・・・

こう見えて獣医の先生だって

それなりに色々と大変な事があるのですよ?


ふにゃぁ~


私も、何処かの獣医さんに見て貰いたいくらいです。

って、まだ辛うじて人間ではありますが・・・

うにゃぁ~


「ふにゃりっ!」

最後まで読んで頂き

ありがとうございました♪


一応、こう見えて私は

どう考えても獣医の先生ではありませんので・・・

(あれ? 知ってます???)


もし、アンゴラウサギ以外の

重大な誤りがありましたら

お手数ですが御指摘頂けますと

すごく助かります(=><=)


何卒、宜しくお願い申し上げます(汗)

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― 新着の感想 ―
[一言] 獣医の大変さが垣間見えたような気がした。 さて、ワクチンのとこのインフルエンザウィルスですが、ウィルスそのものは体内には射ちませんよ。 ワクチンというのは、ウィルスの回りのタンパク質だけを…
[良い点] もふもふできゅーきゅーなところ。 癒されました。 [一言] お誕生日おめでとうございます。 私はオオサンショウウオさんが好きです。 天然記念物で飼えませんが。 特大のぬいぐるみを買っても…
2019/03/17 01:46 退会済み
管理
[一言] こんばんは。 素敵な子を作って下さったのですね。。。 要所要所、クスッとできる素敵な子でした。 さすがにセンス抜群ですね。 惚れ惚れしてしまいます。。。 また、楽しみにしておりますっ
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