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クラウ・ソラスの輝き  作者: 河野 る宇
◆第一章
6/34

*道具は道具

 少年は少年なりに必死にここまできた。

 父親のハミルに拒絶され、自分はいてはならない存在だと思った。しかし、ベリルはそれを激しく否定した。

 決めるのは誰でも無い、自分自身なのだと。

 自ら決めていかねばならない事なのだと──優しいけれど少し切なそうな瞳に見つめられ抱きしめられた時の、その温もりを今でも覚えている。

 出会って初めて声を荒げたベリルに、物静かな彼から多くの感情を感じ取った。普段、感情を表に出す事がなく、それが冷徹な性格だと誤解される事もある。

 そんな、冷静な中にあるベリルの激しい想いをダグラスは知った。自分は生きていいのだと思えた。

 いつか、ベリルの見た目を追い越してしまうだろう。それでも、死ぬまできっとベリルは「父さん」だ。

 ここに来る前にホルスターの事で言い合いになったけど、より良く使うためにはベリルの言うことの方が正しいんだ。

「どんな物も人を殺める道具に成り得る」

 全ての物は使う者次第──命を奪うものにも救うものにもなる。それを知らなければ道を誤る事になる。武器を扱う者ならば尚更にそれを知らなくてはならない。

 ベリルからハンドガンを手渡されたとき、諭すでもなく教えてくれた。

 日常にある身近なものだって人を殺す武器になるんだ。目に見えない言葉にも、その力はある。

 だからベリルは、丁寧に良いところも悪いところも教えてくれる。どう扱えばどんなに危険かということも。

 僕はベリルに憧れている。全ての物を、人を活かす武器と成せる力を持つベリルに少しでも近づきたい。

 自分が傭兵になることを本当は快く思っていないのも知っている。傷つけ合うやくざな世界に盟友の子供を投げ込みたくない気持ちも解る。

 ベリルは傭兵の中でも特殊な方だから稼ぎはあんまり無いし。無駄な事だと言う人もいる。けど、そんな言葉にも揺るがないのは凄い事だと思う。

 だからだろうか、個人のスポンサーは結構いるらしい。まさに継続は力だ。

 追いつきたいけど追いつけない──その大きな背中を僕はずっと見つめていくんだろう。

 目指すものは大きすぎるけど、それも悪くないと思う。

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