その7 雨の日の憂鬱
雨の日の憂鬱
卓くんのとこに通い初めてから1か月。毎日ここで過ごすのがとても楽しい♪
家にはママとひなたがいるけれど、英之がうっとうしいから気が滅入る。
昨日の夜に言われたセリフだって、いやみにしか聞こえなかった。
「いずみは良い子だよな。塾に行かないからお金もかからないし助かるよ。ハハハ」
このハハハと言う笑いが私をいかにも小バカにしている。
「いいか、だから絶対に私立だけは行くなよ。高くつくからな。レベルの低い高校でも構わないから絶対公立だぞ!」
こんなことをいつもママがちょっと席をはずした隙に言う。
英之は会社では本部長。そして取締役員でもあるから、それなりの高い給料はもらってるはずなのに、こんなお金にケチな話しかしない。
つまり、私のために使うお金はもったいないと思ってるんだ。
私は英之にとってはどうでもいい存在。実の子のひなたと私を見る目が全然違う。
でもママには言えない。ママには心配かけたくない。言ってしまえばママの精神状態を破壊してしまいそうで怖い。
英之も私がママにチクれないことを知ってる。それをいいことに徐々に私を邪魔者にしていく。
もうこんな奴、大嫌い!私は高校を卒業したら家から出て上京するんだ!
どうせ英之だって私がいなくなることがお望みなんだから。
「いずみ?どうした?何か考えてる?」
「φ(゜〇゜;)ハッ」
卓くんの前でテキストを広げていながら、知らずのうちに回想していた。
「ごめん。何でもない」
「…今日のいずみは何だか元気ないね。どっか体の具合悪い?」
「ううん。平気だよ。さっきバス停から走って来たから少し疲れちゃったかも」
「あぁそっか。途中で雨が降って来たからだね」
「うん」
「濡れたから寒いんじゃないか?」
「少しだけね」
「じゃ今日の勉強はこれくらいにしよう」
「え?でも…」
「集中力のないときは何をやっても無理さ。あとはテレビでも観ながら少しゆっくりしていきなさい。帰りは車で送ってあげるから」
「( ̄▽ ̄;)えっ?ウチに来るの?」
「家の近くまでだよ。いずみのママやパパにばれないように帰るから」
「うん。ありがと卓くん。じゃあその前にちょっとシャワー使わせてもらえる?」
「いいけど着替えとかあるの?」
「実は持って来てるんだ。今日は最初からシャワー借りるつもりだったの」
「( ̄ヘ ̄)ん?またなんで?」
「家に帰るといつも英之が長風呂してるから入れないの」
「Σ( ̄□ ̄;?いずみは是枝くん…お父さんのことを呼び捨てにしてるのかい?」
「そうだよ。でも本人の前では言わないよ。私そんなバカじゃないもんw」
「(^_^;)アハハ。。そっか。。」
卓くんは何かを感じたかもしれないけど、何も聞いてはこなかった。
根掘り葉掘り聞かないのが卓くんの思いやりなのかもしれない。
雨の音が微妙に耳障り。
あ〜あ、こんな日ってなんで憂鬱なんだろぉ…
(続く)