その5 美智代
その5
美智代
“どうしよぉ?(^□^;A いきなり尋ねて来るなんてぇ!”
アタシ、もうパ二くって大変!
だってだって、いつかゴミ捨て場で会ったアタシ好みの男の人が今、目の前に立ってるんだもの。。(*v.v)
渡された名刺を見たら探偵さんだなんて。。素敵っ!なんて凛々しい職業なのっ!
茜崎涼さんね!よしっ!絶対忘れないわっ!
できれば中に入れてお茶の1杯でもあげたいのに。。本当はそうしたいのに。。
でもそれは絶対にできない!間違ってもできない!
玄関にいる彼に軽く微笑みながら、チラッと戸の隙間から見える茶の間の状態を再確認するアタシ。
き…汚い!あまりにも散らかりすぎ!
洗濯物はあちこちに散乱。いつ食べたかわからないお菓子の残骸がテーブルに乗ったまま。燃えるゴミを袋に詰めたまではいいけど、無造作に4つも放置している現状。
“あ〜、やっぱり今日は片づけておくんだったぁ〜”
と思うのも毎回のこと。これじゃホント“のだめ”と変わらない。
でものだめはドラマの架空人物。アタシはリアルな人間。
となりには千秋先輩とは似ても似つかないブサイク男しかいない。
「すみません。ちょっと散らかってるもので、こんなとこで本当にごめんなさい」
「いえいえ、僕は玄関でもどこでも全然平気ですよ。お構いなく」
「じゃあせめてお茶でも入れてここにお持ちしますね」
「はぁ…」
そう言ったアタシだったけど、ふと想像するとそれが不自然なことがわかった。
だって、玄関にお客さんを立たせたままお茶を渡すってのもビミョーよね?
ならどうしよぉ?玄関にだけ上がらせて、座ってもらおうかな?うん、とりあえずそうしてもらおっと。
「あのー、立ってるのもなんですから、上がって下さい。ここのラインまでならOKです」
「あ、はい。このラインまでね…(^_^;)では遠慮なく…」
「アタシ、お茶入れてきますね!」
でも結局、お茶を切らしていて、冷蔵庫にあった缶コーヒーを出すしかなかったの。
あ〜ん、変な女だって思われちゃうぅ〜!!(TOT)
「いえ僕、ぶっちゃけお茶より缶コーヒーの方が好きですから」
(ノ゜ο゜)ノオオオオォォォォォォ-
まさかまさかの缶コーヒー作戦大成功!?涙が出てきちゃう。。
「あの〜、僕そろそろお話していいですか?(^_^;)」
「ご、ごめんなさい。そうよね・・・どうぞ足を崩して楽に話して下さい。正座なんてしなくていいですよ?」
「は。ではそのように…」
「韓国では正座する人って、罪人の座り方なんですって」
「(・。・) ほー。韓国人のお友達でもいるんですか?」
「いいえ。ネットの韓国語講座で読んだの。ちょっと豆知識?(*^ー^*)えへ♪」
「アハハ…(⌒-⌒;じゃあそろそろ話していいですか?」
「ハッ(゜〇゜;)ごめんなさい。アタシったら…」
「いいんですよ。実はですね・・・」
「Σ( ̄□ ̄;ええええ〜1?アタシのブログを〜?」
「ええ。ゆうべ色々悩んでて、考えもまとまらないんで、なにげにネットでキーワード検索してたら偶然ヒットしたんですよ」
アタシホントに驚いちゃった。まさか茜崎さんがアタシのブログを読んでたなんて!
「でもどうしてそのブログがアタシってわかったんですか?」
「僕は森田卓を知っているからです。あなたのブログを読んでると、森田がお隣さんだってことがわかりました」
「そうだったんだぁ」
「ひとつ忠告しますけど、ある意味とても危険ですよ。ブログに実名を書かれるとストーカーとか悪い連中に居場所を探られて利用されてしまいますよ?」
「ええ。アタシも最初はそう思ったんだけど、こんなブログなんて誰も読んでくれないと思ったし、自分の名前だけは苗字入れてないしと思って…でも甘かったようね(⌒-⌒;」
「ネット犯罪も増えてますからね」
「アタシ、元々はリハビリのつもりで始めたんです。プチPTSDかもしれないって、行きつけのカウンセラーに言われて」
「なるほど。日記をつけるように言われたわけですね?」
「そうなの。日記なんてめんどくさいこと絶対できないから、ブログなら楽しんでできそうだと思ったの。あ、ごめんなさい。アタシだんだんタメ口みたいになってきちゃって…」
「構いませんよ。その方が僕も話しやすいです」
「ホントに?良かったぁ!」
「で、早速本題ですけど、あなたのブログを読んで僕が一番驚いたことは…」
「美智代って呼んで下さい(*v.v)キャ」
「じゃ、じゃあ美智代さん(⌒-⌒; 僕が驚いたのはですね、僕も今、あなたと同じ思いを持っているということです」
「えっ?そうなの?実はアタシも以前、ゴミ出しの日に茜崎さんと挨拶を交わした日から淡い思いを…」
「は?何のことですか?森田卓と元奥さんの須藤ゆりか…さんのことですよ?」
「( ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄;)やだアタシったら、とんだ勘違いを。。」
「どうでしょう?真実を僕と一緒に探ってみませんか?解決まであと少しなんです」
「そんなにわかってるの?さっすが探偵さんね!感心しちゃう♪」
もう完全にタメ口のアタシ。
「ええ(^_^;)現状では70%くらいかな。あと疑問点がいくつかわかれば、証言の組み合わせで全てが繋がると思うんです」
「キャー!カッコイイ!推理小説みたいっ!茜崎さんて、シャーロック・ホームズかエルキュール・ポアロの生まれ変わり?」
「その二人とも架空の人物ですよ(^_^;)」
「それならアタシも是非、協力したいわ。ずっと心のもやもやが離れないの。ゆりかとも親友だし、とっても心配なの」
「ありがとうございます。では少し今までの事実関係を教えて下さい」
「森田は呼ばなくていい?今日は休みだから隣にいますよ?たぶん」
「いえ…まだいいです。それは最後のときにでも。。」
なんか嬉しい!!茜崎さんと二人っきり♪( ・ー・)むふふ♪
でもまだ思い出せない。ゴミ出しよりずっと以前に見たことある人なんだけどなぁ。
(続く)