45、ボスと食欲と
翌朝も引き続いて2人は上機嫌で、朝から家で食べるのと同じような朝食が出てきた。ダンジョンでの食事はあと2日あるかないかであろう。壁の色は少しずつ違っていたが、無機質で何の面白みも無かった。
「では、レオ様、今日は30階まで行きましょう!」
「でも、だんだん敵が強くなってない?」
「私たちなら問題ありませんよ、サクッと25階のボスを倒して、一気に30階の安全地帯まで駆け抜けましょう。」
「頑張るよ。」
「野宿はしたくありませんものね。」
そう言って、頬を緩めてフフフと笑うミアに手を引かれ、ダンジョン探索4日目が始まった。もうFランクの姿は無くなり、ほとんどがDランクに占められていた。25階のボス部屋を越えた辺りで、Eランクもいなくなるらしい。
「レオ様!」
(おっと、ボーッとしている暇は無かったな。)
「今日からは、昨日言った通り、レオ様にもしっかり戦ってもらいますからね。」ダークラビットを僕の付与した剣で斬り伏せながら言った。
「うん、分かってるよ。」
ダークラビット(Eランク)
・物理、風属性魔法攻撃
・攻撃力と俊敏性が、他のラビット種に比べて高い。
・黒色のラビットである。
・広い草原などに生息している。
・よく群れを作っているので、他に敵がいないか要警戒。 など
シアとミアの脇をすり抜け、ダークラビットが僕に突っ込んできた。今日は、僕も働く必要があるようだ。そう気を引き締めながら、三式AGを撃った。
シュッ
「レオ様、前からダークラビットが多数です。」
(ダークラビットの群れか...。)
「気を付けてくださいね。攻撃力が高いですし、数で押されますよ。」
「うん、分かったよ。ボルト、召喚!」
ガルルッ
「ボルト、敵を倒すよ!」
ガル...ガルルッ
ドンドンと飛び跳ねて、やる気は十分だった。戦況に応じて召喚獣1体から、少しずつ増やしていくことにした。
ヒュゥーン、ドォーン、ドカンッドカンッ
ダークラビットは小さいし素早いので、中々ボルトの攻撃は当たらない。ピョンピョンと相手が跳ね回っているから、狙いを定めてもすぐにズレてしまう。アイロンサウルスは、ダークラビットと相性が悪いようである。
(このままだと、一生終わらないな。)
シュッ...シュッ...シュッ
ボルトには、次の機会に活躍してもらうことにした。小さい軟目標には、僕が攻撃することにした。三式AGだって、攻撃力が低い訳じゃない。
(よしっ、最後1匹。)
外さないように、敵の動きを見極めてから、敵が動くであろう方向に少しずらして撃った。完璧である。僕の撃った爪楊枝弾はしっかりと命中した。
「レオ様、お見事です。」
「ありがと。」
「それでは、先に進みましょう。30階の安全地帯まで行けなくなりますよ。」
(絶対に野宿はイヤである。魔物が出ない安全地帯まで行かなくては。)
「分かったよ、急ごう。」
段々とDランクの魔物の群れが増えてきた。ダブルボアとかのボア種は急に突っ込んでくるから、会いたくない。さて、ダンジョンの雰囲気も少しずつ変わってきた。そろそろ、25階のボス部屋があるのだろう。
「2人とも、この辺りがボス部屋なの?」
「よく分かりましたね、大正解です。もう少しで門が見えてきますよ。」
もう少し歩くと、見覚えのあるしっかりとして立派な門が見えてきた。あそこを越えれば、30階の安全地帯まではすぐであろう。
「レオ様、少し待ってください。」
「ボス部屋に入らないの?」
「いえ、入りますよ。その前に、やるべきことがあるんですよ。」そう言うと、何かの魔法を詠唱し始めた。
「何これ?スゴいね。」僕の体が薄緑色のもやもやで覆われているのである。こんなことは初めてだ。
「気に入っていただけたなら良かったです。しかし、もうすぐ見えなくなりますよ。」
「それで、これは?」
「ちょっとしたスパイスです。」
「スパイス?」
「はい、そうです。ボス部屋に入ってみれば分かりますよ。」
「そう?」
「私はレオ様に嘘を付きませんよ。」
もう門を開けようとしているから、最後まで答える気は無いのだろう。まあ、シアのことだから、役に立つ魔法だったのであろう。
スゥーと門が開いたので入ると、好きだけど嫌いな魔物がズラッときれいに整列していた。本当に、ご苦労なことだ。あとは大人しく倒されてくれれば...。
第一列目のボア種が突っ込んできた。やっぱり、サンドバッグにはなってくれなかった。ああ...僕のお肉が迫ってくる。あれを串焼きにしようか?それともステーキにしようか?ちょっと変化球でハンバーグにしようか?
「レオ様、相手の動きを見極めて!」鋭く凛とした声が僕を現実に引き戻した。
(危ない、危ない。僕がハンバーグになるところだった。)
「ドリルが来ますよ。」
ここは申し訳ないが、「アロー召喚!」
ガンガンガン...
「な、何だこれは!?」目覚まし時計に起こされて時計を見ると、遅刻確定の時間だった時のような声を上げた。
「アロー、ごめんね。」
「お、レオか。これは我へのプレゼントか?」
「プレゼント?」
「いや、召喚されみたら、目の前に活きの良い肉が置いてあったからな。それで、これは我へのプレゼントか?」
「まあ...頑張ってくれたら、ハンバーグにしてあげても━━」
その瞬間、ブアッと下から吹き上げるような風が吹いた。もちろん、何があったかは砂埃の舞っている今でも理解できる。視界が戻ってから横を見ると、案の定隣に銀色の大岩がいなかった。前線の方からは、シアとミアの叫び声が聞こえてきた。
(まったく、あいつは...。)
レオたちは無事に目標の30階まで行けるのでしょうか?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




