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第3章 再会の余波 その1 それは突然

第3章〜再会の余波〜

その1

それは突然


 僕はそのとき公園にいて、ある作業をしていた。

 しゃべることもなく、ただ黙々と進めてゆくだけの地味な作業。

 もちろん誰に注目されるわけでもない。

 そんなとき、背後から呼びかけられる声がした。

 振り返ると、そこには制服を着た女の子が立っている。

 見かけで判断するとしたら、女子高生というよりも、まだ中学生かもしれない。


「おじさん、何してんの?」

 人におじさんと呼ばれてもしょうがない。もう35歳も半ば過ぎ。。

 それに僕は昔から老け顔だし(⌒-⌒;


「空き缶を拾ってるんだよ。公園のあちこちに転がってるんだ」

 僕はこのとき軍手を履いていて、片手には大きなビニール袋を持っていた。

「おじさん、ホームレスの人?」

 そう思われても当然の話。作業している格好すら、みすぼらしいのだから。


 でもここはきちんと誤解のないように答えておこう。

「いや、違うんだ。お手伝いをしてるだけなんだよ」

「ふぅん。。誰の?」

「ほら、向こうにいる人を見てごらん。僕と同じことをしてる人がいるだろ?あの人がホームレスのトメさん」

「(*≧m≦*)ププッ トメさんて本名なの?」

「えっ?…そこまで考えたことないなぁ。本人が言うからそう思ってたけど」

「へぇ〜、でもトメさんとかゲンさんとか、よくあるニックネームだよねw」


 このタメ口で話しかけてくる女の子はなんなんだろう?

 ホームレスをバカにしてる風でもないし。。

「じゃあおじさんはホームレスじゃないってこと?」

「あぁ、違うよ」

「じゃなんで手伝ってるの?」

 と、この子はなぜかにこやかに尋ねてくる。

 別にバカにした笑いでもないし、悪い子のようにも思えない。

「いや、色々あってね。これも一種の人助けだと思ってさ」

「ふぅん。。へんなの」


 一瞬“へんなの”にカチンときたけど、あとは無視して作業を続ける僕。

「おじさん、そろそろやめた方がいいよ」

 と意外な言葉に僕は作業の手を止め、またその女の子に振り返る。

「どうして?僕は悪いことなんかしてないよ!」

と少しきつめの口調で言ってみる。

 でもその子にとってはまるでどこ吹く風。

「んとね、さっき近くのコンビニにあいつらがいたの。もうすぐここに来るよ」

「えっ?あいつらが!」

 僕にはピンと来た。あいつらとは、この街で有名なタチの悪い不良少年グループ。

「おじさんもあいつらにオヤジ狩りされちゃうよ」

 それを聞いた僕はさすがに焦った。

 ここ1か月でもう10人以上のホームレスが乱暴されている。被害にあっても仕返しが怖くて誰も警察に訴えようとはしないのだ。

 僕はすぐさまトメさんに声をかけ、数分のうちに公園から退却したのだった。


 その後、トメさんは夕食の調達のために繁華街へと歩いて行った。

 僕はそのまま家路に戻ろうとすると、なぜか女の子も僕の後ろを一緒について来る。

「僕はもう家に帰るんだよ。さっきは教えてくれてありがとう。もう大丈夫だよ」

 でもその子はまたまた意外な言葉を発した。

「おじさんとこ行ってもいい?」

「Σ|ll( ̄▽ ̄;)||lええっ!?」

「そんな驚かなくてもいいのに」

「ダメだよ!君いくつ?」

「15歳。でも大丈夫」

「んなわけないって!知らない人のところにホイホイ着いて行っちゃいけませんって、お母さんから教わらなかった?」

「ママはホイホイって言葉は使わなかったよ」

「あっそ…(^_^;)でもちゃんと教わったんでしょ?」

「うん。教わったよ。でもおじさん知ってる人だもん」


「(・_・)......は?」


 僕は立ち止ってその女の子の顔をよーく見てみた。

「まだわかんないの?卓くん!」


「あ!!…( ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄;)」


「(*≧m≦*)ププッ♪やっとわかったね。相変わらず鈍いよね。卓くんて」

 僕は仰天した。確かによく見ると面影はある。

 でもこの15歳になるまでの成長ぶりには目を見張るものがあった。


「もしかしていずみ??」

「もしかしなくてもいずみだよ」

「な、なんでここへ…?」

「話は卓くんの家でしようよ♪早く帰ろ。ねっ♪」

「・・うん。。じゃあちょっとだけだよ」

「そんな遠慮しない遠慮しない」

「それ、いずみの言うセリフじゃないから(^_^;)」

「エへ(*^ - ^*)ゞ♪」

            (続く)

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