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1、記憶石の効果

美しい白薔薇の咲き誇る竜花城一族本邸のお庭で、竜花城一族長女、竜花城茅(りゅうげじょうかや)その人は、お気に入りであるはずのミルクティーに手をつけることなく一途に目の前に持ち上げてぶら下がる、淡い銀色を放つ石を見つめていた。

あたりでは、小鳥がチュンチュンと鳴いては、見守るかのように茅を見つめている。

沈黙が続くなか、それを破ったのは竜花城一族長男であり、茅の実弟である竜花城利兎(りゅうげじょうりと)だった。



「姉さん、そろそろ目が疲れてきたでしょう?記憶石をおいて、クッキー食べようよ。」



苦笑い浮かべて、クッキーの入ったガラスのお皿を顔の横に持ち上げる。その姿の可愛さと言ったら女子顔負けなのだが、無論見慣れた茅にはなんともない。

茅は、利兎を見つめ、また石に目をやり、一つつ溜息をついて、記憶石と呼ばれたものを丁寧に机に置き…ミルクティーを一口飲み込んだ。



「…毎日覗いているけれど、この石は私になんの恩知恵を授けてくださるのかしら。」



ぼんやりとまた記憶石を見つめてから利兎に視線を向ける。

利兎は、困ったように笑い、「さあね」と短く答えてクッキーを一口頬張った。

そんな利兎を見つめ、茅も微笑む。が、利兎の額にある竜花城一族また、竜の特徴である水色の宝石が少し大きくなっているのが見えて、少し目を丸くした。



「利兎、貴方の翠玉…少し大きくなっているわ。」


「姉さんには負けるよ。」



笑う利兎に、茅は少しだけ誇らしげに笑った。額にある紅が同時にキラリと輝く。



「姉さんは優秀さ。8年前…僅か9歳でその力を抑えたんだから。」


「…そうね、当時は大変だったわ。」



竜族の血を惹く竜花城一族には、ある特徴がある。

それは、額に必ず何かの色が付いた宝玉が埋まっていることだ。

その色が違えば能力も違う。

ー利卯の焦りー


刹那の光が記憶石から零れて数分。

ようやく光が収まる頃には椅子ごと倒れ、地面に静かに倒れる姉、竜架静茅の姿がそこにあった。



「姉さ…姉さん⁉︎」



直様、姉さんの身体を持ち上げ、早歩きで屋敷に入り、部屋のベッドに寝かせた。

…姉さんって意外と小柄だったな…。

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