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第二話 エリカの帰宅

 エリカは悩んでいたが、美幸の方は何事も無い感じで仕事をしていた。何故なら美幸は前回は強制参加だったが、今回は参加しなくていいから、もはや勝負イベントは他人事だった。

「店長、トラブル」

はるかの叫びに店長が止まった卓の元に行く。男手は店長だけだから、全自動卓のトラブルはすべて店長が対処していた。勝負イベントに解説として参加する店長だが、今回のイベントの費用は店長持ちだった。前回ははるかが店長のFXの口座で稼いだ二百万がイベントの費用だったが、今回はすべて店長のポケットマネーだった。店長は雀荘のオーナーで、FXの口座に十億も入れているほどお金持ちだから、費用ぐらいは余裕で、撮影も外部の会社がやるから、遊び感覚で二回目のイベントにゴーサインを出していた。

「お先に失礼します」

はるかや美幸と違ってエリカはこれから道場での雑仕事や練習が有るから急いで横浜の道場に向かって行った。

 電車の中でエリカは、もう麻雀のことを忘れてプロレス団体ワルキューレの一員としてプロレスのことだけを考えて居たかったが、先輩の沢野と木下がそれを許さなかった。何故なら前回エリカはラスになり、二人に不甲斐ない麻雀をしているとイラつかれて、今度も同じく不甲斐ない麻雀をしたら、どんなお仕置きが待っているかわからないから、エリカはプロレスだけに集中できなかった。

 エリカが道場の前まで来ると、中から激しい掛け声が聞こえてきた。

「おはようございます」

「おうエリカ、早く仕事を片付けて降りて来いよ!」

「はい」

エリカはあわてて二階の事務所に向かって行った。

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