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ブルーデイズ  作者: fujito
第一章 蒼い日々の始まり
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【一ヶ月後】 チュンとの思い出

(皆、まだなのかな……)


 ティーカップのお茶は、無くなっていた。

 ハーブティーが入ったティーポットを持つと、もう、そちらも無くなりかけていた。

 いつの間にか、全部飲んでしまっていたようだった。


 お湯を入れに行こうかな、と考えてから、入り口の方を見ると、ちょうど、チュンさんがやってきた。


「アカリ、やっと私も終わった」

「あ、お疲れ様です」

「うん。……あれ? メイは? 先に上がって、行ったはずなんだが」

「あ、そうでした。メイちゃん、今日、発注した物が届くって、言ってたから。多分、今、船着場に……」


 そんなやり取りをしながら、チュンさんは私と同じテーブルに、持ってきたお盆を置く。

 そして、私の横に座る。

 そこが、チュンさんの定位置。

 いつもの席。


 私の前の席は、いつもメイちゃんが座る。

 お盆の上には、いつものように、急須と、湯飲みと、お菓子の皿が乗っている。


 それから、チュンさんはもう片手で、湯沸かし器を持って来ていた。


「そっか。ってメイ……、また買ったのか? よっと。」


 そう言って、チュンさんは湯沸かし器を置く。


「チュンさん、今日は、お湯も持ってきたんですね。」

「あー、うん。今日は、時間もあるしな。それにしてもメイ。……一体、これで何個目なんだ?」


 席に座りながら、チュンさんが言う。


「……うーん、なんだか一目ぼれしたのが、出たみたいで」


 私は、苦笑しながら答えた。

 私も、何個あるのか、もう見当も付かない。


「まあ、人の趣味に文句は言わんが。…………って、ちょっと待て!」

「ど、どうしたんですか?」

「え? ってことは、今日、船、来るのか、て、もう、着てるのか!?」

「え、は、はい。でも朝、言ってましたよ? 確か室長が……」


 そう言いながら、海を見るが、実際ここからでは、見えない。


「……あ、し、しまった! すまん、アカリ、ちょっと行ってくる!」


 そう言って、座ったばかりの席を立つ。

 チュンさんは、動揺している。

 もう、最近では見慣れたが。


「……あ、もしかして……」

「ああ! 次に出すつもりだったんだー!」


 そう言う声は、遠ざかっていった。


(走ってっちゃった……)


 くすっと笑って、チュンさんが置いて言ったお盆を見る。

 いつもの急須、いつもの湯飲み。

 そして、いつものお皿には、あのお菓子が乗っていた。


 それを見てから、思い出す。


(そういえば。ここに初めて来た時も、チュンさんと……)


(あの日は――)



 風が、そよそよと吹いている。



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