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ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
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【三日目】 ミランダのお昼休み

 食堂に行くと、既にセリカさんが一人で食事を準備していた。

 いつの間にか作業は終えたのであろうか。


「お疲れー、セリカっち」

「あ、お、お疲れ様です」

「あら、お疲れ様」

「……あ、私、お手伝いを……」

「大丈夫よ。もう出来上がるから」

「さーすが、セリカっち、早いねー」


(……一人で、何かしらの作業もして、食事の準備ももう終わると……すごいなー……私より、まだ年も低そうなのに……)


 今日はメイちゃんは巡回に出て行ってしまっている事を思い出す。

 そこでふと気がつく。


「あの、ミランダさん」

「んーなーにー?」

「その、巡回に行っている人達は、お昼ご飯はどうしてるんですか?」

「あー、巡回の人達ねー。行くときに、携帯の食事をもってってるよー。そればっかりは、市販のものだけどねー」


(なるほど。巡回の人達は市販の携帯食料を持っていっているのか……)


 だとしたら、今私達が食べている物とは違うものを食べているのかもしれない。


「正直、携帯食料はねー……悪くは無いんだけどねー……なんというかー、味気ないというかー、だから正直私は好きじゃないなー」

「そうね私は、カレー味がないから嫌いよ」


(………………………………そこまで……カレー……?)


 薄々、分かっていたけれど、カレーはセリカさんの大好物なんだろう。


(……って、じゃあ今日のお昼も、もしかして!)


 匂いからは、分からない。蓋がされた鍋がぐつぐつと煮えている。


「今日もカレーですか?」


 聞こうか、聞くまいかと思っていたところに、少し遅れてやって来たユウカさんが単刀直入に聞く。


(って、今日”も”って…………セリカさん一人のときは、カレー決定なのだろうか……?)


「……いえ…………本当に……本当に残念なのだけれど、昨日ので使い終わってしまったわ……なんで……こうすぐ無くなるのかしら……?」


(……どうやら、違うよう……)


 そして、本当に残念そうだ。ただ、エレナさんならカレーでも喜びそうだが。


「でもー、昨日はカレーフルコースだったしー……朝もー……」

「でも、もっと沢山買っておかないと……」


(セリカさんが怖い事を呟いている……いや、私も嫌いじゃないですよ? カレー)


 だが、毎日、朝昼晩全部カレー味っというのは、多分……慣れない。贅沢は言えないが。


「……いえ……これぐらいで……ちょうどいいと思いますけれど……」


 ユウカさんも思いは同じのようである。

 そこにプランさんとリーゼさんが一緒にやって来た。


「それじゃ、準備するから、手伝って」


 それは私に向けられた言葉だった。


「あ、は、はい!」


 昼食の準備を始める。どうやら、パンと、後、私には何か分からない、色んな物が入った、

 初めてみる色のスープだった。準備をしている間に、時計が鳴る。


 準備が終える頃には、時計は鳴り止んでいた。

 そして、ミランダさんが食前の挨拶をし、食事が始まる。ちなみに、セリカさんは準備が終わると、また部屋を出て行った。アンカ室長、チュンさんも居ない。あの講義の後はそれぞれ仕事に戻ったみたいだ。多分、昨日聞いたお昼の当番なのだろう。


 スープを見る。

 初めて見る色のスープだった。

 見た目は少し、カレーにも見えなくない。


(沢山お水を入れた、カレーのような……)


 用意された大き目のスプーンで少しすくって、少しずつそのスープを口に入れる。


(…………うん……味は………………カレーじゃない)


 そう思った後に、少しピリッと来た。それは辛口のスープだった。


(……でも、少し辛いけれど、うん、美味しい……………………って、じゃあ………………プランさんは……?)


 カレーは甘口仕様だったプランさん。見てみると、何やらプランさん前には白い液体が入ったビンが置かれていた。

 プランさんは長めの祈りを終えてから、そのビン白い液体ををスープにどぼどぼ入れている。


(……あれは、ミルク……なのかな……?)


 プランさんの所の食事は、セリカさんが用意していた。よくよく思い出すと、ずいぶんスープを少なく入れてたお皿があったのを思い出した。

 多分それがプランさんの分だったようだ。


(セリカさん、やはり、プランさんは辛い物は駄目のようです……)


 だが、この味なら、ミルクもよく合いそうだ。

 プランさんはそれをよくかき混ぜてから、スープを口に入れる。

 そして少しきゅっと目を閉じて、そして、またミルク追加。


(……………………あ………………足りなかったご様子で……………………)


 私は、そんなに辛い物自体は、苦手でも無いので、美味しく食べれた。少し後に残るような辛さだったので、食べ終わる頃には、ちょっと体がポカポカしていた。

 初めて食べる味だったので、いつもより、少し遅めに食事が終わる。

 後片付けを手伝おうとしたのだけれど、考える事は同じなのか、リーゼさんとユウカさんでほぼそれも終えていた。


 そして、その頃には、あのミルク大量投入のスープの食事を終えた、プランさんも食事を終える。

 自分の食器と、ミランダさんの食器も洗い終えると、もう食堂の後片付けはなくなっていた。

 鍋にはまだスープが残っているけれど、これは今お仕事をしている人達の分。じゃあ、と出口を出ようとした時にふと気がつく。


(…………あれ? そういえば…………次は……何時に四階フロアーに戻ればいいんだっけ………………?)


 先に出て行った、ユウカさん、今出て行った、プランさん、リーゼさん、残るは席で満足そうな顔をして、目を閉じていたミランダさんだった。


 私はくるりと回って、ミランダさんの方へ歩いていく。ミランダさんは目を閉じて頭を上に向けている。


(寝ているのかな……)

「……あのー、ミランダさん」

「……………………………………………………」


 返事が無い、やはり、寝ているのだろうか。


「…………………………あのー……………………すみません……………………」

「……………………………………」

「……………………ミランダさ――」

「…………くっくっくっ……」


 寝ていたと思っていたミランダさんが唐突にそう答える。いや答える、と言うのはちょっと違う。


「……………………ぇ…………?」


 ミランダさんは、目を閉じて、肩を震わせている。


「…………くっくっくっくっくっ…………うひーっ」

(……うん、笑っている……あ、あれ? 私、何か変な事言ったかな…………? それとも、寝ちゃって変な夢でも見てるのかな…………?)

「…………くっくっく……こ、こりゃないわーーー…………」


 可笑しそうに呟いている。


(………………寝言………………?)


 そう思ったら、今度は本格的に笑い出した。


「ふひひひひーーっ、えー、ぷふーっ、むはーーーー。ふほーーー。ひひっひぃーー」


(……………………な、何なのだろう………………………………?)


 そう思っていると、むせかえるようにして、目を開ける。が、まだ笑っている。


「なにーぃ、これーっ、ふひひひひひひー」

「……………………」

「ひひひ……………………ひ……………………ぁ………………」


 こちらに気がついたようだ。


「あー、っくっくっく、あ、アカリちゃん……………………え!? あ、アカリちゃん!? あ、あれ!? 出てったんじゃ…………?」

「あ、その、出て行こうとはしたんですけど……」

「……あ、あー、そ、そうだったっけー? ……ップ、あ、でー……な、なんだっけ?」

「………………あ、え、えっと、お昼からは、何時に四階フロアーに戻れば………………」

「ぷぷっ…………ご、ごめん。ムフッ、で、で、な、なんだっけー。くっくっく……」


 驚きながら、笑いながら、ちょっと焦りながら、また笑いながら、同じ質問をまた聞いてくる。


(………………ど、どうしたんだろう………………私変な事……した……?)


「……えと、そのお昼からは…………何時に四階フロアーに戻れば………………?」

「あ、あーー。っふー……っと、それねー。えっとねー……午後は……プフッ……《13:15》からだからー……クク……あー、私はねー、しばらくー、ムフッ、ここにいるからー、好きにしてていいよーーー。ククッ」


 まだ何かを笑い続けつつ、一応そう教えてもらえたのだが……。


(………………な、何があったの………………?)


「あ、あと、さ、プフッ、こ、この事は内緒にしててくれるかなー……ムフッ、あ、と、特にチュンとか……室長とかには……ニヒッ……」


「は……はぁ……」


よく分からないが、デリケートな事なのかもしれない。何故ならミランダさんは……。


「……と、とりあえず、1――」

「ムフーッ! ナニコレ! ワケワカンナイーー!!! ウワッハー!!!」


 私は確認しようと、言いかけたのだが、また、笑い出した。先程よりも盛大に……



(………………ごめんなさい…………今のミランダさんが……………………ワケワカンナイ………………)



お読みいただきありがとうございます。

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