第3話 この鳥肌が立つ悪寒に包まれて
授業が終わり放課後。
光耀は下校中だった。
(くそっ、今日もやられたか……)
光耀は今日の昼休みを思いだして、苦い顔をしながら帰る。
もう家は近かった。
今日はジャーマン・スープレックスが綺麗に入ったから勝ったと思ったのに結局惨敗してしまった。
自分は身体能力が高いはずなのにいつも朔がその上をいく、悔しいことこの上ない。
そんなことを考えながら光耀は玄関を開けて中に入った。
「ただいまぁ~」
革靴が玄関にあることから既に策は帰ってきているみたいだった。
ドタバタと音を立てながら二階からこちらに向かってくる。
そして
「おい、兄貴!昼は何であんなことしたんだよ!あたしの顔に傷が付いたらどうしてくれたんだ!」
そう言って迎えてくれた。
コイツは誰だ?
学校の人が見たら間違いなくそう言うだろう。
だが、こっちの方が光耀には馴染み深かった。
義妹‐朔だ。
兄貴という呼び方と昼の甘ったるい声とは正反対の声、そして男勝りの口調を聞いていると安心してくる光耀。
ちなみに、タンクトップにホットパンツという極端に露出度の高い恰好をしているがペッタンコで背も低いので色気も何もあったもんじゃない。
光耀は文句を言うべく口を開いた。
「お前があの学校での気持ち悪いキャラをやめればいいんだよ!」
いつも思っていることを朔にぶつける。もう何回も言ったことではあるのだが。
「気持ち悪くなんかない!あれが可愛いんだよ!その証拠に気に入られているだろ!」
大声で言い返してくる朔。
毎度のやりとり。光耀が言ったことに対する返答は毎回こうだった。
「そんなこと言っても、あれのせいで鳥肌がたつんだよ!頼むからやめてくれ!」
本当に止めて欲しいので光耀は朔に頼み込む。もっとも人に頼むような口調と態度ではなかったが。
光耀の言葉を聞いて策の動きがピタリと止まり顔を俯かせる。
そして
「お兄ちゃん、ひどい。鳥肌がたつなんて、そこまで言わなくてもいいのに。わたし、悲しい」
手を胸の前で組み、上目遣いでこちらを見上げて甘ったるい声でそう言ってきた。
「いきなり学校モードになるなあぁーーー!」
頭を抱えてもだえながら床を転げまわる。
家に帰って安心していただけに破壊力が大きかった。
「おぉ~、本当に鳥肌がたってる」
光耀の腕を触りながら感心したように呟く朔。
「うるさい、コノヤロ。だから、やめろっつっただろうが」
光耀は触っている朔の腕を振り払い、たちあがって文句を言う。
「まま、いいじゃん。兄貴だって可愛妹に抱きつかれたり、弁当を作ってきてもらったり、嬉しいだろ」
光耀の数々ある文句を無視して、リビングへと姿を消す朔。
(可愛いとか自分で言うなよ……)
と心の中で言って、光耀は着替えるために部屋へと向かう。
(早くやめさせないと俺の寿命が減っていく)
そんなことを考えながら。




