その13 ヒーロー
ヒーロー
●美智代のブログより
みっちっちの好き勝手ぶろぐ♪
アタシのブログに来てくれる少数のみなさん、こんにちはぁw
今お風呂から上がって、一息入れたとこ。
トマトのカクテルっておいしいね!アタシこれ大好き♪今も飲んでるの。
最近ハマっちゃってディスカウントショップでまとめ買いしちゃった。
今、ほろ酔い気分だから、途中で寝ちゃって更新できないかも?ww
じゃあ早速だけど、前回の続き書かなきゃね!
アタシ、森田とコンビニで別れるつもりで、最初は別々な方向に歩きだしてたの。
でもね、後ろから誰かの大声がして振り向くと、知らないおばさんが森田に向って話してるの。
「あんた見たわよ新聞で!すごいわねぇ。よくやったねぇ」
「いえいえ、大したことじゃ…」
「あんな凶悪犯取り逃がしたらとんでもないことになったわよ」
「それはそうですね・・ハハ」
「そんな謙遜することないじゃない!世の中に貢献したんだから。あら川井さんの奥さん!ちょっこっち来て!」
見ててなんか面白そうな展開になりそうだったから、アタシもそっと近づいて行ったの。
そのおばさんは、まさに人集めの名人!
「このお兄ちゃんが凶悪犯を捕まえたのよ!新聞見なかった?見たでしょ?」
「ええ、知ってるわ。この人がご本人?まぁすごい!サインもらおうかしら」
「いや僕はそんな人間じゃ…」
森田がたまにボソッと言う言葉なんか、おばさん達の耳にはもう入ってないのw
「もらっときなさいよ。持ってたら何かの記念にはなるから」
一体何の記念になるのかわからないけど、とにかくおばさん達の会話が面白すぎて、アタシは傍で笑いをこらえてたのね。
こうして数人が騒ぎ出すと、何が起きたのかと更に人が集まりだしたの。
そしてその都度、ご丁寧にそのおばさんが説明するもんだから、急に森田の人気はウナギ上り。
集まった様々な人から賞賛の言葉の嵐。
「勇気あるわよねぇ。偉いわぁ」
「この街にこういう人がいたら安心よねぇ」
「記事読んだけど頭脳プレイよね。自転車をドミノ倒しにして犯人を捕まえたんでしょ?」
「見かけによらず頭いいのねぇ」
「は?(^_^;)」
他にもいろいろ言われてたけど、キリがないからおしまいねw
ただ、森田が傍に集まった女子高生数人に、キモカッコいいって言われてたのが一番ウケたかもw
一体どっちなんだ?って感じ?ww
で、その後森田がアタシに気づいて、救いの目でずっとこっちを見てるわけ。
アタシもヤバくなりそうだからそろそろ行こうとしたら、
「美智代さん、待って下さい!」
って森田が呼びかけるのよ。何でこんなときにって思ったわ。
案の定、アタシもおばさん達の餌食になっちゃったの。
「あらまぁ、彼女と一緒だったの。ごめんなさいねぇ。気がつかなくて」
アタシはすかさず否定したわ。
「違います。そんなんじゃ…」
「いいのいいの。こんなとこじゃ恥ずかしくて言えないものね。でもお似合いよ」
“お似合いって…どーゆー意味よ?(-_-;)”
「お幸せにね。お兄ちゃんなら彼女をしっかり守って行けるわ」
「この街のヒーローにみんなで拍手しましょうよ」
「そうね。そうしましょう」
なんかわけわかんないうちに、アタシと森田は恋人にされて、拍手に贈られながらこの場を退場したの。
「あんたもちゃんと否定すればいいでしょ!」
「すみません。パワーに押されて。。」
「それにどうするつもり?あんた偶然転んで自転車倒しただけなのに、知らないうちにヒーローじゃない」
「困りますよホントに。ウソはついてないんですよ。ただ本当のことを言う前に記事になっちゃったんで」
「勇気ある行動が聞いて呆れるわ」
「僕も自分でそう思いますよ。犯人に睨まれたときはオシッコちびっちゃいましたもん」
「別にそんなこと言わなくていいから^_^;」
「あ、はい。。」
2,3分ほど歩いたアタシと森田が、近所の小さな商店街に差し掛かると、今度はもっと年配のおばあちゃんに近いようなおばちゃんに声をかけられたの。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、あんた新聞に載ってた人だねぇ」
「は、はぁ」
アタシは森田に小声で言ったの。
「人違いって言えばいいのにっ!」
「なるほど。その手がありましたか…」
「バカ!」
そのおばちゃんは手招きで呼ぶの。
「こっち来なさい。誰にも目につかんうちに早く早く」
「どうします?美智代さん」
「寄るしかないでしょ。アタシは先に行くからあとはヨロシク!」
と、アタシが歩き出そうとしたら、
「そっちの嫁さんも来なさい!ほら早く!二人分あげるから」って呼ぶの。
“今度は嫁さん扱いなのね…(-_-;)”
結局アタシも“二人分”って言葉に釣られて店の中に入ったの。そしたら、
「ほれ、これ持って行きなさい。これもこれも。お金はいらないから」
って気前よくくれるの。
「ええっ?いいんですか?本当に?」
それは大根やじゃがいも、みかんやトマトやいちごまでも。
さすがにアタシも気が引けて言ったの。
「こんなにいただいたらおばちゃん全然儲からないじゃないですか。お金払いますよ」
「まぁ!できた嫁だねぇ」
“だから嫁じゃないって(-_-;)”
「いいんだって。お兄ちゃんは英雄だからね。特別サービスだよ」
「でもおばちゃんには何もしてあげてないのに」
「いいや、それがしてるんだよあんたは。あの逮捕された男はね、実は子供の頃から知ってるんだけど、万引きばかりしててさ。うちの店もどれだけ被害にあってたかわからないんだよ」
「へぇ…そうだったんですか」
「そして札付きの悪になってどうしようもなかったんだよ」
「それを僕が…」
「そう、だから遠慮なく持って行きなさい。お金は次からでいいよ」
「そうですか。じゃあお言葉に甘えて」
「そうそう。遠慮なんかしちゃ、こっちの気が悪くなるだけだよ」
「ありがとうおばちゃん」
「はいはい」
でもそのあとに、森田がおばちゃんに言った言葉にアタシ驚いちゃったの。
「あのー、遠慮なしついでにお願いがあるんですけどいいですか?」
「ん?何だい?」
「今夜、おでん作る予定なんですけど、このみかんやトマトとおでん材料を交換してもらえませんか?」
「は?」一瞬固まるおばちゃん。
「バカ!あんた何てこと言うのよっ!」
「やっぱりまずかったですかね?^_^;」
結局、おばちゃんの暖かい計らいでガンモやはんぺんと交換してもらえたけど、後味が悪かった気がしたわ。
そんで、さっきおでん食べ終わって、今はとっても満腹気分なわけw
森田がちゃんとアタシのリクエスト通りに、みそ煮込みおでんを作れたことにちょっぴり感激しちゃったw
じゃあ今日はこのへんで。なんとか寝ないで更新できたわw
今夜はもう1本、トマトカクテル飲んじゃおっと♪
(続く)