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ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
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【三日目】 ユウカのヒント


 食堂を後にしようとする時にも、ミランダさんは笑い続けていた。


「ナイワー! コレナイワー! クワッハー!」


(……いや、クワッハーって………………何………………?で、でも、内緒にって言われたけれど……あれじゃあ誰か気付くんじゃ……いや、もう、気付かれてると思うけれど……)


 そう思いつつ十字路の所に来て、ふと思い出す。


(………………あ! そうだ、お洗濯物!)


 朝、今日連れられて来て、ベッドのシーツやタオルを洗って置いたのだ。

 チュンさんには、食後に取りに来るって言っていた。


(あれ? でもミランダさんのを、お手伝いをした時には来なかった……あれ?)


 ともかく、自分の分は、ミランダさんの手伝いをした時に一緒に持って来れば良かったのだけれど、あの、大量のシーツの山に気が行っていて、すっかり忘れていた。

 仕事が終わってからでもいいのだが、午後の始業時間までまだ時間はある。

 確か、後30分くらいは残っていたはずだ。場所的にも今持って行くほうがいいだろう、と思い十字路を洗濯場の所の方へに曲がる。

 洗濯場に行くと、先に食堂を出て行った、ユウカさんが居た。


「…………あ、ユ、ユウカさん」

「ん? アカリ、ああ、教えてもらったんだ」


 ユウカさんは自分のであろう、シーツを畳んでいた。


「……ユ、ユウカさんは、この時間にお洗濯物を取りに来るんですか?」

「……まぁ、大体はね」


 丁寧にシーツを畳んで、籠に入れながら答える。真っ白な、綺麗なシーツだった。


「…………………………」

「…………………………」


 それ以外はお互い無言だった。そして、私は洗濯機から、自分の分のシーツを取り出す。シーツは、まだ暖かい。とても綺麗に洗濯されている。朝、持って来た時も、まだ綺麗だった。

 ユウカさんは私が一つ目のシーツを取り出し、折り畳んでいるときには、既に終わったのだろう。籠を持とうとしていた。私はシーツを畳みながらそれを見ていた。

 籠を持とう、という所でユウカさんの動きが止まる。


「…………アカリは」

「……え? ……あ、はい……」

「………………」

「…………?」


 そこでまた止まる。


「…………さっき……さ」


 少しずつ、ユウカさんが話し始める。


「……働く上で、大事な事を……アンカ室長に、教えてもらったよね……」

「……あ、はい。すごく……えと……大事……だなって」

「……朝、私に質問してきたよね……」

「…………あ………………えと」


 朝の時の事を思い出す。

 ユウカさんは、私の質問には答えてくれなかった。


「……でも、あれじゃ、私は答えれない」


 朝と、同じ答えだった。


「………………さっき教えてもらった事……」


 ユウカさんは、何かを言いたげだが逡巡している。


「………………」

「……………………」

「………………アカリは……何も教えてくれないんだね……」

「…………え……?」


 それだけを、搾り出すように、ユウカさんは言う。


「………………」

「…………え……と……」

「……もう少し……考えてみるといいよ……」

「…………え?」


 そう言って、籠を持ち、私の前を通り過ぎようとする時に、もう一言だけ、ユウカさんは言う。


「……さっき言われた事に、ヒントはあるよ……」

「…………え」


 そして、ユウカさんは籠を持って立ち去って行った。


 私は、また、朝と同じように、少し立ちつくしていた。


 しばらくして、ようやく私は動き出して、洗濯物を畳んで、

 その籠を持ち、ゆっくりと部屋に向かった。その間にも、ずっと考えていた。

 部屋に戻って来て、籠を置き、シーツが敷かれていないベッドを見る。


 何故だか寝てしまいたかった。


 けれど、シーツを敷く気にもなれない。


(……ユウカさんは………………私と……同じだと言った…………ユウカさんは……自分からは、答える気は無いと言った………………そして、さっき…………教えてもらったことに………………ヒントがあると言っていた。…………さっき教えてもらったものは…………そうだ、あの時にも、ユウカさんは……私に足りないのは………………もしかしたら…………………………でも………………え? ……ユウカさん………………も…………?)


 色々と考え込んでいたら、時刻が迫っている事に気がつく。


(…………あ、もう、四階フロアーに行かないと!)


 午後の始業時間はもうすぐだった。


お読みいただきありがとうございます。

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