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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第3章 僕と激動と
47/58

47、睡眠と驚愕と

 ミアとアローの喧嘩は一応収まった。僕がハンバーグを作らなければならなくなったが。まあ、ハンバーグでダンジョンを救えたと思えば安いものだ。


「レオ様、お願いします!」


「レオ、頼んだぞ。」


(いや、どうして食べる側が張り切ってるんだよ...。)


「うん、ちょっと待っててね。」


「はい、頑張ってください!」


「美味しく頼むぞ!」


すでに2人とも右手にフォーク、左手にナイフを持っていた。今から、食べる準備万端でどうするんだよ...。そして、喧嘩しないよう2人の間に座っているシアは、ハァという溜め息と共に机に沈んでしまった。


(ここだけ見ると、崩壊した家庭みたいだな...。)




 僕はササッとハンバーグを作ることにした。また喧嘩されでもしたら、(たま)ったもんじゃない。ハンバーグは前世からの得意料理である。異世界なので材料が足りず普通のソースを作れないので、和風ハンバーグを作ることにした。


①『鋭利化Lv6』を付与した包丁で、ボア肉と玉ねぎを細かくする。


②ボア肉、玉ねぎ、パン粉、卵、牛乳を混ぜ合わせて、俵状にする。


③フライパンにボアの脂身を引いてから、②で作ったものを投下。


④焼き色が付いたら、ひっくり返して蒸し焼きにする。


⑤酒、醤油、レモンでソースを作り、大根おろしを乗っける。


(さーて、これで完成だな。)


「はい、できたよ。」


「これがハンバーグという料理なのですか?」


「うん、そうだよ。」


「そうそう、我が欲しかったのはこれだ。」


「レ、レオ様、これは何ですか!」それまでしおらしく座っていたシアだが、ハンバーグで理性が崩壊してしまったらしい。口にハンバーグが入っていることお構いなしに話しかけてきた。


「いや、だから、ハンバーグだって。」


「作り方を教えて頂けますね?」


(あっ、断れないやつだ。)


「うん、分かったよ。」




 僕もハンバーグを食べたかったが、シアに手を引かれて、再び料理場に戻ってきてしまった。アローに試食させていなければ、今頃はこんなことにならなかったのに...。


「レオ様、片っ端から教えてくださいね。」


「分かったよ...。」


僕にはシアの言葉が死神のささやきにしか聞こえなかった。シアがこう言う時は基本、具材の切り方から焼き加減に至るまで細かく聞いてくる。


「レオ様、それで何秒焼くんですか?」


「良い感じに焦げ目が付くまでかな。」


「良い感じですか...。」僕が焼いているハンバーグを(のぞ)きながら、シアが不満そうに(つぶや)いた。


「うん、あんまり細かく決まってないかな。」


「難しいですね...。」


「何回か作っていれば分かるようになるよ。」


「それで、ソースの方は?」


「酒、醤油、レモンを混ぜて加熱するだけだよ。」その言葉に合わせて、実際にフライパンに入れた。その瞬間、何とも食欲をそそる匂い立ち上ってきた。


(僕も食べたいなぁ。)


「レオ様?」


「あ、ゴメン。それで、何だっけ?」


「それぞれの分量は?」


「いや、別にそれぞれの好みで良いんじゃない?」


「好みですか...。」相変わらず、不満そうだ。具体的な数字が欲しいのかもしれないが、僕も分からないのだから、どうしようもない。


「そうだね...。」




 この後もシアからの重箱の隅をつつくような質問と、ミアとアローからのハンバーグの注文の嵐が始まった。気付いたら、すでに3時間くらい経っていた。早くダンジョン攻略を開始させるために、ハンバーグを作ったのに。


(アローに試食させていなければ...。)


「では、レオ様、行きましょう!」


「美味しいハンバーグをありがとうございました!」


「やっぱり、あれは美味いな。」


「...うん、ありがと。」3人とも絶好調になったが、僕はもう満身創痍と大して変わらなかった。この世界で、初めて過労死寸前まできたかも...。


「大丈夫ですか?」


「いや、ダメかな...。」


「では、我の背に乗るが良い。」


「アロー、ありがと。」


「何、ハンバーグ代だと思えば安いものだ。」




 アローの背に初めて乗ったが、B+ランクの魔物は乗ってて気が楽だ。敵が来ても、魔法を3つ同時に詠唱して、圧倒的な物量でどうにかできていたからだ。異世界で初めて弾幕を見たよ...。


アローがスライムファミリーの群れを壊滅させた時までの記憶はあるが、疲れが一気に回ってきた。そして、ダンジョンの非安全地帯、つまり魔物がいる真っ只中で寝てしまった。


「レオ様、起きてください。」


「う...うん。」僕は起きると、ベッドに寝ていた。最近は持ち運び用のベッドもできたのか。そうだったんなら、初めから出して欲しかったよ。


「体調は大丈夫ですか?先ほどは申し訳ありませんでした。」


「気にしなくて良いよ。」


「では、料理をお持ちしますね。」


「うん、ありがと。」




 少しすると、シアが戻ってきた。美味しそうなサラダとハンバーグを持ってきた。もうハンバーグを作っているのか、しっかり見た目も整っているしさすがだ。


(あれ、サラダとハンバーグ?僕は『冷凍化』を付与しているけど、シアはできないはず...。)


アイテムボックスに放り込んでも、時間はしっかり経過するので、食べ物特に野菜や卵は腐るはずである。まあ、深く考えてもどうしようもないが。


「シア、持ち運び用のベッドを持っていたんだね。」


「...持ち運び用?」


「だって、ここにベッドがあるし...。」


「それは当たり前でしょう。レオ様の部屋なんですから。」


「僕の部屋?」辺りを見回してみると、確かに母さんが大量に買ってきたカーテンも、『石化』を付与した花も、作りかけのジューサーもあった。


「はい。」


「つまり、ダンジョンからはもう帰ってきたと。」


「はい。」


「えぇぇーー!!」

レオが無事に目標の30階まで行けたことになるのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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