39、環境と喧嘩と
準備体操をした所より、ダンジョンの少し奥に来た。見た感じ、ここにはスライムとラビットがいる。もちろん、僕にはもうお馴染みの相手だが。
「ウィリアム様とセドリック様は私に、レオ様はお姉様について行ってください。」
「じゃあ、レオ様、行きますよ。」
「はい。」
ウィリアム君とセドリック君が大丈夫かと心配になったが、隣に立っているミアが見えると大丈夫な気がした。それにしても、シアはどこまで進むのだろうか?
「レオ様、ここでやりましょう。」
「どこらへんなの?」
「そうですね。Eランク、時にはDランクも出る感じの所です。」
「もうDランクか。」何だか剣が少し重くなった気がした。それに、ジメッとしているこのダンジョンもあまり好きではない。
「さすがに、Dランクとやる時は魔法を使っても良いですよ。」
(つまり、E、Fランクは純粋な剣で倒せと...。)
「では、行きましょう!」
初めの犠牲者はスライムカップルだ。ただのEランクで、スライムが2体協力しているだけ。まあ、三式AG(空気銃)を使ったら一瞬なのだが、いかんせん剣しか使えない。
「レオ様、力を抜くんですよ。」
「はい。」
「危なそうになったら助けますので。」
さっきと同じ、いや型はさっきと同じ。ゆっくりと相手に向かって足を滑らしていく。亜式魔法剣術だと、普通に歩いていいらしいが、何だかそれだと締まらない。
「頭を上げたまま、両方に同程度の意識を送ってください。そして、片方ずつ剣でなぞれば、簡単に倒せます。」
一瞬で剣に力を込めて、剣で空を払った。そして、返す刀でもう片方のスライムも。
シュッ...シュッ
「お見事です。」
「ありがと。」
「自然と、その流れでできるようになるまで練習ですね。」
「分かりました。」
「ほら、次が来ましたよ。ハイラビットとダークラビットですね。これなら2匹同時に行けますね。」
ハイラビットとダークラビットを倒し、スライムカップルを2セット、カラフルラビットなどなどテンポよく倒していると、あっという間に昼食の時間になった。
「昼食はどうするの?」
「そうですね。まずは、ミアに合流してから考えましょう。では、訓練中断ということで。」
「うん、分かったよ。」これで、やっと普通に話せる。訓練中は一応、先生なのだから敬語を使わないといけない。
「レオ様も中々に強くなりましたね。この前まで、こんなに小さかったのに。」
「今日は何匹倒したの?」
「レオ様は18匹、私は1匹ですよ。」この1匹は、休憩時間にシアがフラッと倒しに行った時の1匹である。
「それで、何を倒したの?」
「カッパーサウルスです。」
あまり馴染みの無い響きだったので、持って来た魔物図鑑を開くことにした。まあ、シアがわざわざ倒しに行ったということは...。
カッパーサウルス・成体(Cランク)
・物理、火属性魔法攻撃
・物理ダメージ低減
・茶褐色で、大岩のような見た目である。
・人があまり来ない所に生息している。
・全身の表面が銅で覆われているので、ダメージが通りにくい。
・これは同じサウルス種の「アイロンサウルス」より強い。 など
図鑑の絵からして、強そうだ。僕は、こんなのと戦いたくない。図鑑を読みながら歩いていると、やっとミアたち3人がいる所に着いた。
「あ、レオ兄ちゃんだ。」
「お、ホントだ。しっかり生きて戻って来た。」
(どんな想像をしてたんだよ...。)
「私が付いていたんですから、絶対に問題ありませんよ。もちろん、ミアも強いですが、こういう時は私の方が。」
「お姉様、それは聞き捨てならないですね。」ミアがシアに一歩詰め寄った。
「本当の事を言っただけじゃない。」それに呼応するように、シアもミアに一歩詰め寄った。
「こういう時は私の方がですって。冗談じゃない。『智のシア、武のミア』なんですからね、しっかり自分の領分を━━」
「魔物について何も知らないでしょう?」
「少しくらい知ってるわよ。」
「じゃあ、サウルス種の行動は?ダブルボアのシールド元素の見分け方は?スライムファミリーの倒す順は?」
シアは腕を組みながら、自信満々に言い放った。まあ、これはシアのテリトリー内だから、可哀想だけどミアに勝ち目は無いであろう。
ミアは思わずサッと一歩だけ後退ったが、シアのテリトリー内に入る恐怖に、ミアの精神力か勇気が勝った。
「そ...そんなこと知らないけど、私だって...。」
「知らなかったら、この狭いダンジョンというフィールドの上では負けるんです!だいたい、ミアはそんなんだから━━」
「ああ、もう!お姉様だって、どうせレオ様が近くにいると、レオ様で頭がいっぱいじゃないですか。そんなんじゃ、冷静な判断ができないでしょう!」
「そりゃあ、そうだけど...。」
「じゃあ、私と同じじゃないですか。それに、レオ様なら私たちと比べて遜色ないですから、実はシアの方が守られているんじゃないですか?」
「そんなことは...。」
理由は謎だが、シアとミアが拮抗し始めたので、2人を止めることにした。このままだと、どちかが手を出したら、ダンジョンが崩壊しかねない。まあ、2人が喧嘩するのも、ジメッ、ガタッ、ガオォッとしていて暗くて窮屈に感じるこのダンジョンがいけない。
「はい、2人とも、そこまで!お腹が減ったから、昼食を食べに行こう?」
(危ねぇ、ミアがシアに急接近してたよ...。)
「でも、この決着を...。」
「そうですよ、私の方が...。」
「はいはい、落ち着いて。2人とも強いんだから、そんな喧嘩しても、格が落ちるだけだよ。折角、可愛くて強いんだから、大人しくしてないと。」
(こういう時は、適当に褒めれば、どうにかなるっぽい?)
「可愛くて強い...私はどっちですか?」
「え、えーと...両方かな。」
「それなら、良しとします。シア姉様、行きましょう!」
「そうね、レオ様がお腹を空かせているのは良くないわ。」
何とか正しい選択肢を選べたみたいである。相変わらず、女性の扱い方はよく分からないが、不思議生物ということで納得しておけばいいのかな?そんなことを考えつつ、シアとミアがスタスタとテンポ良く歩いていくので、ウィリアム君とセドリック君が迷子にならないように手を引っ張っていった。
レオたちのダンジョン探索はまだ続きます。
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




