表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第3章 僕と激動と
54/58

54、恐怖と信念と

 僕たちは目標のユニークモンスターと34階で接敵した。今は敵のシールドを壊している最中だが、敵の攻撃が予想以上に激しかったので、アローが敵の動きを封じるらしい。アローの詠唱中、僕は敵の注目を集めることにした。これが僕にできる最善だろう。


「アロー、まだ?」


ドォーーン、ガルルッ、ドカーン


僕が地面に付与した条件発動型の魔法、つまり地雷のようなものが絶え間なく発動していた。すでに、どこぞの花火大会みたいに魔法がポンポンと撃ち上がっていた。何の感動も無いが。


「レオ、もう少しで詠唱が終わる。」


「うん、急いでね。」


(ヤバい、需要が供給を遥かに超えてるよ...。)


「アロー...。」いや、ダメだ。僕が何を言おうと、アローは全力で詠唱してくれているはずだ。僕にできるのはアローを邪魔させないことだけ。


(もう、あそこまで来たのか。)


ドシン、ドォーーン


僕の条件付与で発動した魔法が、ダムが放流しているような(うな)りをあげていた。そんなものは虫の羽音と言わんばかりに、敵がズンズンと近付いてきていた。しばらくすると、蟻の気持ちが分かってきた。あんな大きいの相手に勝てるのか、ちょっとぶつかっただけでもホームランだぞ。


「アロー、もう無理かな...。」


「あと10秒、いや3秒待ってくれ。」あと3秒だったら、黙って詠唱し続けて欲しいものだ。そんなことを言ったら、より遅延しそうだが。


「レオ、そこを離れろ!」


「分かった!」




 敵が目の前にそびえ立っているので、前には行けない。横は僕の付与があって、進むと僕が被弾する。逃げられるは後ろだけみたいだ。僕が後ろを向いて、後ろの岩陰にいざ行こうとした時にアローの魔法が着弾した。


ドカァーーーン


(いや、ちょっ━━)


この世界に転生する原因となった女神のいたずらの時と、同じような感覚が走った。今回はとんでもない風圧もおまけで付いてきているが。僕はイヤだ、味方の魔法で死ぬなんて...。


「レオ、大丈夫か?」


「いや、ダメかな。」


「ちょっと運が悪かったな...。」ばつが悪そうにアローが首をちょっと垂らしながら言った。いや、誰のせいだよ。まあ、敵の動きは封じられたみたいだから許してやっても良いけど。


「まあ、強制でんぐり返しをさせられただけだから、問題ないよ。」


「ササッと、あいつを倒さないか?」


「そうだね。」


敵が動かないなら、何も憂いは無い。サクッと倒して、ササッと家に帰れる気がした。ユニークモンスターも思っていたよりは大したこと無かった。


「レオ、最後の一発を頼む。」


「うん、分かったよ。」


シュッ




 今までの敵と同じく、魔物は消えて魔結晶やアイテムが落ちるはずである。その中に、僕の探し求めている物もある。そんな僕の考えを嘲笑うかのように、目の前に倒れているユニークモンスターが一鳴きした。一瞬、輪郭がふわっとしたかと思うと、少し見た目が違う何かが現れた。


「あ...あれは?」


「さあな、我も━━」


カァーーン


金属同士がぶつかった時のような耳に残る甲高い音が聞こえた。何があったのだろうか?僕じゃないから、あの敵とアローの間で何かが起こったのだろう。


「アロー?」


「何も問題は無いはずだ。」


「どうしたの?」


「どうやら敵はまだ元気らしい。こんな大剣を飛ばせるくらいは。」そう言って、アローに当たったと思われる大剣を、中々火が消えない煙草のように足でグリグリと踏み潰していた。


「何かあったら言ってね。」


「我の装甲とレオの付与の二重奏(デュエット)なのだから、被弾などするはずなかろう。」


「それなら良いけど。」


「我が盾になっているから、レオはしっかり攻撃を当てるんだぞ。できるだけ早くやってくれると助かるがな...。」


「うん、分かったよ。」




 僕はこういう状況が嫌いだ。僕が当てなかった分だけ、アローが被弾していく。余裕だと言っていたが、あの大剣があのスピードで当たったら相当の衝撃があるはずである。僕の付与には痛み止め、衝撃緩和なんてものは無い。僕の頭に焼き付いた走馬灯が、何回も何回も最悪の状況を映し出していた。


「レオ、集中しろ。」


「うん、分かってる。」


カァーーン、カァーン、カァーン


(ああ、うるさい!)


「レオが当てないと、一生終わらないぞ。我は一生この攻撃を防ぎ続けるなんて絶対に御免だからな。」


「分かっ━━」


僕が集中しようと深呼吸した瞬間、僕の両側から大剣が挟み撃ちする形で飛んできた。ハッと急に息を吞んだせいで、唾が変な所に入ってむせている暇なんか無い。


「危な━━」


カキーーン


今までで一際高い音が鳴った。僕が首をすくめるのと同時に、アローの低い声が耳に飛び込んできた。


「レオ、早く目を開けるんだ。」


「あれ?」


「我が守っているのだから、万が一もあるはず無かろう。レオは射撃に集中していれば良いのだ。ほら。手が止まっているぞ。」


「うん、ありがと。」


「レオ、何のためにここまで来た?」


(もちろん...未来のため...レミリエのためだ!)


今まで頭の片隅を横切っていたものを消すために、頭の中をも入れ替えられるくらい大きく深呼吸をした。周りから聞こえる金属音は僕の応援歌、この高鳴る心臓は心地よい興奮、僕をここまで連れて来たのは一筋の希望。女神様から与えられた最初で最後のチャンスだ。僕の人生の分岐点だ。ここで正しい道を選べなくて、何が未来の領主だ、何が大切な人と過ごすだ。

レオは無事にユニークモンスターを倒せるのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ