表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
82/135

【九日目】 メイの作業


 朝食。


 ユウカさんが手伝いをしてくれたからなのか、プランさんが、居たからなのか。

 しっかりとした、朝食を食べる。ボリュームは、少し多かった。

 朝食を食べながら、少し思う。朝、鏡を見てから、少し、気になっていた。


(私は、普通、なのかな……?)


 周りを見ると、いつものメンバーが、賑やかに、食事をしている。

 だが、私の事を話した時、その時の人達は、驚いていたように思える。

 そして、ユウカさんと、同じ経験をしているとも、言われたはずだ。

 朝食が終わり、一度部屋に戻ってから、四階フロアーへ向かう。


 仕事の時間。

 それが、私がここに居る理由。それは、分かっている、のだが……。

 

 「アカリちゃーん。じゃー次は、メイちゃんとー、この資料持ってってー」

 「は、はいぃぃー」


 まだ、仕事に慣れていない私は、業務に追われていた。そんな事を、考える余裕は無い。


「じゃあ、これだけですね」


 印刷した資料を見ながら、メイちゃんが答えている。


「アカリちゃん、行こ」

「うん」


 資料室に向かいながら、まだ、自分が分からない事を、メイちゃんに聞いてみる。


「ねえ、メイちゃん。その資料なんだけど」

「うん、ミランダさんが渡してくれた情報を、印刷したんだよ」

「うん。……で、それって、どういう仕組みなの?」


 印刷物は、紙では無い。昔は紙だったと聞いた事はある。

 だが、ここでは、この透明な板に印刷される。


「あ、これ? アカリちゃん、これの事、まだちゃんと聞いて無いんだっけ?」「うん。紙じゃないし、それだと、確かに沢山の情報でも、一枚で済むけれど……」


 これは透明な板。そこに、文字や画像が印刷される。そして、それがモニターのように見える代物である。そして、拡大や縮小、スライドも可能である。

 だから、大量の情報等であれば、何枚も持つ必要は無い。

 それは分かる。だが、何回も印刷をしている所を見ているので、今度は、その透明板が、どんどん溜まっていくのではないかと思った。


 「どんどん印刷しちゃうと、かさばらないの?」

 「え? ううん? これ、使い終わったら、元の場所に戻すんだよ。そうしたらまた、ちゃんと同じように使えるんだ」 

「あ、じゃあこれ、何回でも使えるんだ」

「うん。えっと、仕組みは良く分からないんだけど、確か名前は……ええっと、ルミト……印刷…………あ、ごめんなさい。そんな名前だったと思うんだけど……」


 正式な名前は忘れたらしい。

 だが、ここでは、印刷と言えば、これしか無いようなので、 名前をしっかり覚える、と言う必要は無い模様である。


 そして、メイちゃんと資料室に入って、作業を始める。

 資料室。まだ、私が慣れていない事に、思い知らされる。


「次は、『アの2058-10-12』だよ」

「……え、えっと、『ア』、は……、えーっと……」

「……アカリちゃん、『ア』は、そっちじゃなくって、えっと、逆の……」


 メイちゃんは先輩だった。

 まだまだ、慣れていない私に、色々教えてくれつつ、仕事をしている。


「……あった。ご、ごめん、メイちゃん。えと、次は……」


 そのような感じで、進んでいく。だから、時間がかかっている事が、分かってくる。だが、それでも、メイちゃんは、しっかりと教えてくれる。


「えと、次は『ニの2047-8-20』」

「ええっと…………あれ? 『ニ』って……」

「あ、『ニ』の所は、こっちの……」


 場所が違った。簡単な事は、表記はあるが、詳しい事は、まだ分からない。


(いや、出来れば、そこも表記して欲しいけど……)


 そうして、ようやく資料を探し終える頃には、もうすぐお昼を迎えようとしていた。

 探した資料を、アンカ室長に渡して、戻りながら、メイちゃんに言う。


「ごめんね……、もうちょっと、私が分かってれば……」

「そんな事は無いよ。私は、初め、もっと分からなかったから。でも、あそこ、やっぱり分かり辛いよね……」

「でも、メイちゃん、ちゃんと分かってるんだよね」

「うーん、今はそうかもしれないけれど……。初めは全然分からなくって、色々迷惑かけちゃったのかも……」

「私も、覚えられるかな……」

「うん、きっと大丈夫だよ。私でも覚えられたんだし」


 そう言ってくれるのは、有難いが、まだ、覚えきれる自信は無い。

 そして、朝から思っていた事を、少し漏らした。


「ねえ……メイちゃん……」

「なぁに?」

「私って、……普通……なの、かな……?」

「……え?」


 ここで、皆もそうだったのか、私も、皆と同じなのか。ただ、それだけだった。

 そう、聞くまでは。


「……うーん。アカリちゃんは、うん」

「……?」

「きっと、すごく物覚えが良いほうだと思うよ。……私は、そうでも無かったし……」

「でも、皆に迷惑かけちゃってるし……」

「そんな事、無いよ。……私は、もっと……」


 メイちゃんは、控えめな子だと思う。そして、ここのメンバーの中でも、まだ、皆よりは、年月が浅いのかもしれない。だから、そう言うのだろうと、私は、思っていた。


 お昼を終え、仕事に戻り、今日の業務がようやく終わる頃、私は、またもヘトヘトになっていた。


「お、お疲れ様ですぅー……」

「んー、お疲れー。うんー、問題ないかなー? どー? セリカっちー?」

「ええ、問題ないわ。アンカに送っておくわ。でも、アカリ、まだまだね」


 資料を確認しながら、セリカさんに叱咤される。


「ま、時間がかかるのは、まだ、しょうがないわね」

「そうかねー? 早いと思うけどねー」

「ええ。でも、まだまだよ」

「はぅー、がんばりますぅー……」


 ものすごいスピードで、作業をする、この二人から見ると、まだまだ遅い、と言う事だろう。

 そんな所に、メイちゃんも、作業が終わったのであろう、ミランダさんに報告する。

「……あ、あの。こちらも、入れました」

「んー。……ありゃー。メイちゃん、ちょっと、間違ってるわー」

「……え? ど、どこですか?」

「んー、最後の方だねー」

「す、すみません。な、直します……」


 どうやら、メイちゃんの作業は、ミスがあったようだ。

そして、メイちゃんは、修正の作業だろう、端末に、再度、向かって作業する。


「メイも……そうね。残念だけど、……まだまだ、ね」


 セリカさんが、そんなメイちゃんを見ながら小声で言う。

 メイちゃんは、自分でも、まだまだ、だと言っていた。

 私は、そんなメイちゃんを見ながら、日報に移る。

 ミランダさんとセリカさんは、そちらの作業待ちのようだった。


「あー、アカリちゃん、日報終わったねー」

「あ、はい」

「んじゃー、お疲れー」

「お疲れ。アカリ」


 二人は、メイちゃんの、今行っている作業だろう、それを待っている。

 ユウカさんや、エレナさんは既は、既に終わった様子で、先に部屋を出て行っていた。


 そして、私も部屋を挨拶をしつつ、部屋を出て行く。

 出て行く時に、メイちゃんを見ると、挨拶を返してくれつつも、作業を続けていた。



 部屋に戻ってから、今日の作業を振り返る。

 セリカさんからは、まだまだと言われた。実際その通りだろう。

 今日は、ミスこそ無かったが、まだ遅いのも事実である。

 そして、メイちゃんの事を思う。


(メイちゃんは、ここに入って、一年くらい、だったっけ)

 私はまだ、一ヶ月も経っていない。今日の資料探しでも、メイちゃんに教えてもらえなければ、どんなに、時間がかかったのか分からない。


 そんな事を考えていると、時間が過ぎていった。

 気がついた時は、《16:30》を過ぎた頃だった。


(……あ、お掃除しないと)


 そう考えて、私は部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ