表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
66/135

【六日目】 ミランダの本気、アカリの作業


 四階フロアーに戻ると、そこには、二人しか居ない。


 ユウカさんと、エレナさん。


 他二人は巡回、二人は下で、もう二人は、夜のため就寝。だから、通常時、この時間くらいは、普段はみんなで、五人。そのうち、私と、セリカさんと、ミランダさんが、抜けていたので、この広いフロアーに二人しか居ない状況になる。


 フロアーに戻ると、二人は黙々と作業をしていたが、私と、ミランダさんが入ってから、エレナさんが聞いてくる。


「ねぇー、なんだったのー?」

「後で、教えてもらえるでしょ。エレナ、あなた作業は?」

「あぅー、まだ………………」


 エレナさんは、作業に戻る。


 ユウカさんは、既に察しているようだ。こちらを見て、少し笑いかけてくれた。


 私も、少し笑い返して、席に戻る。

 隣に座った、ミランダさんが言う。


「よーし、じゃー、お仕事しますかー。んでー、…………んー、なるほどねー。ねー、ユウカちんー、過去の情報、出てきたー?」

「はい、何件か。似たようなのは多いですね」

「んー、じゃー、今回は、事後処理は、そこまでなのかねー」

「そうですね。あ、出てきたのは、随時送ってますよ」

「んー、今、見てるー。エレナちーん、サイズの履歴まだー?」

「あぅー、……もうちょっとー……」

「んじゃー、こっちはー、それ以外の資料作成から、やっちゃいますかー」


 お仕事の事だろう。けれど、まだ私には、誰が何をやっているのか、具体的には分からない。


「と言うわけでー、アカリちゃんー」

「は、はい!」

「これからー、ばんばん、情報流すからー、前の要領で、ばんばん、書き換えていってー」

「……う、は、はい!」


 前の、あの作業が、来るみたいである。


(ど、どれくらい来るんだろう…………)


 そして、情報が送られてくる。


(い、……いっぱい。………………ひ、ひえぇーーー!)


 宣言通り、ばんばん、情報が流されてくる。四苦八苦しながら私は、それこなしていく。この作業は、ここに来て、今の私が出来る、唯一の作業、なのかもしれない。


(ええっと、番号を日付に合わせて書き換えて、……で、……キーワード、……これをっと……)


 終わった、と思ったら、また次が来る。何度か、練習もさせてもらえていたので、前よりは、多少早く、作業ができる。


 だが、やはり量が前とは違う。

 多い。

 しかし、私でも、何とか出来る事であった。


 そして、一区切りがついたのか、情報はそこで止まった。


「おー、やるねー。アカリちゃん、それ、キーワード終わったら、休憩していいよー」


 作業をし続けながら、ミランダさんが言ってくれる。


 私も、言われた所まで、少し後に終了出来た。

 出来た資料をミランダさんに渡して、ふーっと一息つく。


「んー、おっけー。間違えも、無いねー」


 ユウカさんも、ちょうど一区切り、着いたようである。

 カップを持って、私とミランダさんの、後ろに来る。

 エレナさんは、まだ、作業中のようだ。


「アカリも、お茶、淹れてきたら? あら、ミランダさん、それ、もう、終わりそうなんですか?」


 仕事の話を始めたのか。とりあえず、私も、お茶を淹れてくる。戻ってきた時に、ユウカさんが言っていた。


「……え? …………そ、それ全部、流したんですか…………?」

「んー、そう。お昼くらいまで、かかると思ったんだけどねー」

「あのー、どうしたんですか……?」

「あ、アカリ、あなたこれ、あなたがやったのよね……?」


(え? ま、間違えでもしてたかな…………)


 そして、ミランダさんのモニターを見る。先程、私がやった物。

 それが、一部分だけれど、何やら、資料の中に入っているようだった。


「んー、そうだよねー。アカリちゃん。間違えも無いよー?」

「え? え? も、もう終わっちゃうじゃないですか。……え? 本当に……?」


 何か、ユウカさんは驚いている。


「んー、…………あーそっかー。思い出してきたわー」


 少し考えていた、ミランダさんが言い始める。


「確かー、ユウカちん、これ最初ー、苦労してたっけー?」

「え、ええ、…………慣れるまで、ずいぶん、かかりましたよ…………?」


 そして、私を見られる。


「………………あなたも、…………………………なの?」

「え?」

「…………あなたも、…………ミランダさんの、…………同類なのね…………本当に」


 少し呆れているようで、感心しているようでもある。


「えーっと、……どういう事ですか?」

「私、……これ、出来るようになるまで、……結構、かかったんだけれど……」

「んー、おかげで、今日は、早く済みそうだねー」


 つまり、私がやらせてもらった作業、ユウカさんの予想より、ずいぶん、早く終えていたようなのである。

 ミランダさんは、それに、後から気がついたようである。


「でもさー、ユウカちんはー、巡回の時とか、早かったじゃんー」

「あ、あれは、…………うーん…………」


 今度は巡回業務の事だろう。だが、そちらはまだ、私はやっていない。見ただけである。


「あのー、ユウカさんは、巡回業務、得意なんですか?」

「……そうね、……そうかも……」

「ユウカちん、あれ、早かったねー。覚えるの」

「……私は、車の運転も、出来ていたので……」

「……………………わたしー、………………まだ苦手ー」


 ミランダさんは、そちらは、苦手のようだ。


「じゃー、さくさく終わらせちゃおうかねー」

「…………そ、そうですね。………………これなら、早く終われそうだわ」


 そうして、また、作業に戻る。作業をしている途中で、セリカさんも戻ってきた。


 その後にすぐにお昼の時間になった。


 今日のお昼当番は、セリカさんとアンカ室長のようだった。リーゼさんとプランさんが用意してくれていた、お昼ごはんを食べ、お昼の休憩をする。


 部屋で少し、メモ帳に書き込んで、それから、少し早めに四階フロアーに戻る。

 戻ると、セリカさんが作業をしていた。


 そのセリカさんに呼ばれた。


「ねえ、アカリ、ちょっと良い?」

「あ、はい」


 そしてセリカさんの席に行く。相変わらず、大量のモニター。その中の一つに、分かる物があった。

 午前にやった、あの、私がやった、作業が付いている、資料。

 多分、ミランダさんがまとめて、セリカさんに、送ったのだろう。


「ねえ、これ、これって、もしかして、あなたがやったの?」

「え、いえ。資料はミランダさんが、……多分」


 だが、その手伝いはやっている。


「そうなの? あら。ずいぶん早いわね……」

「あのー、……間違えとか、……ありましたか?」

「いいえ? 問題ないわ。って、やっぱり、あなたも手伝ったんじゃないの?」

「ええと、お手伝いで、……あ、これです。これは、やらせてもらいましたけど……」

「……これ、……さっき、やったのよね?」

「はい、そうですけど……」


 その資料を確認しながら、少し目をパチクリさせてから、セリカさんが言う。


「……………………早いわね……………………」


 驚いているのか、褒めてくれているのか。まぁ、悪い気はしない。


「……ま、いいわ。じゃあ私お昼行くわね」


 そう言って、セリカさんは席を後にした。


 セリカさんのモニターを、もう一度見る。資料自体は、多分、ミランダさんが、作成したのだろう。その資料に、載っている物。私が、やらせてもらった事が、入っている。


 そのすぐ後に、エレナさんが戻って来て、なんと、そのエレナさんと一緒に、ミランダさんも戻ってきた。


(これまでだと、……ぎり、で来るんだけれど……)


 そのまま、午後の作業に入った。まだ、時間は、午後の仕事の時間では、無い。その時間ぐらいで、ユウカさんが、入ってきながら言う。


「あら、……ミランダさん、早いですね。……もう作業してるんですか?」

「うんーー。今日はーー、奮発ーーー」


 そして、言葉を繋げる。


「アッカリちゃーん、送っといたー」

「え、あ、はい!」


 そうして、私も作業に移る。


 先ほどと同じような作業、なのだが、ちょっと違う。

 やる事は似ているが、受け取った情報が、少し違った。

 その為、前と同じようにやろうとするが、中々、上手くいかない。


(ええっと…………あれ、………………前は、……ここに、…………あれ? あ、こっちに……)


 考えながら、作業を進める。その間、ちょくちょく、ミランダさんは、フォローの声を出してくれる。


「あー、アカリちゃん、これは、そっちじゃないよー。あ、そっちー。うん、そこー。書き方は一緒ねー」


 やりながら、ふと思う。今、私がやっているこの作業。これは、あの”ひずみ”に関しての資料。


(では、……昨日のあの資料は…………?)


 少し、疑問に思うが、今は目の前のこの作業。それに集中しないといけない。

 そう考え、作業に集中する。途中で、セリカさんもお昼を終え、戻って来ていた。


 そうして、時間が過ぎ、ミランダさんが言った。


「ふいー。これでー、……んー、アカリちゃんの作業も終わりかねー。でー、エレナちんー。まだかなー?」


 ユウカさんは、既に終わっていたようだ。苦手だと言っていたが、やはり今では早いのか。


「ひぃーん、……もうちょっとー。…………まってぇーーー……」


 作業をしながら、エレナさんが答える。

 その後、ユウカさんがミランダさんを見て言う。


「じゃあ、私の分、問題ないですか?」

「んー、おっけー。あと、まわしとくー」

「それじゃあ、私、上がりますね」

「んー、おつかれー」

「あら、早く終わったわね。お疲れ」


 少し離れた席の、セリカさんも、作業を続けながら言う。


「ひぃーーん、おつかれぇーーー!」


(エレナさん、……大変そう……)


 そんなエレナさんに、ユウカさんが、去り間際に言っていた。


「……エレナ、ガンバ!」

「ひぇーん、もう少しぃーーー」


 恐らく、そこまで作業を進めている、エレナさんの作業は、多分、手伝えなのであろう……。

 そういう訳で、ミランダさんはエレナさんの作業待ち、という事になったみたいだ。


 私も終わっているようなので、作業自体は終わっている。だが、疑問に思う事もあったので、ミランダさんに質問する。


「あの、ミランダさん、今、みんながやっている作業、なんですけど……」

「んー?」

「どういう割り振りなんですか……?」

「あー、うん。えーっとねー……」


 そして、ミランダさんが考え始める。だが、セリカさんも作業に区切りが着いたのか、こちらに来ながらそれに答える。


「ああ、今日やっているのは、ほら、昨日”ひずみ”が起きたでしょう?あれの、事後の報告書。あと資料作成ね」

「んー、そうそう。でー、今ー、私とアカリちゃんでやってたのがー、その資料の一部ねー」

「ええ、報告書は、ミランダと、……あとメイが帰ってきたら、巡回報告書。それから、皆の報告書もあるわ。そちらは、もう、みんな終わっている」


 皆の報告書。多分それはあれだ。”ひずみ”が起きたときに、どう、感じたのか、と言う、報告書。


「で、今は、事後の資料作成。昨日の”ひずみ”が、これまでの”ひずみ”と比べて、どうなのか。似た事例があったのか、場所は、規模は、時間は、発生時刻は。”ひずみ”自体に、他に変わった事は無かったか。ま、他にも、色々あるけれど、基本はそういう事ね。」

「でー、アカリちゃんがやってくれてたのがー、これまでの似た事例のー、資料の整理とかだねー」

「ええ、そういう事ね。他に、キーワード。ま、後で簡単に検索できるようにね」

「じゃあ、他のことは……?」

「巡回によって変わるけれど、今日は、過去の事例と、時間に関しては、ユウカが、昨日と今日でやってくれたわ。それから、ミランダが、その資料の作成、まとめ。発生時刻は、みんな分かっているけれど、ま、確認は必要ね。私は、その資料確認や修正をしているわ」

「ええっと、じゃあ、今エレナさんがやっているのが……」

「規模、それと位置ね。これまでの事例の資料と照らし合わせて、似た規模や位置の物を、まとめたり、探したり。ま、ある程度は、先にユウカが、ピックアップしてくれてるのだけど…………」


 そう言って、エレナさんを見る。エレナさんは未だ必死にやっている。


「……エレナ、苦手みたいなのよ。………………事務作業」


(なるほど………………)


「巡回は、すごいんだけどねー…………」


 私の頭の中でメモされる。


(エレナさんは、事務作業が苦手…………)


 ここの作業が分かってきた。ここの作業では、大きく分ければ、巡回作業と事務作業の二つ。

 事務作業は、資料作成や、報告書。巡回作業はよくわからないけれど。


「み、みなさん、……その、どちらが得意とか、……あるんですか?」

「そりゃあね。あるわよ、もちろん」

「私はー、資料は得意だけどー、巡回は、苦手ー……」

「私はどちらも出来るけど。……でも、巡回は、問題はあるかしら、ね」

「セリカっちはねー……」

「そういう意味では、今では、ユウカは、どちらもバランスが良いわ」

「ユウカちん、最初は資料苦手だったんだっけー」

「…………………………ええ、……ひどい、……物だったわ」

「い、意外です…………」

「で、エレナは、巡回は上手いんだけどね。特に”ひずみ”の発生時なんて、誰も付いていけないもの。けど、……………………資料に関しては、…………………………あれよ」


 ひぃーん、と言いながら、作業をしているエレナさん。


(なんか、…………うん。………………分かる)


「えーっと、ちなみに、……他の方たちは?」

「チュンってー、確か巡回のほうが良いって、言ってたよー?」

「メイは、…………ま、残念ね。まだどちらもまだまだ、って所ね」


 今巡回に行っている二人。まだ、戻ってこない。

 じゃあ、下の二人は、……と思った所で、エレナさんが声を上げる。


「お、終わったよぉーー! ミランダさーん」

「おー、出来たねー。んー、んー……ん。出来たよー、セリカっちー」

「確認するわ」


 そうして、セリカさんも席に戻る。それと同時くらいで、巡回の二人も戻ってきた。


「ん、おつかれ」

「……お、おつかれさまですぅー……」


 メイちゃん、ちょっと疲れ気味。チュンさんは、慣れているのか、疲れを感じさせない。


「おつかれー、二人ともー」

「おつかれさまぁー…………」


 エレナさんも疲れている様子。


「お疲れ様。ああ、ミランダ、問題ないわ。アンカに送っておくわ」

「おーし! じゃー終わりだー!」


「ん? もう終わったのか?」

「……は、早いですねぇー……」

「んー。今日は奮発したからねー」

「……じゃぁー、私もー、……上がるねぇー……」


 お疲れ気味のエレナさん。のそのそと、席を立つ。


「おつかれぇー、お先ー」

「お疲れ様ですー」

「お疲れ。それじゃ、メイ、こっちも報告書だ」


 ああ、これからこの二人は報告書の作成なんだ。大変だとは思うが、手伝いたくても手伝えない。


「じゃー、こっちも上がろっかー。アカリちゃん」

「あ、はい」

「んじゃー、おっさきー」

「お、お疲れ様です。お先です」

「「「お疲れ様」」」



残った皆に言われて、ミランダさんと、四階フロアーを後にした。



お読みいただき、ありがとうございます。


だんだん、アカリが、チート能力発揮して言っているようになって来ました……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ