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ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
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【三日目】 ユウカとの掃除


 メイちゃんとセリカさんは食事当番。

 アリスさんとマイヤさんは夜のお仕事。


(アンカ室長は、まだお仕事中……? なのかな……)


 アンカ室長が週で全部を回れるよう、割り振りをしているという、掃除場所。

 三階はミランダさん、チュンさん、エレナさん。一階はリーゼさん、プランさん。

 そして、二階はユウカさんと私。


 この広いお城を、この人数で掃除できるよう、考えているのだろう。今日はこの二階は通路だけのようだ。確かに皆が一番使う所だし、そこは毎日でもおかしくない。


 他の階の掃除用具室は別にあるみたいだった。三階を案内されたときにそんなのあっただろうか、と思ったが、とりあえず私は二階通路。


 あの掃除用具室の所でチュンさん、ミランダさん、リーゼさんと分かれ、掃除用具室に入る。

 そして、一昨日前の記憶を頼りに、確か、あれと、これと……と道具を集め始めた。


 そこにユウカさんが入ってくる。


「ああ、アカリ、お疲れ」

「あ、お疲れ様です。ユウカさん」

「一度通路掃除はしているんだっけ?」

「あ、はい。この前、ミランダさんと…………」

「ああ、…………あの人は、所々に見えない箇所があるから…………それはもう分かってるよね。ちゃんとフォローはしてあげてね」

「は、はい…………」


 だが、正直詳しくは分かっていない。ちゃんと、それをミランダさんには聞いていない。

聞けていない。

 それにしても、今日は、よくよくユウカさんと二人っきりになる。朝テラスでと、昼過ぎに洗濯場で、そして今ここで。


 そして、その時に、何か言いたげであり、私に促しているようでもある、何かを、言っていた気がする。


〈アカリは…………何も教えてくれないんだね〉


 私はまだ、ここの事も、皆の事もよくは知らない。私が、教えられる事なんて……ここには無い。もし、私が何かを教えられるとしたら……それは……私の――


「なにしてるの? アカリ、行くよ?」

「……え、あ、は、はい!」


 そしてユウカさんは、エレベーターの方へ歩き出す。


(あれ? 前ミランダさんとやったときは、逆から……)

「……あ、あのユウカさん」

「何?」

「あ、あのー、前にミランダさんとここをお掃除した時は、食堂の方からでしたけれど……」

「それで?」

 え? と思うが、あ、と気がついて続ける。

「今日は……逆からなんですか? それとも、皆さんでやり始める所が違うんですか?」


 それを聞いて、「それで?」とまた答えられるかとも思ったが、ユウカさんはゆっくりと頷いて答えてくれる。


「うん、ミランダさんだけね。本当はこっちからが正解。まぁ、どちらから始めても全部やれればあまり変わりは無いけれど。ミランダさんの場合は、そちらからやる方が、よく分かるそうよ。

ただ、こちらの方が人が通る回数も多いし、あちらだと、あまり通らない通路もあるから。

時間的に間に合わなさそうな時には、その通路はやらない事もあるのよ。ああ、その通路というのは、食堂を真っ直ぐ行ったほうの通路ね」


 ユウカさんはちゃんと細かく説明してくれた。

 その説明が終わる頃には十字路に着く。


「じゃあ、私はエレベーターの方からやるから。アカリ、小テラスのほうからお願いね」

「あ、はい。了解です」


 そう言って別れる時、ユウカさんは少し、笑っているように見えた。


 小テラスの所から、教えられた要領で掃除を進める。


 ここで少し気がついたのだが、そう言えば、この前掃除した、そう、ユウカさんがやらない事もある、と言った、何があるのか分からない扉の所の通路は、綺麗な物だった。

 比べると、ここは綺麗でないという訳ではないが、なんとなく、よく使われているように思える。

 なるほど、確かにこちらの通路は、皆の部屋もあるし、皆がお仕事に行く時に必ず通るし、使用頻度が違うのだろう。ほとんど無音の掃除機を丹念にかけながら、少し考える。


(…………どうして、先程はあれほど細かく教えてくれたのか)


 会議室でユウカさんは言った。洗濯場でも何かを言いかけた。


 (そして…………その…………すぐそこのテラスで…………朝…………私は…………ちゃんと……質問が出来ていなかった……。……………………そう………………気がついた。………………もしかしたら、気がついていたかもしれない。………………でも…………………………………………その………………質問をする為には……………………。

………………けれど………………ここで働く事、それは…………とっても――――――――。

…………大事で………………真剣に考えて…………………………真剣に悩んで………………………………。

……………………だから………………私も………………私の事に…………………………真剣に向き合わないと)


 はっと気がつく。どうやら、考え込んでしまっていた為、かなりここの通路で時間を食っていた。十字路で見回すが、ユウカさんは既に居ない。


 ユウカさんは既に、エレベーター付近を終え、その先の通路も終え、既に私のずいぶん先に行っていたようだった。


 しまった! お掃除中だった! と考え直し、ユウカさんの所まで急ぐ。


「す、すみません! お時間かかっちゃって!」


 食堂の所の十字路でユウカさんに追いついた。


「ああ、後、ここの通路とそこ、あとそこで終わりだよ」


 ずいぶんと、考え込んでしまっていたようだ。しかし、ユウカさんはそこで私に何も言う事も無く、掃除を続ける。


「じゃあ私こっちからやるから。アカリ、食堂の所からお願いね」

「あ、はい!」


 食堂の入り口の所に行き掃除を始める。食堂からはいい香りがしている。


(……確かメイちゃんと、セリカさんでお料理してるんだっけ?………………ま、またカレーじゃないよね?)


 そんな事を思ってしまうが、先程の遅れもあるので、今度は掃除に集中する。けれど、先程の考えは頭から離れてくれない。


 そして、その考えの先に………………おそらく、私は、ようやく辿り着いていた。

 掃除をしながら十字路に戻ると、ちょうどユウカさんも戻ってきた所のようだ。


「じゃあ、あとそこの通路で終わりだね」

「はい。えと、そこが普段あまり使わない通路なんですよね?」


 掃除を始めながら、ユウカさんに聞く。


「うん。そうだね。何も用事も無いし」

「えと、私二階はずいぶん案内してもらえたんですけれど、ここの通路のお部屋は何かは聞けてなくて…………あの、なんのお部屋なんですか? いくつかありますけど……」

「うん。こっちは全部ただの空き部屋。もし、人数が増えたら、そこも誰かの部屋になるのかもね。でも今は誰も使って無いわ。ちょっと他の人の部屋とも遠いしね」

「あ、そうなんですね。ありがとうございます」

「うん」


なんとなく、ユウカさんが言いたかった事、私に教えてくれようとした事が、分かった気がした。


「じゃあこれでお仕舞いね」

「はい! …………お掃除は、他のお部屋とかは、また別の日にやるんですか?」

「うん……それだけは…………室長が毎日決めてるよ。だからさ、そのー……私達も明日どこだとか分からないんだよね……」

「そうなんですね。えへへ」


 少しずつだけれど、糸が解けて行く様な感覚を感じる。

 掃除用具を戻すために、用具室に戻り、少しお手入れをしてから、元の場所に戻す。


(そうだ、こういうのが、今日アンカ室長が言っていた、”5S”になるのかな?)


やりながらそう思い出す。丁寧に元の場所に戻している時に、ふとユウカさんが私に話し出す。


「あのさ…………アカリ」

「はい。どうしましたか?」

「…………えーと……………………私、ね…………夜にね…………誰も居ない大テラスでお茶する事があるんだよね…………」

「あ………………そういえば…………そこはまだ行ってないです」

「…………あ、そ、なんだ。ん…………ま、まぁさ。うん。…………それだけなんだけど」


 ユウカさんが、何か言いたそうだけれど、言えないでいる。


 けれども、そのメッセージは、今は分かった。


「気持ち、良さそうですね」

「……うん。ま…………ね。今日とか………………お風呂上りとか気持ち良いかもね」

「そうですね。はい」

「うん。…………あ、じゃあさ、掃除も終わったし、私、部屋に一度戻るね」

「はい、お疲れ様です」

「うん。おつかれさま」


 そして、そこでユウカさんは部屋を出て行った。



(……………………あ、でも………………いつお風呂入るんだろ…………?)



お読みいただきありがとうございます。


この日は…………詰め込みすぎました………………

いつか、上手くまとめたいですが……………………

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