表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/89

その7 過去進行形(後編)

過去進行形(後編) 


●茜崎凉の私的記録より


 ある会社の部長の妻から依頼された浮気調査。

 いつもの単純で退屈な仕事のように思えた。

 でもこの一件が、間接的にゆりかや俺に繋がるものだとは夢にも思わなかった。


 石丸慎也と倉沢まりもがいるこのマンション。

 ごく自然な推測からしても、おそらく二人は恋人関係だろう。

 だとしたら、慎也という男はゆりかとすでに終わっているのか?それとも二股か?

 あれからもう5年は経つ。男女の仲なんてどうなっていても不思議ではない。

 俺はもう一度、ゆりかに会って確かめたい衝動に駆られた。

 また怒られてもいい。なじられてもいい。

 だがもし、ゆりかが慎也に裏切られているのに気づいてなかったとしたら、なんとか手立てを考えてやらなければならない。

 

 俺は翌日、覚悟を決めて5年ぶりにゆりかの実家を訪ねた。

 そう、玄関先で多少の会話はできたものの、結局は門前払いされてしまったあの時以来のこと。

 もちろん、ゆりかが実家を離れてどこか新居で暮らしていれば、家を探す手間ができるが、依頼主の前金が結構弾んだ額を支払ってくれたから、多少の交通費や宿泊費はまかなえることができる。

 

 俺の頭にふと娘の顔が浮かんだ。

『いずみはもう10歳くらいか。。』

 5年前、いずみに一度だけ会ったことがある。ゆりかと玄関で話したあと、すぐに自分の実家に行ったのだ。

 俺は、いずみが産まれて間もない頃しか対面していない。だからいずみにとってはほぼ初対面。

 それなのにいずみは、人見知りもせずに、平気で俺になついてくれた。

 自分で遊んでいたオモチャを俺のところに持って来て、さかんに一緒に遊ぼうと誘いに来る。もう可愛くてたまらなかった。

 3年くらい前だったろうか…いずみはゆりかの元へ戻されたと親から聞いている。

 俺はゆりかと会うことで緊張する反面、いずみの成長を見れる期待や喜びもひそかに持っていた。

                 (続く)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ