【十日目】 冒頭
私は、今、何故、ここにいるのか。
そこが、皆と違う事。
何故、こうしているのか。
誰も教えてくれない。
必死に聞けば、分かるのかもしれない。
けれど、無い。
もし聞けても、多分、内容が分かるだけ。
それを、自分の物だと、思う事は、多分無理。
だから、聞かなくていい。
他の皆は、多分、自分の意思で、ここに居る。
それは、本当ならば、私もなのかもしれない。
けれど、無い。
そこが、無い。
そこだけが、無くなった。
私には、姉が居たはず。
何処にいるのだろうか。
今も、何処かに、居るのだろうか。
そんな疑問もあったはず。
今は、その事までも、気にならなくなってきている。
それぐらい、ここは居心地が良い。
それぐらい、ここでの日々は、あっという間だ。
新しい人も来た。
ここで、働き続けると決めた。
もし、その人も、私のようになったら。
そこだけが、心配だ。
私には、繋がらない。
繋がらなくなってしまった。
私が、何を求めて、ここに来たのか。
彼女がもし、私のようになったのなら、繋げる事が出来るのだろうか。
私は、多分、無理かもしれない。
けれど、居心地は良い。
それは、私にとっては、救いなのかもしれない。
ここでは、皆、失っている。
私も、失っている。
そのせいで、繋がらない。
けれど、無理に繋げるつもりも無い。
分からないから。
たまに、私ではないはずの夢を見る。
でも、それが、もしかしたら、私なのかもしれない。
たまにしか、見れない、その夢。
今日も、もしかしたら、見れるかもしれない。
今日はゆっくりと、寝る事が出来そうだ。
夢を見る為に。




