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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第3章 僕と激動と
38/58

38、ダンジョンと訓練と

 生まれて始めてのダンジョン街(ダンジョン関連業を生業(なりわい)としている街)の感想はと聞かれれば、一言で言い表せる。エグい、ただそれだけだ。


武器屋、防具屋、魔結晶屋、アイテム屋、料理屋、宿屋、もちろん冒険者ショップもある。挙句の果てには怪しげな占い屋、もう何でもござれである。少し盛り上がっている所にあるのがダンジョンの入り口であろう。何か2つ見えるが...。


「すみません、ダンジョンに入りたいのですが。」


「1人1000ウィーズだよ。」


「どうぞ5000ウィーズです。」


「「じゃあ、頑張ってな。右に進むと大ダンジョン、左に進むと小ダンジョンだよ。まあ、子ども連れなら、左確定だな。」


「丁寧にありがとうございます。」




 受付の人に言われた通り、僕たちは左の小ダンジョンの入り口の方へ歩いていった。入り口の近くには、僕たちと同じような子ども連れがポツポツといた。入り口の横にドッシリと立っている門番の横を過ぎると、僕たちの冒険の始まりである。


片手剣を使うウィリアム君とセドリック君が前、三式AG(エアガン)(空気銃)を使う僕が真ん中、シアとミアが後ろから見守っている。


「あ、スライムだ。」


「まずはウィリアム様、落ち着いて剣を当ててみてください。」


「分かりました。」


そろりそろりとスライムに近付いて行った。ウィリアム君の剣が届く範囲内に、スライムが入った時、スライムがポンッと軽く上に飛んだ。


「ウィリアム様、今です。スライムに剣を!」


「は、はい。」


答え終わるよりも早く、ウィリアム君の剣が突き出された。入り口付近にいるスライムは低レベルで、基本的に何かを当てれば、すぐに倒せる。時には、ジャンプした時の衝撃でも...。


(懐かしいな、僕も初めての頃は...。)


「ふぅ。」


「ウィリアム様、よくできました。その調子です。」この言葉で、やっと実感が湧いてきたのか、ウィリアム君は僕の所に走って来た。


「レオ兄ちゃん、倒せたよ!スライム。」


「良かったな。これからも、その調子で頑張れよ。」


「うん、ありがと。」




 次は、セドリック君の番であろう。まあ、父親がガチガチの武闘家なので、結果が見えているような気もするが。


「では、セドリック様の番ですよ。」


「おう、見とけよ。特訓の成果!」言い終わるや否や、スライムに向かって走って行った。さすがのスライムも、殺気に気付き、さっきもより景気よくポンポンしている。


「よくスライムの動きを見てくださいね。」


「分かってます。」


「あと、あまり遠くに行かないでくださいね。」


「おりゃあ!」威勢の良い掛け声と共に、セドリック君の剣が一筋の線となって、スライムに襲い掛かった。


(スゴいな。ワンチャン、僕よりも剣の才能があったり...。)


「どうですか!」


「さすが、セドリック様です。よく相手の動きが見えています。」


「どうだ、ウィリアム、スゴいだろう?」勝ち誇った顔のまま、逆転ホームランを打ったバッターのようにガッツポーズのまま走って来た。


「うん、スゴいよ!」


「...そうか。いつも負けてばっかりだったから、何か新鮮だな。...うん、悪くない。それで、レオ兄ちゃんは?」僕の方をキッと見る。


(レミリエと同じで、何を求めているんだか...。誉め言葉、それとも僕の腕前?)


「スゴかったと思うよ。僕の剣筋と同じくらいかな?」


「何か歯切れが悪いなぁ...。」少し不満そうに言ってはいるが、内心では喜んでいるだろう。ほんと、誰かの妹と同じで分かりにくい。




 どうせ、次は僕の番であろう。シアが結んでいた髪の毛を結び直したからだ。これをする時はいつも気合いが入っている。そして、2人とも剣を取り出した。もちろん、僕のはこれでもかという具合まで付与をしている。


「では、レオ様!」


(やっぱり、ミアじゃなくて、シアなのね。)


「分かりました。」


「まずは、小手調べです。目線を相手に向けたまま、剣先だけで真っ二つにしてください。もちろん、魔法禁止で。」


(いつも通り、頭が痛くなりそうな、文句だ。)


僕がやっているのは亜式魔法剣術。これの根幹は、時期来るまで待つべし、らしい。僕には、よく分からんが。


「レオ様、殺気が漏れています。そのままでは。」


心を無にして、剣に軽く手を添える。この時に力を入れないのがコツだ。あくまで、蝶が止まるように握る。そして、相手との間合いを測る。


(今だ!)


シュッ


僕の準日本風の抜刀術が火を吹いた。実際には、魔力を加えていないので、ただの銀色の火だが。それに、ただの真似事にしか過ぎず、まだまだ剣筋が安定していないが。


「レオ様、腕に力が入り過ぎです。もっと楽にして。」


「はい。」


「あと、頭が下がって上目遣いになっています。このままだと、視野が狭くなり過ぎですよ。」


「分かりました。」




 本当にシアはよく分かっている。少し寂しくなるが、うちのメイドを辞めて、道場を開いた方が良い気がする。


「レオ兄ちゃん、スゴいね。」


「まあ、俺よりはだけど、中々に良かったと思うぞ。」


「そうか、それなら良かったよ。」


(ふぅ、カッコ悪い所を見せずに済んで良かったよ。)


「兄ちゃんは、何流の剣術なの?」


ここで、鹿島新當流剣術とか神道無念流剣術とかと言えたらカッコ良いのだが、僕のは亜式魔法剣術である。うーん、何かパッとしないなぁ。


「皆と同じ、亜式魔法剣術だよ。ちょっとオリジナル要素もあるけど。」


「へぇ、そうなんだ。僕も真似してみようかな。」


「ダメです!」シアとミアの鋭い声が飛んだ。


「どうして?」


「あんなことをしたら、折角教えてきた型が崩れます。本当は、レオ様も...。」


「まあ、そういうことだから、型の中で工夫してみてよ。僕のを真似するより、自分で新しく作った方が楽しいから。」


「はーい。」


剣を大事そうに抱えているウィリアム君と、剣をブルンブルンと回しているセドリック君に挟まれながら、ダンジョンの少し奥へと進んでいった。

さて、レオたちがいるダンジョンとは、どのような場所なのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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