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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第3章 僕と激動と
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40、トライアルとトラブルと

 ジューサーの販売、ダンジョン内での訓練、召喚獣の世話、レミリエの相手などをしていると、庭に散らばっていた栗のイガは姿を消した代わりに、寒い冬空の下に霜柱ができていた。サクサクやっていると、時間が経つのを忘れてしまう。


「レオ様、準備はできましたか?」


「うん、できたよ。」


「しっかり荷物は確認しましたね?」


「うん。」


「では、私たちが確認しておきますので、台所から水筒を持って来てください。」


(水筒か...僕は水稲の方が...。)




 シアとミアが何でこんなにも神経質になっているのかというと、これから行くのは訓練でなく、トライアルだからだ。トライアルとは、どこまでダンジョンを深く潜れるかを競うものらしい。もちろん、ウィリアム君とセドリック君はお休みである。


「母さん、僕たち3人分の水筒は?」


「ちょっと待っててね。」僕の母さんは毎週同じ時間に出納(すいとう)帳を付けている。


「分かった。でも、急いでね。」


「ふぅ。ここよ、ここよ。中身はお茶にしておいたわ。」


「ありがと、母さん。」


「気を付けて、行ってくるのよ。」


「うん、分かってるよ。」




 シアとミアによる荷物の確認も終わったので、早速ダンジョンに向けて出発することにした。このホースロンのおかげで、あっという間にダンジョンまで到着できる。


気付いたら、もうダンジョン前だったということも時々ある。そういう時は決まって、シアとミアのやる気が強く、ビシビシと訓練をしてくる。今日もそういう日のようだ。


「レオ様、いつも通り落ち着いて行きましょう!」


「私たちなら、目標の30階くらい軽いですよ。」


「うん、頑張るよ。」


シアとミアがやる気がある時のジンクスはもう1つある。それはダンジョンに来る人が少ないのである。おかげで、訓練や探索には持って来いなのだが、理由が少しマズい。その理由はレアモンスターが発生して、死人が出ていることである。


「お客さん、気を付けてくださいね。」


「どうしたんですか?」愚問である。その答えはいつも同じである。


「実は、死人が出ましてね。今、討伐パーティーが入っているのですが、大丈夫かどうかはまだ...。」


「どんな魔物なんですか?」


「それが...他言無用でお願いしますよ。実はシルバーサウルスなんです。それも、アイロンサウルスの護衛付きの。」




 僕たち3人は思わず顔を見合わせてしまった。シアは眉をひそめ、ミアは少し笑いながら、2人ともハァと溜め息をついた。僕は、自分の仲間とレアモンスターの集団の編成が同じことに、少し驚きを感じてスッと息を吸った。


「すみません。お嫌でしたら、入場料はお返ししますので。」


「ダンジョンに入りますから、そのままで良いですよ。」


(やっぱり...。)


「えっ...でも、さっき。」


(さっき、戸惑っているような雰囲気を出したからなぁ。)


「はい、分かりました。それでは、お気を付けて。」


「はい。」




 ダンジョンの中は相変わらず、暗くてジメッとしていた。もうちょっとだけでも良いから、カラッとして欲しい。そんなことを考えていると、スライムがピョコッと出てきたが、三式AG(エアガン)で仕留めた。撃つ時に魔力を使わないから、三式AGは遠征にぴったりである。


「レオ様はスゴいですね。」


「急にどうしたの?」


「そんなに便利な物をよく作れたな、と思いまして。最低限の疲労で、敵を倒せますからね。」


「本当にそうよね。それに魔力消費がゼロだなんて。」


「正確に言うと、戦いの時にゼロってだけで、作る時には必要だよ。」


「それでも、遠征中の魔力効率は格段に良くなりますよ。」


「2人にも、何か良さげな物を作ってあげようか?」


「良いんですか!」


「ありがとうございます!」




 はしゃいでいる2人の真横には、魔物が控えていた。2人の召喚獣だろう。その2匹のおかげで、僕たちが戦闘することはほとんど無かった。1日目は、10階で寝ることにした。このダンジョンには、10階ごとに魔物が発生しない安全地帯がある。


翌朝、いつもと同じくらいの時間に目が覚めた。ダンジョン内は明るさが一定で、昼夜の区別が付かないから、時間には一層気を付ける必要があるらしい。


「ちょっと、あなた!」


「何だよ、お前。」


「ふざけないでくれない?」


「は、ちょっと何言ってるか分かんない。」


何やら、テントの外から小学生の口喧嘩のようなものが聞こえて来た。その声の1つはミアだが。それにしても、ミアが小学校にいたら、中々に怖いと思う。


(ヤバい、ヤバい。ダンジョンが崩れるぅ。)


急いで、テントから出ると、ミアがどこかの冒険者と口喧嘩をしていた。そして、少し離れた所にシアがいた。


「ミア、どうしたの?」


「あ、レオ様、おはようございます。実は、この馬鹿が喧嘩を売って来まして。」


「そうなの?」


「な訳無いだろ!」


「らしいけど...?」


「そいつが悪いんですよ。私たちの使っていた調理場を使おうとするだなんて。」


「何か文句あるのか?」


「ありますよ!」


「そんなに言うんじゃ、決闘だ、決闘。」




 理由も小学生だが、すぐ暴力に走ろうとするのも小学生のようだった。まあ、このダンジョンのジメッ、ガタッ、ガオォッが全部悪いのだが。


「分かりました、受けましょう!」


「良い度胸だな。もし泣いて謝るんなら、許してやっても良いが。」


「こっちのセリフですよ。」


(ヤバい、ヤバい。ダンジョンが崩れるぅ。)


「そこのお兄さん。」


「ん、どうした?」


「うちのメイドの不祥事は、僕の監督不行き届きによるものだと言えないだろうか?つまり、決闘をするなら、相手は僕で良いんじゃないか?」


(うーん、ちょっと厳しいか?)


「ハハハ、面白いガキだな。よし、良いだろう、代わりにお前と決闘してやろう。」


「ちょっと、レオ様?」


「大丈夫、大丈夫。2秒で終わるから。」


「な、何ィ!」


あ、火に油、いやプロパンガスを注いでしまった。スッと相手の冒険者を見ると、さっきまで持っていた包丁を地面に叩きつけていた。少し離れた所にいるシアはハァと溜め息をついていた。

さて、僕の決闘はどうなるのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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