【四日目】 皆でゲーム、そしてお風呂へ
まだ、感動しつつも、皆を見て、皆と話して、どんどん楽しくなった。
「あー! エレナちん!! それ食べすぎーー!」
「リリーゼ!? ここの取ったわね!?」
「んー? はぐ? ほれのほとへふは?」
「ははいもんはひはもんへー」
「ほら、口の中に入れすぎないで、あ、エレナさん、そっち熱いから」
「…………………………ん…………………………おぃし…………………………」
「アカリさう、こぉれ、おいしぃおー」
「これも良くできたんだよ。エレナさんもお料理上手なんだ」
「へー、これ、エレナさんが作ったんだー。……うん、とっても、美味しい!」
「ん。良い硬さだ。では、次は……」
「あ、プランさん! そっちは」
モグ……ンキュー…………コクコクコクコクコクコク…………
「………………あー、辛いって言おうと………………」
「おかしいわね? 少しカレー混ぜただけなのに」
「え!? い、いつの間に!?」
今までの食事とはまったく別の食事。これまで私が経験した事無い、パーティー。
ここでは普段、食事の時に話をしないメンバーも話をしている。
沢山用意されていた食事も、どんどん無くなっていった。
食べ物もほぼ無くなり、外はいつの間にか暗くなっていた。
少し、皆にしじまが出来た。
皆、楽しそうに、ゆっくりとしている。
楽しい食事をしながら、私はせめてそれだけは、と考えていた。
「あ、あのっ!」
皆の隙を狙って発言する。
「……ん?」
ゆっくりと、皆がこちらを向く。
「あ……えと。……皆さん、その……今日は……こんな、とても、楽しい時間を……私の為に……。ありがとうございます!」
今は、お礼しか言えないけれど。
すると、再度、皆から拍手されていた。
「んー、私達も楽しいーしー。主役が楽しんでくれればねー。ねー」
「うん、それが一番だな」
「今日は運が良いわ」
「そうですね。夜間も今日はお休みできますし」
(………………………………へ?)
「きょうあねー、あたしと、アリスは、おあすみできうの。セリカさうがいいって」
「……………………………………ん……………………そぅ。…………アカリちゃん…………色々………………運がいぃ……」
「それって…………?」
「今は気にしなくて良いわ。とにかく今日は夜間のこの二人はお休みなのよ。だから、皆参加できたし」
「そーそー、それにねー、まーだ、お楽しみはこれからーですよー!」
「ま、掃除はあるけどな」
笑いながらもチュンさんが言う。
(あ、掃除は普通にあるんだ)
そう思うけれど、それが普通。
「ああ、それは、今日はそう、出来るようにしていたので」
アンカ室長が、それに答える。
(ん? どういうことだろ?)
「あれぇ? どぅゆーことー? しつちょー」
私の代弁のようにエレナさんが聞く。
「昨日は広い所を色々詰め込んだでしょう? だから、今日はこの大テラスと、ここの通路だけですよ」
「な! だ、だから昨日は、あの広いところばっかりだったのか…………」
それを聞いてチュンさんが驚く。
(そ、それは知らなかったんだ………………)
「……え、ええ、申し訳なかったですけれど、その分、今日は皆も居るし、すぐ終わるでしょう?」
アンカ室長は、表情は変わらないが、声色が苦笑している。
「アンカはそこらへんの分配は上手ね。やっぱり」
セリカさんがアンカ室長を褒めるように言う。
(せ、説明とかもお上手でしたよ?)
「きょうなら、あたしたちも、はいえるし」
今日は、夜間の二人も掃除をしてくれるようである。
「ま、もう昨日の事はいいか。……で、どう分ける?」
チュンさんの声で話が先に進んだ。
「では、ここの食器の後片付けと、食器洗いは、メイさん、エレナさん、セリカさん。大テラスは、チュン、アリス、マイヤ、私。通路は、ユウカさん、プランさん、リーゼさん、ミランダ。あ、アカリさんは食器片付けを……今日はせっかくの主役ですが」
「あ、全然、それくらいは!」
全く問題は無い。
こんな事をやってくれてもらって、食器の片づけくらい、やらせてもらえないと、本当に申し訳が立たない。
「じゃーさっさっと、やっちゃいますかー」
ミランダさんは通路の掃除に向かうのだろう、テラスの入り口に向かいながら言う。
「あー、アカリちゃーん! この後はあそこだよー!」
(………………ほへ? …………え? この後? …………もしかして、あそこへ行く気ですか? 更に、この後に)
「…………………………………………あれ。……………………………………………………………………まだやってない」
そう言いながら、アリスさんもふらふらと入り口へ向かう。
「さ、それじゃあ、片付けを始めましょう」
そうアンカ室長の言葉で、みんなが掃除を始めだした。
私も食器を片付け始める。
沢山食器も在ったけれど、皆でやると本当早い。
私も最初は食器を食堂に持って行って、その後はメイちゃんと一緒に食器洗い。
セリカさんと、エレナさんが食器をどんどん持ってくる。
多分、その間に、他の人達で通路と、先程の大テラスを掃除しているのだろう。
食器運びが終わると、セリカさんとエレナさんが、私達が洗った食器を、拭いて定位置に戻してくれた。
だから、あっという間に掃除が終わった。
「これで終わりかしら?」
「……あ、はい、それで全部です」
「はっやいねぇ。みんなでやるとあっという間だねぇ」
私と同じ事を感じているエレナさん。
「ええ、いつも、こうなら良いのだけれど」
セリカさんが笑顔で言う。
そしてエプロンを外すと同時にミランダさんがやって来た。
「こっち、終わったよー、さー、いこーいこー、ほらほらー、みんなもー」
「元気なものね。良いことだけれど」
「……あ、て、テラスは……?」
「そっちも終了ー! ほらほらー、みんなで天国へー!」
(うん、やっぱりあそこ。娯楽室)
娯楽室はミランダさんには天国のご様子。
そうして、食堂に居た、私を含めて四人も、娯楽室に向かう。
向かう際に、メイちゃんがセリカさんに聞いていた。
「あ、あの…………今日は、本当に……?」
「そうね。ま、大丈夫だと思うわ」
それに関してはなんの事なのかまだ詳しくは分からない。
ただ、これまでの話から、おそらく、”ひずみ”の事だろうとは思う。
「今って、まだー、あれぇ? 何時だったっけ?」
「あ、さっき出る時見ました。まだ、6時前でしたよ」
(今日は確か、《14:30》くらいに仕事が終わって、それから、モニター室で二時間くらい。それで、そこから大テラスで、1時間ちょっと。で、掃除が15分くらいで終わってる。うん、多分それくらい)
「じゃぁ、ご飯も終わったし、後はお風呂だけだもんねぇ」
「………………あ、私、洗濯まだだったわ」
エレナさんの言葉を聞いて、セリカさんが呟く。
(………………あ、そういえば今日、…………いくつか足りなかった。一人はセリカさんだったのか…………私は、てっきりもう誰かが持って行った後かと………………で、多分もう一人は、ミランダさん。…………………………多分、それだけは………………間違いない………………うん)
そして娯楽室に入る。
もう既に皆居た。
アンカ室長も、アリスさんも、マイヤさんも。
これまでだと、あまり揃わなかったメンバー。
ただ、これだけ人数が居ると、さすがにここでも少し手狭にも見える。
「ここで全員揃うのって、いつ以来かしら?」
「……はい、私も久しぶりのような気がします」
最近ではあまり無かったのか。
そうだとすると、確かに私は運が良いのかも。
そんな日に歓迎会をやってもらって、そしてこれから……。
「よっしゃー!! みんな揃ったー! アリスちゃん!! あれやるよー! とうとうやっちゃうよーー!!」
みんなが居たのは、前にチュンさんが読書をしていた、あのスペース。
娯楽室の中に、ソファーと、大きなテーブルがある場所。
(うん、これだけ人数が居ても、そこならみんなで集まれる)
「私は、そのゲームなのか何かは知らんが、この人数でも出来るのか?」
「…………………………………………うん…………………………………………………………多分………………………………………………?」
低血圧っぽいのはいつもだったのか、アリスさんがそう答える。
「それって、手札が見えたらまずいとか、そういうルールはあるの?」
「だいじょうぶそぅ。アリスが、かうとき、すこしみたかあ」
(そういえば、トランプとかをやる時は、モニター室じゃないと、ミランダさんが見えてしまうとかなんとか……)
「じゃあここで良いかしら? それじゃあ折角だし、みんなでやりましょうか」
(なるほど、こういう風に皆が揃うと、やっぱり仕切るのはアンカ室長なんだ。やっぱり室長なんだなー)
私は、そんな、どうでもいい事を考えながら、私もソファーの元へ行く。
ちなみに既に、テーブルを囲うように、ソファーが並べられていた。
(…………ソファー。………………こ、こんなにあったっけ?)
皆でテーブルを囲う。
そして、ミランダさんが取り出したのは、何やら、大きな箱。
「ね、ねえ、先にルールを教えてよ」
「えー? 私もこれ初めてだよー? アリスちゃんが買ったからー。知ってるー?」
「…………………………………………?」
全員でアリスさんを見るが……。
「……………………………………………………???」
(…………………………………………考え込んでいる。……………………え…………知らずに買ったの…………?)
「……じゃ、じゃあ、ミランダ、説明書が入っているでしょ?」
そう、アンカ室長がフォロー発言をしてくれている。
(あ、ここも仕切ってくれるみたい……)
ミランダさんが取り出した箱を、今度はプランさんがごそごそと開け、中のものを丁寧にテーブルに置いていく。
そして、最後に取り出したのが、紙。
(…………………………あれが、説明書?)
プランさんは、それをアンカ室長に手渡す。
「ねぇねぇ、まだぁ?」
エレナさんがアンカ室長を急かす。
「ちょ、ちょっと待って。………………えー………………」
アンカ室長が説明書を読んでいる間に、プランさんが、箱から取り出した物を皆で見る。
「こぇ、なぁに?」
「小さいな。ん? ああ、こっちは大きいな」
「これを、基盤にするんじゃないですか?」
「数は。…………多いわね。…………これって、20人くらいでも出来るんじゃないの?」
「なぁに? これ。あれぇ? 前にもこんなの無かったっけ?」
「んー、どれー? エレナちーん、ちょっとそこ立たないでー。もちっと左行ってー」
「………………………………………………そう。………………………………………………………………こんなんだった」
「……あ、これって前にやった、……何でしたっけ? 似てませんか?」
「んー? あー、んー、確かにーって、エレナちん、ちょ、見えんからそこー」
皆が、口々にそう言っているところに、ようやく説明書を読んだらしきアンカ室長が説明し始める。
「……大体分かりました。確かにこれは、似てますね。ルールは、ほら、これを回して、順番に……」
そう説明し始める。
そのついでに準備もし始める。
プランさんがその横でアンカ室長のお手伝い。
(気配り達人プラン様………………ここでも顕在………………)
「……で、これでその人の順番はお終いですね。それで順々にそれをやっていくんですね。それで、最後に、…………ああ、これですね。ここに最初に着いた人が一着。確かに前やった………………………………?…………?」
「「「「「「「…………………………?…………………………」」」」」」」」
「……な、名前はさておき、それに似てますねっ!」
(…………あ、その前の、ゲームの名前を忘れたみたい。………………いや、言われても、私分かりませんけど………………)
「じゃあ、始めましょうか。では、順番は……」
「前は確か、じゃんけんで決めたわね。…………………………………………あれは時間がかかり過ぎるわ」
「じゃあさー、めんどーだしー、室長から、時計回りでいいんじゃないのー?」
コクコク、っとプランさん。
(確かに………………この人数でじゃんけんしてたら、……………………それは確かに時間がかかりそう……)
「ふ、不正は出来ませんよね!?」
「ええ、このルールなら、……ええ、ミランダがどこから見ても大丈夫みたいですよ」
(リーゼさん、そこまで一番取りたいのか…………)
「では、始めちゃいましょうか」
そのユウカさんの掛け声で、ゲームが始まった。
「で、では……私から、ですね。…………で、では、えー、これを回して……」
皆でアンカ室長を見る。
ゲームは昔のボードゲームなのか。アナログ式の素材たち。
そして、これが自分になるのだろうか、人の形をした小さな人形が置かれている。
それらは、全部の形と色がそれぞれ違う。
綺麗に順番に置かれていたので、私の順番は、あれかな、とすぐ分かる。プラン様の綺麗な配置で、私の人形がどれかもちゃんと分かった。
そしてアンカ室長が回した、一つのルーレット。
カラカラカラ、っとそれは回る。
「あ! これで、私がここまで進めれるんですね」
進んだ先には何やら文字が書かれている。
「あら、室長、ここって……」
ユウカさんがそれを指摘する。
(………………ハジメニモドル………………)
「………………………………っと言う感じで、進んでいくんですねっ!」
(…………………………進んでません、アンカ室長………………)
そしてその次はプランさん。
そこから順番に進んでいく。
何人かが同じように、ハジメニモドル。
よくよく見てみれば、その理由も書いてある。
<ヨノナカ・ソンナニ・アマクナイ>
(よく分かりません、その理由…………)
そして、次は私の番。皆がやってたように、クルクルっと回して見る。
「おー、アカリちゃんー、ハジメニモドラン、ねー。この位置はお初だねー」
私の人形はそこに進んだ。そしてそこに書いてある。
<パスポート・ゲット>
(何の事やら……)
そのまま順番が回っていった。ゲームを進めて行くと、なんとなく分かってきた。
どうやら、これは、世界一周をするボードゲームらしい。
初めは皆、これってどういうことー? とか言いながら進めていたが、だんだんと皆、慣れてきた。
今、私はどうやら2着。
何カ国か既に進んでいた。
そして、一着が、アリスさん。
私より、ちょっと先まで進んでいる。
……で、二人同時にどんけつが……。
(………………リーゼさんと、…………………………アンカ室長)
<ハジメニモドル>
リーゼさんなんかは、ようやく次に行けそうだったのに……。
<パスポート・ナイヒト・ハジメニモドル>
そして、アンカ室長は…………
<パスポート・ナクシテ・ハジメニモドル・イッカイヤスミ>
かける言葉が見つからない……………………。
他の皆はまぁ、順調に進んでいた。
しかしミランダさんの番。
-カラカラカラ-
「おー! これだけ進めればー……ってあれー…………? あ、あれー? ナニコレー!?」
「にゃはははは!ミランダさんお休みだー!」
「………………………………………………おめでとぅ。…………………………ップ………………」
そこには、こう書いてあった。
<トクトウショウ・アナタハ・ウチュウリョコウ・サンカイヤスミ>
(と、特等賞…………? い、いや大ハズレ………………って、アリスさん、今吹き出しましたよね。…………おめでとうって………………)
そしてゲームは進んでいった。
慣れてくると面白い。
いや、よく分からない内容で戻されたり、勝手に進んでしまったり。
メイちゃんなんかは……。
「…………あ、ううー、2カ国戻されちゃい…………あ、あれ? 今度はこっちに……………………」
一時、一位になってたり。
皆でやるゲーム。
大人数でやるゲーム。
すごく、とっても、うん、楽しい!
そしていつの間にか、ゲームは終盤戦へ。
なのだけれど……。
「ど、どうしてそこで……?」
とアンカ室長。
トクトクショウが当たりました…………。
(………………………………………………ぐっすん)
そして、結局一番は、プランさん。
ニコニコ笑いつつ、一番とっちゃいました。
で、二番がアリスさん。
「…………………………残念…………」
と、もう少しだったのに。
で、三番目に私。
「え、え? じゃあ、これで?」
「おおーアカリちゃんー。三着おめでとー!」
と四着になったミランダさん。
で、五着。
「……あ、これで到着です」
とメイちゃん。
そして、六着がエレナさん。
「あぅー、みんな早いよぅー」
そしてその後、マイヤさん。
「ななちゃくだよー、こえ、おもしおぃー」
順番は気にしていないようだ。
で八着、ユウカさんは残念そう。
「あそこで……戻されなければね…………」
そして、九着はチュンさん。
「くっ! 引きが弱すぎる!」
うん、悔しそう。
十着はアンカ室長。
「最初のあれが厳しすぎたわね……」
で、ビリ争いが、リーゼさんとセリカさん…………。
セリカさん、途中までは順調だったのに……。
「ちょ、これって何かの間違いじゃないの!?」
一応十一位になりました。
で…………最後に…………あぅ…………リーゼさん…………
「…………………………これは……………………悪意を感じます………………」
最初から、最後までついていなかったご様子で………………。
そんなこんなで皆でやったこのゲーム。
順番はさておき、皆それぞれ楽しんでいた。
「これってー、やっぱり運なのかねー?」
「……私がついて無かったなんて…………」
「最初の所が突破するのが難しいわね、これ」
「おもしおいおー、こぇー」
「……………………次は……………………一位を…………とる……………………」
買った本人のアリスさんは、次に一位を目指すようだ。
それに対してプランさんはニコニコと笑って返す。
「……………………こ、これは………………回し方にコツがあるのかも…………? いや、しかし…………」
なにやらリーゼさんは分析をしているようで。
「まぁ、確かに楽しかったですね。」
とアンカ室長。
アンカ室長も、順番にはそんなに気にしていないようで。
そして、また、皆揃った時にやりましょう、と、そのゲームをしまい始める。
皆でそのゲームを仕舞っていると、アンカ室長は一度室長室に戻ると言う。
セリカさんもそれに着いて行くようである。
「じゃあ、ほかの皆でお風呂いこっかー」
とミランダさん。
「いや、すまないが、私は寝る前に入る」
とチュンさん。
お風呂に入ると眠ってしまうと言ってた、チュンさんには、まだ早い時間なのかもしれない。
「私も、時間は決めているから。他のみんなで行って来たら?」
とユウカさん。
「………………………………私は……………………入る」
とアリスさん。少し眠そう。
(大丈夫かな…………)
そして、行く人は、私、メイちゃん、ミランダさん、プランさん、リーゼさん、エレナさん、アリスさん、マイヤさんの8人となった。
結構な大所帯。
けれども娯楽室の目の前にある、そのオンセンなら大丈夫。全員で入っても、まだ余裕があるくらい広い。
皆で食事をして、皆でゲームをして、皆でお風呂に入る。一度皆部屋に戻って、着替えを取ってきて、わいわいがやがやと、お風呂に入る。そして、脱衣所でちょっと気がついた。
ここに来てない人たちは、よく分からないけど、エレナさんは……。
ほんっと羨ましいお体してて………………。
いや、羨ましいと言えば、プランさん。……………………完璧超人?
いや、印象にぴったりなお体…………。
出ている所はしっかり出ているけれど、全体的にスレンダー。
(…………………………………………どうしたら………………………………………………そんな風になれますか…………? ……………………………………ぐっすん)
エレナさん、ミランダさんはやっぱり脱いだ服がちょっと雑に籠の中。そして早い。
二人して一番にお風呂へ入っていく。
いや、エレナさんがミランダさんを引っ張ってってる。
(お、お二人とも、 他の人達は、脱いだ服をきちんと畳んでいますよー?)
だが、リーゼさんは、服を畳むのもこだわりがあるのか、あーでもない、こーでもない、と服を畳んでいた。
(そ、それ、この後お洗濯するんですよね…………?)
そして、流し湯をかけて、皆で湯船へ。
湯船でのんびりしていると、ユラユラ、ガックン、とアリスさんは寝かけてしまう。それをマイヤさんがゆさゆさして起こす。
プランさんは、寝ても良いようになのか、アリスさんを支えていました……。
「あ、アリスちゃん、お風呂で寝ちゃったらおぼれちゃうよ……」
とメイちゃん。
(もしかして、チュンさんも………………そうなっちゃう?)
メイちゃんとミランダさんとは二度目のお風呂。あ、エレナさんも。
(ミランダさん、前に言っていたっけ。”お風呂にもカメラはついてないからねー”って)
ここだと何にも見えてないのか、そんなミランダさんは。
「ふはー、気持ち良いねー、ゴクラク、ゴクラクー。」
と気持ち良さそう。
チラッと右目が見えた。左目と同じ、綺麗な瞳。
「んー? どったのー? アカリちゃんー」
「…………え!?」
見えていないはず。今、私がミランダさんを見ていた事は。
「もしかしてー。これから、また娯楽室行きたいー?」
「え、あ、いえ、じゃなくて」
「まぁ、確かに、時間はまだありますけど」
「あー、あれねー。あれさー、いつの間にかさー。セリカさんがー、…………高スコア、出してた…………」
あれとは昨日やらせてもらった、あのゲームの事だろう。
だが私は、なんでミンランダさんが、私に気がついたのか、聞きたかった。しかし、皆がいるから聞き辛かった。
すると、突然リーゼさんが気がついたように叫んだ。
「………………ん、…………あ!あ!あああああっ!!」
「はう! …………リさ、どぅしあの?」
いきなり叫んだリーゼさん、その隣に居た、マイヤさんが驚く。
「…………………………………………ん……………………………………びっくり…………………………………………」
あまり、驚いていたようには見えないけれど、アリスさんもそう呟く。
(というか、今、ちょっと寝かけてませんでしたか…………?)
プランさんも「?」と言う顔をしている。
「しゅ、主任! あれ! 給水の! 思いつきましたよ! そうか! こうすれば……行きましょう!」
「……あぅー、……リちゃんの火が点いたよぅ」
「……え? め、メイちゃん……?」
私には、一体何が起きたのか分からない。メイちゃんにどうしたのか聞いてみた。
「……あ、た、多分お仕事の事で、思いついちゃったんだと……」
それから、ふと見たら、リーゼさんがプランさんを連れ出していた。
「さあ! 行きましょう! 今! いつやるんですか!? 今でしょ!」
誰かが言いそうな言葉を言いながら、行ってしまった。
(どこからどういう考えをして、どんな事を気がついたのか…………よく分からないけれど…………)
そして、二人は去っていった。
「……どうして、今ー、何にどうやってー、気がついたのかねー……?」
ミランダさんもそれに関しては、私と同じ考えのみたいである。
「……たまーに、リーゼさん、……こういう事あるみたいなの」
苦笑しながらメイちゃんが教えてくれた。
(…………………………何? 一体……………………)
それから、ゆっくり、のんびりしていた湯船を出て、皆でシャワー室で体を洗って、脱衣所で、ゆっくりと体を冷ましていた。
やはり、ミランダさんと、メイちゃんは、髪を乾かすのに時間がかかっている模様。
(まあ、あれだけ長いとそうだよね)
エレナさんはふらふら、よろよろしていたアリスさんと一緒に、それをゆさゆさしながらマイヤさんも先に脱衣所を出て行った。
「おっさきー。アリスちゃん、もぅ寝ちゃいそうだよぅー」
「アリス、おへあまで、ねたあ、だえだおぅ、はうー」
ゆさゆさ……ゆっさゆっさ…………
「…………………………ん………………………………まだ………………………………起きてる……………………」
そんな感じで出て行った。
そして、残った私、ミランダさん、メイちゃん。
初日を思い出すメンバーが残った。
髪を乾かしながら、ミランダさんが言う。
「ねー、メイちゃん、この後一緒するー? ごらくしつー」
(あ、ミランダさんは…………やっぱりまた行く気のよう………………)
「……あ、そうですね。……あれ? ……あ! ご、ごめんなさい! 昨日カップを洗ってる途中でした!」
(あ、あのお部屋にあったカップ。大量の。お手入れしてたんだ……。すっごく時間かかりそう……)
「あー……そりゃー、私、手伝えんわー…………」
「……す、すみません」
「今ってー、一体、いくつあるんー?」
「……………………え、えーっと………………………………? ……………………?」
(うん、ご自分でも数を把握しきれないみたい………………メイちゃん………………)
「アカリちゃん、どーするー?」
(どうする? あ、メイちゃんの手伝いをするかどうかって事かな?)
「あ、そうですね、」
そう言いかけた所に、メイちゃんが言う。
「あ、いいよ、アカリちゃん。ミランダさんと娯楽室でも」
「え、でも、沢山あるよね?」
「うん。……でも、色々お手入れの仕方も違うし。今途中になっちゃってるし。また、今度、その、手伝ってくれると、嬉しいかな……」
(うーん…………メイちゃん本人がそう言うのなら…………)
確かに、色々種類も豊富そうだったし、色々、お手入れの仕方もあるんだろう。
また、今度。
その時に手伝ってあげれば良いのかも。
無理に手伝うと言っても、メイちゃんが困っても悪いし。
「うん、じゃあ、いつでも呼んでね」
そう言うと、メイちゃんもこれまでくれた、変わらない笑顔を返してくれた。
「うん」
「んじゃー! アッカリちゃーん! セリカさんを追い抜くよー!」
まだ、髪を乾かしながらミランダさんが言う。
それから、しばらくして、メイちゃんも支度を終えて、先に脱衣所を出て行った。
「……じゃあ、またね、アカリちゃん」
「うん。大変そうだったら、いつでも言ってね」
それを聞きながら、ようやくセットが終えたのか、ミランダさんが支度をしながら言う。
「んーんー、仲良き事はー、良き事だねー。んじゃーアカリちゃんー、おまたー。さーさー、じゃー行こうかー」
そして、私は、ミランダさんと一緒に脱衣所を出て行った。
お読みいただきありがとうございます。




