第一話 エリカの悩み
前作は電子書籍として販売中
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(はあ、何でこんなことになったのだろう)
雀荘でアルバイトをしている滝川エリカは現状に溜息を付いた。
「ちょっとーエリカ、新人は陸の上では誰よりも動けよよ」
とエリカの悩み事を作った張本人の松山はるかはうれしそうに雀荘でバイトをしていた。ここは雀荘サバンナといって普通のフリー雀荘だが、従業員がはるかと女子プロレス団体ワルキューレに所属する新人レスラー滝川エリカと、もう一人の女子従業員後藤美幸と店長の四人しか居なかった。
その四人しか居ない雀荘だが、あるイベントを契機に流行りだして、忙しくなっていた。イベントというのもはるかが考えて主催した麻雀の勝負イベントに従業員と一般参加者とで勝負をして、それをネット中継し、その反響で、東京の神田にある普通のフリー雀荘にお客さんがいっぱい来ていたのであった。
はるかは、集客効果よりも勝負イベントの視聴者が多かったことに気を良くしていて、さらに次の開催も決まっていたから、心が小躍りしていた。そしてエリカの悩みは麻雀の勝負イベントが次も開催されることだった。
エリカが悩んでいたのはイベントに強制参加させられることだけではなく、そのイベントに先輩女子レスラー二人が参加することだった。その先輩女子レスラー達はエリカの言うことなど聞く気も無く、自団体の宣伝になるという思惑で、麻雀の勝負イベントに喜んで参加するのだった。この先輩レスラー達の対戦相手として参加することにエリカは悩んでいたのだった。




