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その16 情報収集

情報収集


●茜崎涼の私的記録より


 余談になるが、この前ゴミ出しに行った朝、偶然にも森田卓と遭遇した。

 もちろん、森田は俺のことは知らない。

 しかしながら、こんなに近くに住んでいるとは知らなかった。

 それもゴミ出しの集荷場所まで同じとは。。

 

 あまり関わりたくもなかったが、森田が一緒にいた女性と親しく話していたので、少しだけ興味を持った。

 不思議だ。こんなブサイクな男でも、ゆりかと結婚できた上、離婚してからもこうして女に縁がある。

 一体、こんな男のどこに魅力があるのだろう?

 俺はこの女性にちょっと質問を投げかけた。

「彼氏…ですか?」

「「違いますっ!ただの隣人ですっ!」

と、必死に即答してきた。おそらく照れ隠しなのだろう。

 森田と夕飯のメニューについてを話すくらいだ。全くもって信じがたい話だが、二人は同棲しているとも考えられる。


 まあいいさ。俺には関係ない。勝手にしてくれ。ε-( ̄ヘ ̄)


 その女性は俺にぎこちない会釈をした。妙な作り笑いでおかしく見えたが、そこは冷静に対処して、俺はこの場をあとにした。


 家にいても気になるのは、どうしてもゆりかのことだった。

 かつて、彼女がなぜ森田と結婚する気になったのかも気になるところだが、離婚した以上、追及してもしょうがない。

 問題は、是枝英之という男とはどんな男なのか?仕事の肩書きなんかじゃなく、一個人としての性格は?男気はあるのか?

 森田に関してはだいたい想像がつくからどうでもいい。

 是枝はルックスも地位も収入も申し分ない。その中身をどうしても知りたい。

 こんなこと考える俺はきっと嫉妬しているのだろう。自分でもわかる。でも恨みなど毛頭ない。

 ただ、俺自身で納得し、安心してから、ゆりかを祝福してやりたい。そう思っているだけなのだ。

 俺はゆりかを不幸にした。その間、ゆりかは離婚を経験して更に不幸を味わった。

 今度の再婚は間違えた選択をしてほしくないのだ。


 翌日俺は行動に出た。是枝英之がゆりかにふさわしいかどうかの調査。もちろん自分勝手な捜査だから報酬などない。

 余計なおせっかいにすぎないが、これをしなければ俺の気持ちがどうしても収まらなかった。



 まず最初に訪ねたのが、是枝が卒業した大学の同期生たち。

 今の会社の同僚を訪ねても、外面的な部分しかわからないと思ったからだ。

 それが功を奏してか、俺は非常に興味ある証言を得ることができた。

 

○同期生・山野井さとしの証言

「是枝は場の空気を読める賢い奴ですよ。人に合わせてしゃべれるし、まぁ世渡り上手なんでしょうね、たぶん。」


○同期生・上野浩輔の証言

「人に心のうちをあまり話したがらない奴だったかな。いい奴なんだけどね」


○同期生・菅野久志の証言

「緻密で計算高い奴ですね。こうと決めたらじっくり時間をかけてやり遂げるタイプだったかも」


○同期生・田上リオナの証言

「昔の是枝君のことしかわからないので。。今の彼を一番知ってるのはたぶん、綾乃あやのじゃないかと思うけど。三木綾乃。同期で彼と同じとこに入社したはずだから」


 俺は最後の田上リオナの証言が特に気になり更に問いかけた。

「今も彼女はそこに?」

「いえ、なんか異動が2回くらいあって、綾乃は今、関連子会社にいると思います。本社からはちょっと遠く離れてますけど」

「なるほどね。。ありがとう」


 これはまさに好都合。その三木綾乃なる人物が本社にいるならアポはとりづらい。是枝のことを調べてる人間がいると社内で噂がたつのも困る。

 だが離れた子会社ならそれほど影響はないだろう。

 俺は早速、三木綾乃に会いに行くことにした。


 そしてそのことが、俺がこれからこの私的記録に書く大きな発見と、まだ推理の段階ではあるが、驚愕の大問題に繋がることになる。

                       (続く)

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