↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/35

勉のピンチ

「美栄ちゃん、学校来ないの?」


電話口で、鷹瞳君がポツリと呟いた。

あの日以来──勉と別れて以来、私はどうしても学校に行けないでいた。

今日で3日目だ。


「ゴメンね。行こうとは思ってるんだけど」


だけど学校に行けば、勉と顔を合わせてしまうかもしれない。

そうなった時、私はアイツの横を素通り出来る自信がない。

絶対に駆け寄って、ぶん殴ってしまう。


「アイツ学校に出てきてからなんか変なんだ。冷たいって言うか暗いって言うか、なんか落ち込んでる」


「なんで?落ち込みたいのは私の方よ。みんなアイツが悪いんだからっ」


そう叫ぶと、鷹瞳君は少し黙りこんだ。


「──そうだね。今回はアイツが100%悪いんだ。だけどさ、いつまでもこうしてはられないだろ?」


「それは、そうだけど……」


ずっと休むわけにはいかない。

それは分かってるんだけど、なんだか一歩が踏み出せない。

今度は私が黙りこんでいると、鷹瞳君は少し遠慮がちに呟いた。


「あのさ、なにも男は勉だけじゃないんだしさ。他にも君の事好きな人はいると思うよ」


「ありがとう」


鷹瞳君らしい励まし方だ。なんとなく笑ってしまった。


「とりあえず、明日は金曜日だから休むね。週明けに行こうと思ってるんだ」


「そっか。わかった。じゃあ、そろそろ切るよ」


「ありがとう鷹瞳君。いつも電話くれて。じゃあまたね」


電話を切ろうとした時、突然鷹瞳君が声を上げた。


「あのさ!美栄ちゃん。俺──」


「なに?」


終話ボタンに置いた手を止めて訪ねると、少し間が空いて笑い出した。


「あはは。いや、なんでもない。ゴメンゴメン。じゃあ月曜日に」


一方的に言われ、プツンと電話が切れてしまった。


何を言いかけたんだろう。


しかし、電話が切れてしまっては仕方ない。携帯を置くと、ベットに潜り込む。


「このまま登校拒否になんかならないからね。なんか逃げてるみたいだしっ」


逃げるのは今だけで十分。月曜日からは必ず学校に行こう。

そう決心し、眠りに就いた。


翌日、うっかり二度寝してしまった私は、夕方にけたたましいチャイムの音で目を覚ました。


「あーもう4時……。そっか、お母さん仕事かぁ」


欠伸をしながら玄関に向かうと、寝惚けていた為、誰なのかも確認しないでドアを開けてしまった。


「美栄ちゃん!大変だっ」


飛込んできたのは、なんと鷹瞳君だった。


「え?な、何しに来たの?」


「もしかして寝てたの!?すごいたくさん連絡してたんだけど!」


何故か焦り気味の鷹瞳君を、ポカンとしながら見つめる。


「ごめん。てか、何してんの?学校終わったの?」


「それより大変なんだっ!勉と別れたってホントなのかよ!?」


そう言えば、別れたって話してなかったっけ。

鷹瞳君はずっと、私が勉に騙されたって知ったから休んでると思ってたんだ。


「そうよ。ほら、お見舞いに来てくれた次の日」


「なんて事してくれたんだよ!?退学になったら、美栄ちゃんのせいだからなっ!」


そう言われて驚いた。


「退学?鷹瞳君、退学になるの!?」


まさか、勉の計画を台無しにしたとかでキレさせて、鷹瞳君がとばっちり食らったんじゃ……。

驚きながら見る私を、鷹瞳君は怖い顔で睨みつけた。


「なんで俺が退学になんなきゃならないんだよっ」


「じゃぁ……まさか、私!?」


「違うよっ!勉がだよっ」


その言葉を聞いて、唖然とした。


なんで勉が退学に?


あの、退学・停学・留年には縁のない優等生が。


「なんで勉が退学なのよ。ありえない」


「とにかく、学校に来てよ!大変なんだっ」


腕を掴まれ、それを振り払った。


「嫌よ!私には関係ない!第一、勉が退学なんて絶対ありえないじゃないっ」


そう言うと、鷹瞳君はさらに怖い顔をした。


「勉のヤツ、昼休みに先生に抗議しに行ったんだ。美栄ちゃんを傷付けたからって。それでアイツ、先生を殴って──」


「殴った?だって、アイツが元々先生とグルになってたんじゃない」


「アイツが先生のいいなりになるわけないだろ!俺が言うんだから間違いない!」


「……」


そういえば、勉はプライドが高くて、先生の言うことを素直に聞くとは思えないと言っていたっけ。


鷹瞳君の言うこともわからなくはない。でも──。


「だったらなんで!?」


「いいから早く!学校に行こうっ。詳しい話はその時するから」


「わ、わかった」


まだ、鷹瞳君の言うことを100%信じたわけじゃない。だけど、嘘を吐いている様にも思えない。

着替えると、急いで学校に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。