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娘を置いてこの階から離れないだろうという考えのもと未開拓のフロアを確認していく。
それに下の階の感染者はあまりにも多い、あの中にいれば僕だけでなく感染者に先に見つかってしまうだろう。なんの騒ぎも聞こえないうちは安全なはずだ。
ひなたのためにも早く見つけてやらねば。
しかし願いと裏腹にそれらしき人物は見つからない。一つ、また一つと店内の探索は終わってしまう。
店内はすべて見終えたため従業員専用と書かれた入口を開け、暗い空間をスマホの明かりを付けて探索する。
「探す場所はそう多くないみたいだな」
3体ほど感染者を倒しながら廊下とスタッフルームを覗いていく。
見れる部屋は全て確認したはずだ。だが父親と思われる生存者、または感染者はいなかった。
可能性としてあるのは・・・。
目の前のドアノブを回す。
「誰かそこにいるかの」
返事はないものの探索できる所はこの鍵が掛かった部屋のみ。意識がなく中で倒れているのかもしれん。
可能性が捨てきれないのであれば確認するべきであろう。
急いで隣の部屋に向かい窓を開ける。
鍵の掛かった部屋の方を向けば付近に水道管が伸びているのが見えた。
いささかこの身を預けるには心もとない気がするが選り好みしている場合ではない。
片足を水道管へ引っ掛け、腕を伸ばし窓の鍵付近に金槌で穴を空け中の様子を伺う。
どうやらこちらに向かってくる気配はなさそうだ。だが中の状況は確認できずにいる、入るのならスピードを重視したほうがいいだろう。
穴から腕を入れ鍵を開けると同時に窓から部屋へ侵入する。
「返事がないのはこのためか」
構えていた武器を下ろしスマホのライトを使い部屋の中央で動く影を照らす。
足元にパイプ椅子を転がし、天井から伸びロープに首を引っ掛け吊るされている男性がそこにはいた。腐敗臭はそこまでしない。命を絶ってからそれほど時間は経っていないだろう。
・・・ひなたの言う父親の特徴に合致する。
達観して物事を考える癖はこの世界に置いて欠かせないと実感していたがこの時ばかりは悔いてしまった。
僕が探してこよう、なんて淡い期待をあの子に抱かせてしまった。
どうか違ってくれと願いながら身元を確認できるものがないか近寄る。
自殺するのであれば何点か気になることがあるからだ。
こんな世界じゃ自殺したくなるのも分からなくはないが、話を聞く限り父親はひなたの元へ戻ろうとしていたはず。
そんな人物がわざわざ密室にて命を落とすだろうか。まるで誰にも見つかりたくないと言いたげに。
がたり、
ロープが切れ死体は床に転がる。
・・・そういうことか




