43、仲間とボスと
シアとミアはダブルボアのシールドを相性の良い魔法で壊しては攻撃するのを繰り返していた。僕はアイロンサウルスの装甲を壊す手立てを考えていた。いつものように、土に強酸化を付与して攻撃することはできない。
(程よく液状のものは無いかな?)
僕が考えている間にも、アイロンサウルスは距離を詰めてくる。その時、僕の水筒がコツンと足にぶつかった。
(水筒か...あ、水だ!)
急いで水筒の蓋を開けて、中に入っていた水に付与をした。
「『強酸化Lv5』を付与。」
「アロー。」
「我に何か用か?」
「アローって飛べるんだよね?」
「当たり前であろう。我は誇り高き三大翼竜の1種であるぞ。飛ぶなんて、寝ててもできるぞ!」鼻から息をフンッと出しながら答えた。
「じゃあ、この水筒の中身をあのアイロンサウルスに上空からかけてきてもらえるかな?」
「何ッ、そこら辺で木の実をつついている鳥になれと、我に言うのか!」
「いや、色も白じゃなくて、透明だし...。ね、頼むよ、お願い!」こういう時は、精一杯頼むに限る。ずっとしていれば、相手がそのうち呆れて、僕の頼みを聞いてくれるはずである。
「...うーむ。」アローは敵のアイロンサウルスの頭上をジィッと見始めた。そして、ウーンと唸り始めた。これは、もう一押しでいけそうである。
「アロー、この通りだよ、お願い。」
「分かった、分かった。そこまでされてやらなかったら、それこそ我らシルバーサウルスの恥であろう。それをかけてこれば良いのだな?」
「うん、ありがとう。」
「気にするな。寝ててもできると言ったであろう。」
アローは一度やると言ったことは、三大翼竜の誇りにかけてやり遂げてくれる。敵の装甲を壊せるのは確定したので、火力を叩き込む用意をすることにした。
「ボルト、ファイ、ウィンも用意は良い?」
ガルルッ、ガァルルッ、ガルゥルッ
「じゃあ、敵の装甲が壊れたら、遠距離から魔法で一斉攻撃してね。」いくら装甲が壊れたとはいえ、アイロンサウルスであることに変わりは無いので、近距離から攻撃するのは危な過ぎる。
ガルッ!
「じゃあ、行くよ!」
バッシャァーン...ガルガルッ
僕たちが敵のアイロンサウルスに向かおうとした時、アローが上空から『強酸化』を付与した水を敵にばらまいた。敵の装甲がミルミルと溶けていった。
(アロー、ナイスタイミング!)
「皆、詠唱開始!」
ガルル!
ズドンズドン、ドンドンドン...ズドン、ドッカァーン
僕の4匹の召喚獣たちが一斉に魔法を撃ち始めた。相手と同じCランクと言えども、色々な属性が混ざっているので、敵の周辺では色々な反応が起きている。そして、際立って威力が強いのは、アローの氷属性魔法である。
空中でホバリングしていたアローの翼が大きく5回上下する間に、敵は完全に沈黙した。そして、アローの魔法が落ちるのと同時に、土煙の中で魔結晶になった。
「4人とも、ありがとう!おかげで倒せたよ。」
(本当に、この4人がいて良かった。もしいなかったら、僕の冒険はこんなにも順風満帆に行かなかっただろう。)
ガルルッ、ガァルルッ、ガルゥルッ
「我は特別なことをした訳ではない。少し魔法の試し撃ちをしただけだぞ。」そのままプイッと横を向いてしまった。ほんと、素直じゃないんだから。
「それでも助かったよ、ありがと。」
「まあ、気にするな。」
「うん、分かったよ。」
シアとミアの方を見ると、もうダブルボアの姿は無かった。2人はのんきに喋っていた。Dランクの魔物10匹くらいじゃ余裕なのであろう。
「レオ様、お疲れ様です!」
「お見事でしたよ!」
「ありがと。でも、2人はやっぱり強いね。」
「そんなことありませんよ。レオ様は私たちなんかを軽く超えられますよ。」
「そうね。まだ6歳になっていないのに、Cランクを倒せていますし。」
「それは召喚獣が強いからで...。」
「それは違いますよ。魔物は決して自分よりも弱い相手の召喚獣になりません。どこかしら自分よりも強いところを見つけると、初めて召喚獣になってくれるんです。」
「へぇ、そうなんだ。」
「ということは、つまりB+ランクのシルバーサウルスを召喚獣にしている時点で、B+ランクの冒険者より強いところを持っているということなんです。」
(今度、アローに聞いてみようかな。)
「シア、ありがと。おかげで、自信が持てたよ。」
「それなら良かったです。私たちもレオ様の長所はいくらでも知っていますからね。」
何となく、耳がくすぐったいような気がした。でも不思議と、しっかり僕の体の中にまで届いたような気がした。やっぱり、2人はスゴいよ。
ボスモンスターは15階から10階おきに存在している。これらを倒すと、その先へと進める門が開くらしい。グルッと部屋を見ると、ちょうど目の前の方から光が入ってきているのが分かった。きっと、そこから続きへと行けるのだろう。
「レオ様、今日は20階の安全地帯を目指しましょう。」
「うん、そうだね。」野宿なんかはもう二度としたくない。いつ魔物が来るか分からず、ちょっと怖い。毎回、ミアにギュッとしてもらう訳にはいかないし。
「やっぱり、そうでしたか。」
「早めに着いたら、剣に付与してあげるよ。」
「本当ですか?」
「うん。2人には色々と助けてもらったからね。」
「それでは1秒、いえ0.1秒たりとも無駄にせずに行きましょう!」
「そうね。魔力が無くなり、立てなくなるまで頑張りましょう!」
「2人とも?」
「レオ様、ホースロンに乗ってください!」
「うん、分かっ━━」
僕が乗るや否や、ホースロンが急発進した。僕の心臓はさっきボスを倒した時よりもバクバクしていた。まあ、これもこれで楽しいから良いんだけど。
レオたちのダンジョン探索はどうなるのでしょうか?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




