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ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
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【五日目】 リーゼと、プランとの、朝食作成

 夜が明け、朝に目が覚める。

 ベッドでぐっすりと寝ていた。

 時計を見ると、まだ、朝御飯の時間ではない。


 一度、枕に頭を乗せなおして、ぼーっと時計を見て、はっと気がつく。


(……あ! 朝御飯! 食事当番のお手伝い! リーゼさんから頼まれてた!)


 起きないと、と思い、慌てて起きて、もう一度時計を確認する。


(………………あ)


 寝起きで、少し時計を見間違えていた。

 準備するにしても、まだ、余裕があった。

 一時間、勘違いをしていた事に気がつく。


 時刻は《6:00》。


 これなら、今からちゃんと準備して、食堂に向かっても、十分間に合う。


 私は、ベッドを出て、朝の支度を始める。ここの部屋にも、少しずつ慣れてきたかもしれない。

 今日はしっかりと髪も整え、朝の身支度をする。

 身支度をしながら考える。


(……確か、今日から、食事当番は、プランさんと、リーゼさんだっけ。で、何故かは分からないけれど、リーゼさんはお手伝いが欲しいらしくて、私に頼んできたんだ。……うーん、お料理苦手なのかな。でも、メイちゃんは、凄く上手と言っていたはず。ん? だとすると…………)


 これまでのリーゼさんを思い出す。


(あの人は…………)


 今度は、メイちゃんが言いった事を思い出す。


(……も、もしかして、いや、あ、ありえる)


 次にエレナさんが言っていたことを思い出す。確か、プランさんもそれに付き合うと聞いた、掃除の時。


(いや、これ、多分。…………だとしたら、……………………た、確かにお手伝いが必要かも……)



 身支度を整え、洗濯物も準備して、その籠を持って部屋を出た。そして誰も居ない通路を、まず洗濯場へと向かった。

 着くと、一個だけ籠があった。

 私も、自分の定位置に自分の籠を置いて、食堂へ向かう。

 食堂に入ると、既にリーゼさんが居た。プランさんは、まだ来ていないみたいだ。


「おはようございます、リーゼさん」

「あ、おはよう、アカリさん。悪いね」


 今から準備を始めるようだ。


「あ、主任、おはようございます」


 私が調理室に来たところで、プランさんも入ってきた。


「おはようございます、プランさん」


 コクコクと頷いて、プランさんが入ってくる。少しばかり眠そうだ。これまでのプランさんのイメージからすると、少し珍しい。

 この二人が、昨日、お風呂の後に、仕事に向かってた事を思い出す。


(何時くらいまで、やってたんだろ……?)


 プランさんは少し眠そうな目で、リーゼさんを見る。そして小首をかしげる。


(あ、なるほど)


「リーゼさん、これから、何を作るんですか?」


 見ると、リーゼさんは、あの透明板。印刷した物であろう、それを持って来ていた。


「うん、今日はこれを作る」


 印刷物を見ると、写真も入っており、その内容が、なんとなく分かった。


(うん、普通の和食、…………かな。ご飯、お味噌汁、あと、……お魚? それから、……なんだろ、これ?)


 プランさんと私はそれを見る。そしてプランさんが、あの腕の機械を操作する。


[今日は和食? けれど、お魚仕入れてた?]


「ええ、前の物が。長期保存庫から取ってきました」


(長期保存庫? ……初めて聞く場所なんですが……)


[それから、ほうれん草のお浸しね。これも?]


「ええ、持ってきました」


(……あ、これが、ホウレンソウ。アンカ室長が言っていた、あれ。……じゃない)


 最初に、私が聞いた事があると思った食材。実は、それは、初めてである。

 現在、出回っている、食材は、昔は普通にあったけれど、ほとんど無くなった物も沢山あるらしい。

 これもその一つ。

 だから、私は、ほうれん草はこれまで食べた事が無かった。

 もちろん、その食材尾調理など初めてなわけである。

 魚も、出回っている事は出回っている。けれど高い。とっても高い。私にとっては高級食材だ。


[アカリさんが、初めての作る物、あるかしら?]


(正直、お味噌汁とお米以外は、……あ、大根、これもある。すりおろした大根)


「えと、これと、これは、…………やった事無いです」


すると、プランさんが、魚料理と、ほうれん草を指して、自分がやる、と言う風にジェスチャーする。


「そうですね。では、こちらは、味噌汁、お米、それから大根を」


 そして、プランさんが、私の肩をポンポンと叩いて、リーゼさんの方を指す。


(ああ、リーゼさんのお手伝いだっけ)


「では、アカリさん、完璧な調理をしますよ」


(………………思った通り)



 私とリーゼさん、それからプランさんで、作る物が決まった。

 そして、料理を始めていった。だが――――


「あ! アカリさん! 水はちゃんと、いや米も! しっかり計って! いや、一グラム違う! 水がその分量だと――」

「は、はいー!」


(お米は16人分、って多すぎじゃないですか!?)


「私と、エレナさんが三人分! だからこの分量で!」


(……って、食べすぎ…………………………)


 そして、やはり、私が思った通りであった。

 リーゼさんは、”完璧”にしたがる。だからお味噌汁も大変で――――


「アカリさん! まだ! まだそれは入れないで! あと30秒、いや28秒!」


 リーゼさんは、タイマーまで持っている。


(いや、そこまで管理しますか…………?)


 全ての調味料も、計りをかけて、印刷通りの分量ぴったりにしてから、書かれている時間ぴったりに、それを入れたりする。


「小さじ一回!? それじゃ、分量が分からないよ!」


 リーゼさんが、ネギを切る時なんか――――


「……お、同じ箇所。……お、同じ範囲で」


(………………いや、ネギ自体が、そんな全体が、同じでは無いですが)


 綺麗に同じ幅で切っていく。だが、そういう事に時間がかかり――――


「あ、時間! アカリさん! そっち、あと20秒! いや、あと18秒で火を消して!」


(………………………………お料理。…………………………ですよね………………?)


 言われた時間、いや、もう秒数で火を止めて、ふとプランさんを見てみれば、さくさくと、調理を進めている。だが、とても丁寧。だけれど早い。要領がものすごく良い。そして、とても上手である。

 一つ一つの作業自体は、とても丁寧なのだけれど、無駄な動きが一切無い、と言うのか。


(完璧です。プラン様………………)


 あたふたと、リーゼさんの手伝いをしながら思う。


(多分、このお二人は、基本普通にやっている事が、完璧すぎるプランさん、で、それを目指して、完璧にやろうとするけど中々上手くいかないリーゼさん。そういう関係…………)


 リーゼさんも決して、料理が下手な訳で無い。むしろ上手な方である。けれども、それの遥か上を行く、プラン様。


(………………メイちゃんが、…………頑張って、と言っていた事は、この事だったんだろう…………)


 今回は、まだ、簡単なお料理だったから良いが、これ、難しいお料理だと、どうなるのであろうか。

 そんなこんなで、ようやく朝食の準備が整ってくる。


「っく! ネギが! ……大きさが違う。…………な、何故」


(そういうものです、リーゼさん……………………)



 そうした料理が終わる頃、皆が食堂に入ってくる。


「おっはよー!」

「…………………………………………おはよぅ………………」

「おあようごさいあす」

「ああ、おはよう」

「あ、おはようございます」

「皆さん、おはよう」

「おはよう」


 エレナさん、アリスさん、マイヤさん、チュンさん、メイちゃん、アンカ室長、セリカさん、と、今日は皆、ほぼ同じくらいの時間に来ている。そして、もうすぐ朝食、と言う時間に――――


「おはよう」

「…………おはよー…………」


 ユウカさん、そして、何故か眠そうなミランダさんが入って来た。


 皆が、入って来るくらいから、食事の準備を始めていた私に、メイちゃんが(大丈夫だった?)と言う顔を向けてくる。

 私は、ちょっと苦笑いでそれを返す。


 リーゼさんと、完璧を目指して一緒に作ったのは、お米とお味噌汁。

 そして、その間に、さくさくと調理を進めていた、プランさんのお魚の料理と、ほうれん草のおひたし。あと、私がやった、大根おろし。

 その時は、リーゼさんは何も言ってこなかったが、それを分配する際に、計りを使って、きっちりと分配していました……。


 本格的な、和食の朝食。


 今では、こんな朝食は、あまりお目にかかれない。

 お料理も、あれだけ完璧にやろうとすると、正直ちょっと大変である。

 私は、大体これくらいで、と言う感覚で料理をしていた。そして、それは、メイちゃんも同じであった。美味しくなれば、それで良いと。


 お祖母ちゃんは、もっとざくっと、やってた事を思い出す。でもあれは、長年培った、経験からか、よく分かってるのかもしれない。

 リーゼさんは逆なのだろう。

 美味しくするには、完璧に調理して、分量もしっかりと決められた分量で、と。


(いや、決められている訳ではないですよー、リーゼさん…………)



 それから、朝食が始まる。これまでと同じ朝食の風景。


(プランさんが作った、お魚料理は…………うん、とっても美味しい。あ、でも、メイちゃん海鮮類がちょっと苦手って、言っていたような……)


 メイちゃんを見てみると、ちゃんと食べていた。


(……苦手と言っても、種類でもあるのかな? それから、リーゼさんと一緒に作ったお味噌汁は、………………うん、大丈夫です。リーゼさん。……………………ですよね?)


 リーゼさんを見てみると、うむむ、ふむふむ、うん、と納得している様子であった。


(あ、良かった。とりあえず、納得はしているみたい。…………けれど、やっぱり、ご飯はおかわりするんですね…………)


 リーゼさんはどちらかというと、背丈は低い方。そして、かなりスマートな体をしている。


(一体何処に入っていくのやら………………)



 そして、食事が終わり、食後の洗い物を行う。そして、リーゼさんは、ここでも完璧主義。

 一回洗って、納得いかなかったのか、もう一回。と、お鍋だから、時間もかかる。

 そして、ようやく思い出す。

 お皿洗いの時も、いつも一回じゃ無かった気がする。ちゃんと見ていなかったけれど。

 そして、プランさんは、やはりと言うのか。丁寧に、けれど、さくさくと、洗い物を済ませていました。

 その後は、リーゼさんが、ようやく納得いった所で、食堂の後片付けも終わった。



 部屋に戻る前に、洗い終えた洗濯物を取りに行く。リーゼさんと、プランさんも、一緒に行った。その大きな籠を持ち、部屋に戻る時に、リーゼさんに言われた。


「あ、アカリさん。お昼は大丈夫だから。もし、…………いや、うん。晩御飯の時に、また」


 そうは言われるけれど、と思い、プランさんを見ると、コクコクと頷いていた。


(まぁ、確かにお昼は人も少ないし…………)



 部屋に戻ってから、今度は仕事に向かう準備をする。メモ帳と筆記用具をポシェットに入れ、時計を見る。


(ああ、もうこんな時間なんだ)


 始業時間までは、まだ余裕はあるけれど、のんびり出来るという時間でもない。


 少し早いけれど、と思いながら、四階フロアーへ向かった。


お読みいただき、ありがとうございます。

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