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第2章 それぞれの思い その1 小松房江

           第2章 

         それぞれの思い


その1 小松房江こまつふさえ


 私が依頼した探偵さんはすぐにやって参りましたの。

「急に電話でお呼びだてしてごめんなさいねぇ。忙しかったんじゃありませんの?」

「いえ、今日は暇でした。でも調査料なら振込みでも構いませんのに」

「私も最初はそう思いましたのよ。でもね、どうしてもあなたに…名前何でしたっけ?」

茜崎あかねざきです」

「そうそう、茜さんだったわね。女の子の名前のような苗字だと記憶はしておりましたけど出てこなくてねぇ。年取ると恐ろしいものですわ」

「あの…茜じゃなくて茜崎ですけど(^_^;)」

「ごめんなさい。悪いけどその名前、言いづらいから略して言わせてもらえませんかしら?」

「は、はぁ; ̄_ ̄)」

「実は茜さんに直接お礼がしたくなったものですから」

「そんなお気づかいは別に…」

「いえいえ、あなたの調査報告は目を見張るものがありましたもの」

「それは買いかぶりですよ」

「謙遜なさらなくて結構ですわ。全てあなたの調査通りでしたもの」

「…は?あの…ご主人に確かめられたんですか?」

「まぁ玄関で話すのもなんですから、中にお入りになって。さぁ御遠慮なさらずに」

「じゃ、じゃあ少しだけ」


 こうして私の半ば強引な誘いで、茜さんを応接間までご案内しましたの。

「今、お茶入れますわね。それともお紅茶がよろしいかしら?」

「おかまいなく。どちらでも結構です」

「私のおすすめはブルーベリー紅茶なんですのよ。これは厳選された実を丁寧に…」

「じゃそれでいいです(^_^;)」

「あらそう?まだ説明は終わってませんけど、すぐにお持ちしますわね」


 数分後、私は用意したお紅茶を探偵さんの座るテーブルの前にお出ししましたの。

「お茶菓子はベルギー産のクッキーとフランス産のフィナンシェと、どちらが…」

「あの、何かお話があるのでは?(^_^;)」

「ありますわよ。茜さん、二枚目さんでいらっしゃるのに随分せっかちですのね?」

「すみません(⌒-⌒;」

「それにズボンもジャケットも黒づくめで、これから法事か何かですの?」

「いえ、これ普段着なんです; ̄_ ̄)」

「まぁ、まだお若いんですから、もっと明るい色を着なければいけませんわ。それじゃあ古畑任三郎みたいですもの」

「あの人も探偵だったですかね?刑事だったですかね?」

「いいえ、あの方は俳優さんですわ」

「た、たしかに(^□^;A」


 茜さんたら、時折こんなすっとんきょうなことを言うみたいだけれど、こういう人に限って頭脳は明晰なのですわ。

「とりあえず、一口お飲みになって。おいしいですのよ。とっても」

「はい。いただきます。。」


 そして一息ついたところで、あらためて私は茜さんにお礼を申し上げましたの。

「主人のことでは安心しましたわ。茜さんのご報告通り、相手の女は主人に何の感情もないようですし、うちの主人もそれをわかってたようです」

「部長に…いや、ご主人に直接お尋ねになったんですか?」

「ええ。それに私、相手の女とも2日ほど前に会って来ましたの」

「Σ|ll( ̄▽ ̄;)||lええっ?そんなことよくできましたね」

「これも茜さんの報告書のおかげですわ。だから確信して行けましたもの」

「それにしても…(^_^;)」

「行って正解だったですのよ。あの女の名前、何とかまりもって…」

「倉沢まりもです」

「そうそれ。名前は可愛いのに、いろんな男をたぶらかして金づるにするメギツネだってすぐにわかりましたもの。ああいう顔の女ってみんな同じ目をしてますわ。眼尻が吊り上って、男をカモにするような目。私がまだ若かりし女学生の頃にもそんな女がいましたもの。一度に5人の殿方を相手にしてましたのよ。殿方は殿方でそんなことも知らずにその女に宝石だの洋服だのって買い与えて喜んでましたのよ。で、私どこまで話しましたっけ?」

「いえ、これから本題ですが…(^_^;)」

「あらそう、まだ何も話してなかったかしら?」

「あの…それで彼女は奥さんにどう言い訳したんです?」

「言い訳も何もありませんわ。開き直ってましたもの。うちの主人のことをお客さんの一人にすぎないって言い切ったんですのよ」

「それでハッキリしましたね。不倫関係ではないということが」

「そうですけど、言い切れる証拠はあるの?って私、更に追及したものですから、あの女、証拠写真があるからって私に見せてくれたんです」

「は?部長と不倫はしてない証拠の写真?意味がよくわかりませんが。。」

「つまり、うちの主人以外の男との情事の写真ですの。私、目を覆いたくなるほどショッキングでしたわ。いかがわしいビデオみたいなものばかりで」

「なるほど。倉沢まりもが複数の男を金づるにしてた証拠写真ってことですね。逆に言えば、部長一人が特別な恋人ではないという証拠にもなる」

「そういうことですわ。でも茜さんの調査がなければ私もここまで大胆にできなかったですもの。心から感謝します」

「そんなめっそうもない。で、その見せてもらった写真というのはどこに?」

「もらって来たから今ここにありますわよ。見たいんですの?」

「一応どんな証拠かと。。」

「茜さんもお好きね(*'‐'*)ウフフ♪」

「いや、決してそのような意味じゃ…(^□^;A」


 私は持っていた数枚の写真を探偵さんに手渡しましたの。

「悪いけど、その写真、茜さんが持って行ってくださる?」

「え?いいんですか?」

「そんな汚らわしいもの、すぐにでも処分したいくらいですわ」

「そ、そうでしょうね(^_^;)」


 そして探偵さんは少し体裁悪そうに、写真を見始めましたの。すると・・・

「こ、これは。。( ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄;)」

「どうかなさいましたの?」

「も…森田だ。。」

「え?森田ってどなた?」

「い、いえ…何でもありません。。失礼しました。これは僕が責任を持って保管させていただきます」

「保管じゃなくて、もう処分してもいいですのよ?」

「はぁ、そうですけどちょっと…」


 変な探偵さん。でも、独身のようだし、ある程度は仕方ありませんわね。

 かなりストレスも溜まってるようにお見受けしましたもの。

                  (続く)


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