第四十五話 はるかの変則切り
ラス親の木下がいらない牌を切り、オーラスが始まった。十分なリードを取ったから、もう親番は必要無く、沢野にあがらせて終わりにすべきだが、二人ともプロレスラーとしてそういうやり方を好まず、オーラスは普通に打つことにしていた。エリカは二人の連携が無いことに安心して、逆転の高い手を目指した。もうトップを狙える点差では無いが、今回はチーム形式だから二人の合計点で勝てば勝利である。だからトップになれなくても逆転の可能性が有るということで、高い手を目指した。
「手牌的にサバンナチームは逆転は難しいですね」
「相手チームが親番だからツモあがりすれば、点差をより縮められると思えますが、鳴いた場合だとツモの一ハンが付かない分、鳴いての仕掛けは難しいです」
「滝川選手もいつもは鳴いて動きますが、今回は鳴いて来ないのはそれが理由ですね」
「その他にも裏ドラ期待で面前で行くのだと思います」
はるかもエリカも逆転の為にリーチを掛けようと面前で手を進めていく。それに対して沢野も木下も王者のプロレスを見せつけるつもりで、真正面から二人の麻雀を受け止めるつもりで、積極的に手を進めていった。
はるかの手は、赤五筒が一枚のピンフ手で他にドラが無くリーチを掛けて裏ドラを乗せるしか逆転の目が無かった。そんな時に⑤⑥⑦の状態で⑧を持ってきて、少考して⑥を切り出した。
「ええ、松山選手がいきなり六筒を切って来ましたよ」
「松山選手は気付きましたね」
「何ですか?」
「九筒を持って来れば純チャン三色になるということを」
店長ははるかの手牌の他の面子がマンズの789と索子の789になっているから、九筒が来れば三色になることを語っていた。




