表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第3章 僕と激動と
37/58

37、日常と変化と

 領主会合があったリスター市(リンクス公爵領の中心地)から北東に進んだ。馬車の窓から見える風景に、丸みを帯びた物が増えていった。腰を丸くした木、角ばっていない家、原っぱで飛び跳ねるスライム。都会で色々あったことも重なり、行きの時に増して心が和む。


僕がよく魔物討伐をしていた丘を通り過ぎると、家はもうすぐだ。ここからでも、馬車の知らせを聞いた母さんが、玄関に出てきたのが見える気がする。


「ただいま!」


「おかえりなさい、レオ、あなた。」


「ただいま、オルガ。」


「食卓に夕食が出てますよ。例えば、あなたの大好きな━━」


「いや、言わなくて良いんだ。何があるのか楽しみにしておきたいし、俺には何を作ったのかくらい想像が付くから。」


「着替えたら、冷めないうちに来てくださいね。」


「ああ、毎度毎度ゆっくりだと、料理だけじゃなく、オルガからの愛も冷めてしまいそうだからな。」


こんな時は、父さんと母さんをおいて部屋に戻るのが、最善策だろう。子はかすがいと言うが、うちの両親はすでに蜘蛛の糸でベッタリと張り付いているようだ。




 翌朝から、魔物討伐をすることにした。都会のリスター市では、魔物と戦って魔力を使えなかったため、何だかムズムズする。おかげで、服を2回も着直した。


「レオ兄様、急がないと遅刻しますよ。」


「分かってるよ。」


「先生に失礼ですよ。」


そんな風にド正論をぶつけてくるのが、妹のレミリエだ。早生まれだから、もう3歳になっている。それにしても、時の流れるのは早い。大量発生が起きた時は、まだ赤ん坊だったのに。


「人の顔をジッと見てないで、早く用意してくださいっ。」


(どこから遺伝子を持って来たんだか...。)


「着替え終わったなら、持ち物の確認をする!」


「うん。」


「それが終わったら、身だしなみを整えて!」


「分かってる、分かってる。」妹のレミリエに聞こえないように、ブツブツと(つぶや)く。


(やっと、終わった。)


「お兄様...。」


レミリエが体を寄せて来た。これは、どこで覚えたのか分からないが、頭をポンポンして欲しいらしい。これを忘れると、僕への当たりが一層強くなる...。


「あと、今日()可愛いよ。」


「...ありがとう。」手を後ろに回して、ワンピースをユサユサと揺らしている。


「寝癖が。」


「お兄様!」さっきまで赤かった顔が、別の赤に染まった気がした。


「どうした?」


「男性というのはですね、女性に対してそういう接し方をするべきではありません。特に、私のようなレディーには。それに寝癖が可愛いっていうのは皮肉ですか?そんな恥ずかしいこと言わないでくださいよ。」


(あ、恥ずかしかったのね...。)


「今、他の事を考えたでしょう!そんなことをしているから、まだ女性の気持ちが分からないんですよ。そんなんじゃ、一生結婚できませんよ。まあ、私が世話をしてあげるから良いんだけど...。しっかりと理解してもらわないと、困りますよ!」


(うーん、何だかよく分かんないな...。)


「お兄様...!」


「ん?」


「口直しです!」


「はいはい。」


もう1回、レミリエの頭をポンポンしてから部屋を出た。廊下の時計から鳩が出てきて、そいつも僕を叱っている気がした。もう遅刻だよ、完全に。




 家の庭に出ると、パシャンッと頭上で何かが破裂した音が聞こえた。次の瞬間には、水が降ってきて、何も聞こえなくなったが。


「レオ兄ちゃん、遅いよ。」


「そうそう、待ちくたびれたよ。」


「ごめん、ごめん。家を出る時に、ちょっと色々あってね。」


「ウィリアム様もセドリック様も、レオ様にしっかり誤ってくださいね。」


「レオ兄ちゃん、ごめんね。」しっかりと、僕の目を見て謝っているのがウィリアム君。


「その悪かったな。...でも、遅れたレオ兄ちゃんも悪いんだからな!」何だか、居心地が悪そうにしながら誤っているのがセドリック君。


「分かってるよ。いつか、埋め合わせを持って来るよ。」


「では、始めます。」




 僕たち3人が今しているのは、仮の塾みたいなこと(通称:家塾)である。貴族や金持ちは、9歳になってから始まる学校生活(一部では、訓練とも)に耐えられるように、6歳前後から家庭教師をつけるのが一般的らしい。まあ、うちには、すでに優秀なメイドが2人いるので、わざわざ家庭教師を呼はなかったが。


ついでに、フィリップさん(財務係)の子供がウィリアム君。セオドアさん(軍務係)の子供がセドリック君。2人とも、親の生き写しのような子供で、父さんの気持ちがよく分かって、中々に面白い。

              (第2話、中ほどにちょっとした図があります。)


「今日は、ダンジョンに行こうと思います。もちろん、ご両親に確認は取ってあります。」


「棚からお皿」のように少し沈むウィリアム君と、「棚から百万円」のように喜ぶセドリック君。2人の性格が正反対で面白い。もちろん、僕はカビの生えていない普通のぼた餅で十分だが。


「はい、落ち着いてください。」


「では、ダンジョンに向けて出発します。」


「ダンジョン内での注意事項は、道中でお話しします。」


「まず、ダンジョン内はとても広いので、勝手にどこかに行かないこと。」


「そして、魔法は他の人に当たらないようにすること。」


「他の人が戦っているのを邪魔しないこと。」


「しっかり、自分の体力と魔力を確認しながら、探索すること。」


まだまだ続くが、真面目に聞いていては体がもたないので、景色を楽しむことにした。シアとミアのホースロンが早すぎて、たくさんの線しか見えなかったが。

さて、ダンジョンとは一体どのような場所なのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ