【五話】 娯楽室で、リーゼさんと、ミランダさんと、セリカさんと、対戦した日
今日は、仕事も終わり、掃除も終わり、お風呂に入って、晩御飯を食べ、そして、その後、娯楽室に向かっていた。
事の発端は、今日の仕事終わり頃に、セリカさんが言った事から始まった。
「ああ、ミランダ、あれ、今日、届いたらしいわ」
「おー! やっと届いたかー。んじゃー、やっちゃう? 早速今日にでもー」
「ええ、今日は出来そうね。もう設置はリリーゼがやってくれてるそうよ」
「さっすが、リーゼちゃん、仕事早いねー」
「本来の仕事の業務も、そうなら良いのだけれど………………」
そんな、セリカさんとミランダさんのやり取りが、まだ、仕事をしていた、私にも聞こえていた。
「あ、ミランダさん、あの、資料入れましたけど…………」
「…………あー、うん、おっけー、アカリちゃん。うん、問題ないよー」
「ありがとうございます。………………で、今の、何の事ですか…………?」
資料を確認してくれた、ミランダさんに礼を言いつつ、私は、先程の会話の事を聞く。
「あー、んふふー。アカリちゃんもー、やっちゃうー? やりましょうかー? そうしましょー」
「ああ、そう言えば、アレ、四人で出来るみたいらしいわ。……そうね、多いほうが楽しそうね。アカリ。じゃあ、あなたも参加ね」
勝手に何かのメンバーに決められた。だが、その前に、何の事なのかを教えて欲しい。
「……………………えーっと………………」
そう聞こう、と思ったのだが、ミランダさんのこの雰囲気から、なんとなく読み取れた。
「………………娯楽室に、何か新しく入れたんですか?」
何の事か、はおそらくは、そういう事。なので、何を、に質問を変えて聞く。
「んー、分かってきたねー、アカリちゃんー。そーそー。なんかねー、古いゲームが入手出来たんだってさー。で、どんなのかは、私も知らないー。」
「私も詳しくは知らないわ。今回のは、貰い物だし、ただ四人でやると楽しい、とは、ミカが言ってたけれど」
(このお二方は、中身は分からず、話してたのか…………)
だが、何かのゲームだという事は、分かっているようだ。そして、設置、と言ってた事で、固定して行う、何かのゲームなのだろう、とは考える。
ここの娯楽室は、何故か、昔の骨董品と言っても良いような物が多い。
「セリカさん、ミランダ、それは良いが、掃除の後にしてくれ…………」
チュンさんにそう言われる。今日は、少しばかり、みんな仕事が遅くなっていた。その為、その後の掃除の時間も、もう迫っていた。ならば、と、やる事を全部片付けた後に、じっくりとやろう、と言う事で、この、後は寝るだけ、と言う時間になったのだった。
食後、私とミランダさん、セリカさん、それからリーゼさんとプランさんで、娯楽室に向かった。
リーゼさんとプランさんの二人で、それを設置をしてくれた、と言う事らしい。
娯楽室に向かう途中、セリカさんがリーゼさんに質問する。
「ねえ、リリーゼ、どんなゲームだったの?」
「いえ、私も中はちゃんとは見てないですよ」
「あら。じゃあ、プラン、どういう物か分かった?」
プランさんは小さく首を横に振る。知らない、と言う事だ。
「えー? じゃあー設置って大丈夫なんー?」
少し心配そうに、ミランダさんが声を上げる。
「ええ。設置自体は、簡単でしたよ。起動も問題ないようでしたけど。ただそこまでしか、私もプラン主任も見れてないですよ」
「じゃあ、やってからのお楽しみ、と言う訳ね」
そして、5人で娯楽室に入り、その設置されたゲームの所へ向かった。
どうやら、そのゲーム自体は、昔のモニターに、そこから操作機が伸びている物のようだ。確かにこれならば、設置自体は難しくない。そこには、椅子が4脚置かれていた。
そして、プランさんが、そのゲームを起動する。起動を確認してから、リーゼさんが聞く。
「モニター、大丈夫そうですか? ミランダさん」
「んー、おっけー。大丈夫かなー。……でー、どうやるんかなー? これ」
ミランダさんも見れるように、そこはしっかり改造されているようだ。そして、そのゲームが、どんな物かは、やはり分からないようである。
「まー、やって覚えりゃーいいかー。じゃー、四人で出来るんだよねー? これ」
「ええ。そうらしいわ。でも、じゃ、条件は同じね。みんなこれ、初めてで知らないみたいだし」
「え? セリカさんも知らないんですか?」
「ええ。四人で出来るゲームがあるから、欲しいならあげるけど、ってだけで、内容までは聞いてないわ」
リーゼさんも、セリカさんが知っている物、だと思っていたようだ。だが、誰に貰ったのだろうか。ミカさんが、このゲームの事を、知っているような事を言っていたはずだ。
「あのー、これってもしかして、ミカさんから貰ったんですか?」
私がそう、聞いてみるが、違うと言われる。
「いいえ。聞いたのはミカからだけど、実際に、これ持ってたのは、トシオらしいわ……………………」
ここの社長がくれた物だった。
「んじゃー、そんな事よりー、やろー、早くー! ねーねー!」
「ま、そうね。……じゃあ、…………一人余るわね」
このゲームは四人で出来るらしい。だが、今居るのは五人。そうすると、一人出来ない。だが、セリカさんがそう言った後、プランさんが軽く首を横に振って、身を引く。どうやら、プランさんは、起動はしてくれたが、ゲームには入らないらしい。そして、ミランダさんとセリカさんは、既に椅子に座ってスタンバイ状態に入っている。
「じゃあ、私と、ミランダと、リーゼと、あとアカリね」
「……え! ……で、でも私やり方も分からないですし、そ、それに……………………」
ミランダさんは、操作する物に関しては、あっと言う間に覚えてしまうらしい。そして、セリカさんもそう言った事は得意な様子だ。リーゼさんも、よくこの娯楽室で、ゲームをしている。
だが、私は、まだ少ししか、ここでゲームをやっていない。
「まーまー、みんなも知らんようだしー、勝ち負けとか良いからー。やっちゃおー、やりましょー、さーさー始めるよー!」
「それでは、プラン主任、すみませんが、お先に」
ミランダさんは、もう早くやりたくて、仕方がない様子だ。リーゼさんも椅子に座って準備する。私も、確かに、ゲームなのだし、間違ってしまっても、みんなで楽しめれば良いのだろう、と考え、椅子に座る。プランさんはそれを後ろから眺めるようだ。
「んじゃー、はじめよー。っと、始めるのはー、これかねー? あー、なるほどねー」
初めてで、知らないはずなのに、既に操作をしていくミランダさん。そして、納得している。
「んー、これかねー? おー! って、これって、もー、始まっちゃったー」
「も、もう!?」
「あら、じゃあ。…………ああ、これで操作するのね。…………で、これかしら?」
「……え? ……ええ!?」
そして、ゲームが始まった。
私は、何がなんなのか、まだ、全く分からない。
「あー、こんな感じなんねー。なるほどねー。敵……みたいなのは居ないねー。これでー動くんかー。でー…………これー、なんだろー?」
ミランダさんは、適当に操作して、操作方法を覚えているようである。だが、まだ、どういう物なのかは分からないのは同じようで、そのまま適当に、何か操作をしたようだ。
「………………あ、ありゃ? あれーー? こ、これー。…………え? あ、そういう事ー!?」
「ああ、なるほどね。これ、四人で倒し合うゲームなのね。……で、ミランダ、今ので自爆した、と」
ミランダさんが操作した何か。
画面には、おそらくこれが自分の操作すると思われるキャラクター、それが4人居るようである。そして、私も操作したキャラクターが、動いたのを見て、ああ、これが自分かな? と思った矢先であった。
ミランダさんが操作したらしきキャラクターが、何かを投げた。一瞬それは玉のように見えた。それが、壁に跳ね返って、自分のキャラクターに当たったらしき、ミランダさん。
「ああ、このボタンで、玉、かしら? それを投げるのね。で、本来なら、それを他の誰かに当てるのね」
既にルールや操作を分かり始めている、セリカさん。
「えーー!? じゃー、…………えぇー!? 私ー、…………これで終わり?」
「みたいね」
「う、うーん、こ、これで。………………ああ、確かにこれで投げるみたいですね。……………………あ」
リーゼさんも操作を分かり始めていた、のだが、ミランダさんと同じく自爆していた。
「あら。……じゃあ、ふふっ、これをアカリのキャラクターに当てれば」
そう言いながら、もう操作を覚えてしまったのか、セリカさんが、私のキャラクター目掛けて玉を投げてくる。
「……え? え? ……あ」
「え!? …………あ!」
まだ、よく分からない私だったが、適当に操作をしたら、その玉を避けたようだ。そしてそれが跳ね返り、セリカさんのキャラクターに当たった…………。
「ちょ! 嘘? なんでそこで避けるのよ!?」
「…………え、な、なんでと言われましてもー……」
「ふむー。なるほどねー。少し分かってきたよー」
「では、これ、一回目は、アカリさんの勝ち、と」
…………そのようだった。画面の中で、私のキャラクターが、ポーズを決めている。
「んじゃー、次ーいってみよー」
「…………ふ。…………そ、そうね。……まだ初回だし」
「自爆しない為には…………」
「えーっと………………」
そして、次ゲームが始まった。
既に操作が分かってきている、ミランダさん、セリカさん。そして、まだあまり分かっていない、リーゼさんと私。
「えーっとー、あー、こっちねー」
「あ!」
「リリーゼ、やられたわね」
「ま、まだ、慣れていないだけ…………」
ミランダさんが、リーゼさんを倒したらしい。私はまだ、画面の隅で練習していた。
「えっと、…………あ。これで……あ。……玉ってこれで出すんですね……」
私も少し操作の仕方も分かってきた。そして、その横で、既にミランダさんとセリカさんのバトルが始まっていた。
「ふむー、これかね!?」
「あら? こうやって避けるのね。お返しよ」
「げ! ……って、あー、これ、こっちのボタンで防げるんだー」
「え!? あ、あら、本当ね。ってこれ一瞬じゃない! 何でそれで防げたのよ!?」
「あ、そっちー!」
「あ! ちょ、待っ! あ、あら、意外に防げるわね」
早くも、このゲームを覚え始めている二人。その横で、ああ、これかな、等と練習を続けている私。
「えーっと、…………あ、……へー。これで防げるんだー。で、これで投げて――」
「え!?」
「あ!?」
「…………あ、あれ?」
私が適当に投げたボールが、横でバトルをしていた二人のキャラクターに見事に命中した…………。
「ちょ! アカリ!」
「ふいうちやわー!」
「え! えーっと……」
またも、私のキャラクターが、画面でポーズを取っている。
「二回戦もアカリさんの勝利、と」
「次!はやくー!」
「アーカーリー。……覚えてなさい」
リーゼさんが淡々と私の勝利を宣言し、セリカさんに、怖い事を言われつつ、そして次が始まった。
「もう、負けない。大体分かったわ! ほーら、アカリー?」
「え? え?」
(確か、これで防ぐ……と)
ぽちっとボタンを押すと、上手い事、ボールを防いでくれた。
「防いだ!? や、やるわね。……って! ミランダ!?」
「油断大敵ー。っと甘いねー、リーゼちゃん!」
「避けられた!」
セリカさんは私を倒そうと、意気込んでいたのだろうか。横から、ミランダさんにやられたようである。そのミランダさんを倒そうとしたリーゼさんだったが、避けられたようだ。
ルールと操作の仕方は、そう難しくはないようだったので、みんな覚え始めていた。
「ほーら、リーゼちゃん! お返しだよー!」
「避け、いや防………………」
「防げなかったようね」
「た、タイミングがっ…………!」
「あ…………………………」
「「「……………………あ」」」
私の玉が、リーゼさんを倒したばかりの、ミランダさんに当たった。
「ちょー! アカリちゃーん!! 今のないわー!!」
「油断大敵ね…………」
「え、えーっと………………」
「………………三回戦、…………も、アカリさんの勝利……………………」
そして、更にゲームが続いた。のだが――――
「――――四回戦も……………………アカリさんの勝利……………………………………」
「またー!?」
「ちょ! アカリどういう事!?」
「え、えっと、ま、まぐれ………………」
「「次ーーーー!」」
ゲームは続いていった――――――
「――――――あ、アカリさん…………………………十四連勝……………………………………な、何故」
「どーゆーことーーー!? なんでーー!!??」
「ちょ! さっきからミランダ、私ばっかり狙ってない!?」
「ち、ちがうよー!? アカリちゃんも狙ってるんだよーー」
「…………………………………………えぇっとーーー」
「何!? まぐれ!? まぐれで十四連勝!? アカリ!! あなたこれやった事あるんじゃないの!?」
「ええ!? い、いえ、今日が初めてですけど…………」
「アカリちゃーん……………………なんかー、取り付かれてるんじゃないー…………?」
既にみんな白熱している。そして何故だか、私が勝ち続けていた。
「う、うーん。…………な、何かコツでもあるのか。……見る限り、操作は、ミランダさんも、セリカさんも、もうほぼ完璧のはずなのに…………アカリさんは何故…………うーん、出来ればじっくり見てみたいな……。あ、そうだ! プラン主任ちょっとやって下さいよ」
リーゼさんがそう言って、ずっと傍観していたプランさんを見る。
「ちょっとアカリさんが、どうやってるのか見てみたいので、是非」
プランさんは、それを聞いて、ちょっと考える素振りをしてから、リーゼさんが立った席に座った。
「ぷ、プランも初めてよね?」
セリカさんの問いに、コクコクと頷くプランさん。
「じゃーさー、プランさんは、今んとこー、全くの初心者だよねー」
「そうね。じゃ、ちょっと付き合ってもらうわよ。アカリを倒すために……」
プランさんは決して嘘をつくような人では無い。それはミランダさんも分かっている。セリカさんも同じだ。そして、確かに、私達四人は、今、十数回やって、大分、操作やルールも分かってきている。
そして、プランさんは見てはいたが、初めてだった。そのはずだった――――
「――――ぷ、プラン主任………………………………………………十連勝…………………………………………」
「「なんで!!??」」
ニコニコ笑いながら、初心者のはずのプランさんは、さくさくと、私を含めた皆を倒していっていた。
「次よ!! 次!!」
「………………あ、リーゼさん、代わります?」
「う、うん。で、でも………………か、勝てる気がしない…………」
リーゼさんと私は交代して、プランさんを見学してみた。
だが、無駄な動きが一切無いプランさんは、やはりさくさくと皆を倒していく。
「う、上手い!!」
「ちょぉぉぉー! なんでぇぇー!?」
「アカリ! ちょっと私と代わって! プランの操作を私も見たいわ!」
そしてゲームをやるが、同じように、さくさくっと、短時間で、みんなを倒してしまうプランさん。
「――――覚えた! ちょっとプラン! 代わって! まずはアカリからよ! そしてその後に……」
どうやら、セリカさんは、プランさんの操作を見て、何かを学んだのか。そして、最初の標的は私になったようであった。だが――――
「あ、アカリさんの勝利」
「きぃーー! なんでよぉぉぉ!」
「あかんわー! ソレー! 避けれんわー!」
プランさんが抜けると、何故かまた私が勝ってしまう。ほとんどがまぐれのはずなのだが…………。
「プランさーん! 今度私と代わってー!」
「くっ! こ、今度は! 負けないっ!」
「プラン! あなたの操作は! もう覚えたわっ! まずはアカリ! そしてプラン!」
私達はそのまま、ゲームを続け、そして、その後、夜遅くまで、交代しつつでやり続けた。
そして、プランさんが居ないと、何故か私が勝ち、プランさんが入ると、誰もプランさんには勝てなかった。
「な、なんで………………どうして…………?」
「か、勝てる気がせんわー………………」
「………………プラン主任………………三十二勝、負け無し…………。…………アカリさん………………二十五勝。…………他、勝ち無し………………」
そして、みんなを少し何度か見てから、ニコっと魅力的に笑うプランさん。
(………………………………………………完璧です……………………プランさん………………………………ラスボス………………)
お読み頂き、ありがとうございます。




