【一ヶ月後】 メイとの思い出
食後、メイちゃんの部屋へ行った。
それは、メイちゃんの部屋の、あの大量のカップのお手入れの手伝いである。
一つ一つ、少しずつ、ローテーションをしながら、お手入れを続けているそうだ。
だから、これだけ沢山あると、終わりは無い。
お手入れ、と言っても、物によっては少し違ったりもする。
分かりやすい所だと、これは割れる、これは頑丈だから大丈夫、汚れが取れやすい、取りにくい、等等。
カップと言うが、ここはそれだけでは無いのだ。
陶器、ガラス、シルバー製や、それ以外の、私が知らない素材で出来た物達まである。
何に使うのか分からないような、細長いガラスのコップや、とても小さなコップ、ワイングラスまであったりする。
だが、お酒を飲む人はここではほぼ居ないようなので、ワイングラスがあっても、それを使って飲む物は、ジュースだったりする。
ただ、基本的にメイちゃんの部屋の物は、陶器の器がほとんどを占めているようだ。
「あ、メイちゃん、こっちって、割れる物?」
「あ、うん。それは、ちょっと割れやすいみたいだから。気をつけてね」
「わ、これ、すごいねー。どうやって作ったんだろ?」
「うーん、作り方は、そっちはあんまり知らなくて……。あ、それは、そんなに昔のじゃ無いらしいよ」
前に、何度か割ってしまい、怪我をしてしまった事もあるそうだ。
最近の、コップや、カップは、それと比べると頑丈なので、そこまで気にする事は無かったのだが、メイちゃんが持っているカップ類は、昔の陶器で出来ている物が多く、落とすと割れてしまう。
そして、中には変色してしまう物まであると言う。
食堂の食器は、最近の物なので、その辺りは気にする必要は無い。
食器が、割れる物、だという事は、これまであまり気にしなかった事だった。だが、ここにあるカップ類は、そう丈夫では無い。丁寧に扱わないと、下手をすると、割った上に怪我をしてしまう。
メイちゃんの部屋には、大量のカップ類がある。
何故、こんなにカップが沢山あるのか。
それは聞いていた。
理由はちゃんとあったのだ。
もちろんここまでの量になると、さすがにすごいのだが。
あの日、ここで、そう。
メイちゃんと、お話をした。




