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プロローグ

 彼は少し、いや凄く変だ。

 というのも彼の性癖(?)に異常な問題があったらしく。

 私を可愛いと言い、テレビに映る女優を不細工などと言う。その女優は誰からも愛される国民的アイドルと、家族も口を揃えるほどの大物女優なのだが、従兄弟の彼――大地久弥は視界に入ると吐き気を催す呻き声を出すくらい嫌いなようだ。


「どうしたの?」


「あっ……」


 久弥の白皙の細指が私の肩に触れた。彼は美形だった。家族一の美貌だ。私を惑わせる彼の面差しは心から心配そうに歪んでいた。私はこの容貌の優れた久弥をいたく気に入っていたので、なにかをするにも久弥の表情をうかがい、何度も恍惚した。それを見て久弥は思悩むから私は笑顔になって、彼も安心したと微笑む。

 そういうふうにお気に入りの従兄弟との関係を深めていくのが、私にはとても有意義な時間に思える。


「もしかしてなにかついてる?」


「いいえ、いつも通り久弥は絵になるなって」


「そんなことないよ。でもミチルの絵は上手だからね」


 私は小さいころから久弥を見てきた。

 忘れないよう記録して、記憶して、保存して、どんなふうに感じて私は思い描いたのかを絵に残してきたのだ。上手く描けた枚数はそれほど多くないけど、一枚一枚が久弥の成長を表しているのでそれで私は満足している。

 家族には絵の良し悪しなど関係なく私を褒めてもらえるのが嬉しかった覚えもあって、好きこそ物の上手なれのことわざ通りに年々上達していくのが分かった。それこそ久弥だけを描いてきたので人物像には自信がある。反面、風景の描写は苦手だったりするが、美術部に入部してからはなかなかいけてるんじゃないかとか思ったりもする。


「せっかくの休みだし、どこか遊び行こうよ。一人で行くと久弥は面倒なことになるでしょ?」


「……まぁ」


 久弥は自分の容姿に自信がない。

 それはすごくもったいないことなんだと思う。

 けど彼の周りを覆うように群がる女子たちが苦手みたいなので少し安心している。というより女子のがっつき加減がとても可笑しく見えて仕方が無いようだ。そりゃあ女子は男子にすごいがっつき気味だけどね。

 テレビでも男の子への性犯罪特集があるくらいだし。


 特に問題視されているのは少子化や離婚の増加現象、男女間の冷め切った関係。男性の社会進出に伴い様々な問題が浮き出ている、らしい。

 私はそこまで勉強が出来るわけじゃないから何がどうしてこういけないのか全然分からないけど、あまりに横暴な女性の態度に男性は守りに入っているような気がする。

 男女平等とか謳っているけれど、実際は女性に有利な世の中だとか……。

 まっ、私と久弥の関係には関係ないでしょ。御偉い方々が考えて少しずつでも改善してもらえればそれでいい。


 今私たちは春休みの真っ最中。

 中学三年間いろいろ大変だったけど、久弥と一緒に入学できたことが重要だったのだろう。そう思えてしまうのはそれほどまでに久弥の存在が大きかったのが原因だ。久弥のせいで号泣した女子のフォローとかもあったけど、いい思い出になればそれは宝物。


 それでも久弥には自覚ってものを持って欲しいと思う。

小説の内容は批判とかそういうのではないので、あんまり考えずにお読みください。

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