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ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
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【五日目】 決断


 そのまま、私とミランダさんは食堂へ向かった。

 食堂には、プランさんとメイちゃんが居た。


「……あ、お疲れ様ですー」


 二人とも、待ってくれていたのだろうか。


「おつかれー。みんなはー?」

「……あ、すみません、もう先に」

「んー、じゃーこっちも食べようかー。あー、プランさんはー?」


 プランさんはコクコクと頷いて、5人分の食事を用意してくれていた。


(あれ? 5人分。……あと、……誰だろ?)


 どうやら、プランさんも私達と一緒に食事を取るみたいだ。


(で、メイちゃん、私、ミランダさんなので…………)


私が、そう考えていた所に、真後ろから声がかかる。


「お疲れ様」

「きゃっ!」


見ると、アンカ室長だった。


「…………あ、……アンカ室長、………………あ……あ、……お、お疲れ様です」


 前に、同じような目に、チュンさんが遭っていたはずだ。


「お疲れさまー、室長ー。真後ろで、いきなり、声かけんほうがいいよー?」


(…………うん。…………ちょっとびっくりした)


 メイちゃんは、プランさんの食事の準備を、手伝っていた。ミランダさんは、気付いていたようなのだが。


「あ、あら。ごめんなさい、アカリさん」

「…………いえ」


 前に、チュンさんが、驚いていた時の事を思い出す。今の私と、同じ思いをしたのだろうか。


「さ、食事にしましょうか」


 準備も整い、アンカ室長の挨拶で、食事が始まる。残念だが、今日の晩御飯は、この5人だけだった。


(”ひずみ”が起きると、こうなっちゃうんだなぁ…………)


 そんな事を思いながら、食事をしていた。そして、ふと気がつく。


(あれ? じゃあ今日は、…………朝は、お手伝いしたけれど、………昼も、……うーん分からないけれど、夜も…………?)


 ちょっと疑問に思ったので、食後に、プランさんに聞いてみた。聞いてみたら、夜、食事のお手伝いをしてくれたのは、セリカさんだと答えてくれた。


(あれ? ……セリカさん。……大丈夫だったのかな……)


 セリカさんは、とても辛そうだったので、あれ以降、まだ、寝ているものだと考えていた。


[アカリちゃん、気付いたと思うけれど]


「はい……?」


[リさんは、几帳面だから、どうしても時間がかかるの]


(確かに……)


[だから、手伝ってもらえる時だけで、良いの]


(ふむ……?)


 つまり、手が開いていれば、出来れば手伝ってくれればいいな、程度、という事なのだろう。

 そうすれば、単純に準備が早くなる、という所か。


(でも、……もう少し、……ざくっとでも、ちゃんと出来ると思うけれど。まぁ、リーゼさんの性格かな)


 そして、もう一つ教えてくれた。


[掃除は、もう終わっているから。アカリちゃんは今日は大丈夫よ。]


そう答えてくれた。


 食後の整理も終え、一度部屋に戻り、お風呂に向かう。今日はそのまま、その五人で、お風呂に向かう事になった。

 他のみんなとは、何度か既に一緒に行っていた。だが、アンカ室長とは初めてだった。

 部屋を出る時に、見た時間は、もう、《21:00》になろうとしていた。


 脱衣所では、アンカ室長は、手馴れた感じで、ミランダさんに言っていた。


「ほら、ミランダ、服は畳んでおきない」


 そんな事を言う、アンカ室長が、持っていた。


(…………お風呂セット、の中に、………………あ、アヒルさん。………………あ、あれで遊ぶのかな。……ここで、……みんな居るのに…………) 


 浴室に入り、見ると、アンカ室長の側には、ぷかぷかと、アヒルさんが浮いている。


「今日はみんな、お疲れ様でした」


 ぷかぷか。


「んー、まーしゃーないよー。あー、そういやさー室長ー。夜間はもう出てるんだよねー」

「ええ、もう出ていますよ」


 ぷかぷか。


「今日も、マイヤちゃんなわけー?」

「ええ、そうですけれど。あら? 言いませんでしたか?」

「……アンカ室長。…………何の事ですか?」


 見ると、みんなゆったりしているが、プランさんが、そのアヒルさんを、ぷかぷか、ゆらゆらさせて遊んでいた。


(い、意外!)


「あ、あら? マイヤさんから、直々に、夜間専属になるって。……言いませんでしたっけ?」

「……………………はい?」

「……………………………………え?」


 プランさんは、アヒルさんで遊びながら、コクコクと頷いている。


「あ、あら? 言ったと、思ったんですけれど……」

「しつちょぉーー。聞いてない! 言っていないー!」

「…………わ、私も、………………聞いてないです」


 これまで、私が来てから、ずっとそうだったので、私は、そうなのだろうと、思っていた。


「ご、ごめんなさい。伝え忘れてたかしら。……今後は、夜間は、基本、アリスさんと、マイヤさんになりますよ?」

「しつちょー、……上のみんなは、知らんのじゃない? それー」

「じゃ、じゃあまた、明日の朝にでも再度みんなに伝えますからっ!」


(………………聞いていない、という事は、言っていない。それは……再度、になるのだろうか……)


「…………まー、でもー。そっかー。マイヤちゃん、そうかもー、って思ってたけどー」

「……い、いつ決まったんですか?」

「確か、……五日前に言われてました。決まったのは、そのすぐ後、ですよ?」


 私が来た日。その日なのだろうか。


「あー、まー、それくらいの時はー、バタバタしてたしねー…………」


 コクコクと、アヒルさんを手放して、プランさんが頷く。そのアヒルさんを、受け取りつつ、アンカ室長が続ける。


「ええ、なので、今後は夜間は、基本的に当番制は、無くなりますので……」


 アヒルさんをぷかぷかしながら、アンカ室長が答える。

 内容は、大事な事なのであるはず。

 それを、伝え忘れていたらしき、アンカ室長。

 そして、アヒルさんを、プカプカしているので、緊張感の欠片も無い。


「ええ、ま、また、ちゃんと伝えますので」

「今度はー、忘れんといてー……」

「お、お願いしますぅー……」


 ミランダさんは、アンカ室長を攻めているようで、いつもの事、と言う感じ。この二人、いや、みんな慣れているのだろうか。意外ではあるが、アンカ室長は、結構、こう言った事が、多いのだろうか。


(だ、大丈夫、…………なのかな………………)


 それから、みんなでシャワー室に行き、そこでまた、ミランダさんが、アンカ室長に聞いていた。


「室長ー、この時間に入ってもー、やっぱ、また入るんー?」

「ええ、寝る前に」


 アンカ室長は、お風呂好き。私の頭の中に、メモをされていた事。しかし、寝る前、とは、何時くらいの事なのか。


「あのー、アンカ室長は、何時くらいに就寝されるんですか?」

「ええ、今日は、そうですね。……少し遅くなるかもしれません。1時くらいには寝れると良いんですけれど」


 その前に入る、という事。私の頭の中のメモに、二重丸で囲われる。

 

 ”アンカ室長は、大の、お風呂好き”


 お風呂を出て、脱衣所で、髪を乾かしたり、支度をする。寝る準備。

 やはり、ここでも、ミランダさん、メイちゃんは、ちょっと時間がかかる。そんなミランダさんに言われた。


「アカリちゃーん、もう疲れたっしょー? 先、戻ってていいよー」


 先に、支度を終えた、プランさんと、アンカ室長と、一緒に脱衣所を出た。


「……じゃあ、お休みなさい」

「お休みなさい」

「おやすみー」

「お休みなさい……」


 まだ、時間的には、そこまで遅くは無い。だが、今日は色々あったおかげで、私ももうお風呂に入ったら、寝てしまいそうだった。

 部屋に向かう途中、ちょっとフラっとした。そんな私を、プランさんがそっと背中を押して笑いかけてくれる。

 言葉は無いが、多分、こう言っている。


[お部屋まで、少し我慢してね。]


 そう、表情から読み取れる。アンカ室長も分かれ間際に言ってくれる。


「アカリさん、今日は色々大変でしたでしょう? 今日は、もう、ゆっくり休んでください」


 表情は無いが、声色で、気遣ってくれているのがよく分かる。


「はい、では、お疲れ様でした。お休みなさい……」

「お休み、アカリさん」


 優しげな、アンカ室長の声色。そして、コクコク、ニコニコ、とプランさん。


 部屋に戻る。

 灯りを点けずに、そのままベッドへ直行する。


 今日は、色々と疲れた。

 そして、色々と聞かされた。


 けれど、私は、もう、決めている。


 マイヤさんは、直々にアンカ室長に、伝えたのか。

 どう言ったのか分からないけれど、自分で、夜間の専属になりたい、と。


 (ならば、……私も、……伝えなければ。……話す事は決まっている。宣言する事も決まっている。そして、もう、変わらないだろう。……なら、早いうちに……………………)


 大変な日だった。


 そんな日でも、変わらなかった。


 それならば。



 そうして、私は深い眠りに落ちていった。



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