35、友達と首飾りと
僕と少し離れながらも、しっかりとルーク君は隣を歩いていた。時々、僕の方をチラッと見ながら。ここは公爵屋敷、予想を裏切らず、庭はとんでもなく広かった。
「ルーク君、しっかり自己紹介してなかったね。僕はレオ・マングスター、もう少しで6歳だよ。」
「ぼ...僕は、ルーク・ラクターンです。レオさんより1つ下で、11月で5歳になります。」少し下を向いて、両手でズボンを握りながら答えた。
「何か、好きな事はない?」
「僕ですか?」
「うん。まあ、ルーク君は僕の弟みたいなものだからね。」
(いやぁ、うちに妹はいるけど、弟はいないんだよね。)
「弟...レオさんの弟...。」何かをブツブツと復唱していた。
「いや、別に嫌だったら。お友達ってことでも良いんだよ。」さすがに、初手で嫌われでもしたら、この先が思いやられる。
「弟で友達ということで。」
(いや、その2つは同時に存在しないんだけどなぁ。)
「うん、分かった。じゃあ、僕は兄で友達だね。それで、好きな事は?」
「僕は...魔法とか魔物とかが好きです。」
「お、やっぱり兄弟だね。良い場所を知っているから、行こうか?」
「あ、はい、分かりました。」
僕が目指している場所は、僕がこの街で一番好きな場所である。何となく、商店街を歩く人からの目が気になったが、ルーク君と楽しむ方が重要である。
「ここはどこですか?」
「上の看板を読んでごらん。」
「冒、険、者、ショップ?」1文字1文字、ゆっくりだが正確に読んでいった。
「よく読めたね。そう、冒険者ショップだよ。」
「冒険者ショップって何ですか?」
「まあまあ、入ってみたら分かるって。」ルーク君の背中を押しながら、冒険者ショップのドアの方へ歩いて行った。
「じゃあ、ルーク君、ドアを開けるよ。」
「あ、はい。分かりました。」
ドアを開けると、いつも通りに、様々な色、大きさ、形の魔物の素材が見えた。その隣を見ると、冒険者の装備が色々置かれていた。
(ここなら、気に入ってくれるだろう。)
「あれ?」横を見ると、さっきまで僕の服を握っていたルーク君がいなかった。
(ヤバいヤバい、迷子にでもなられたら...。)
周りをグルッと見ると、鉱石が入った棚に噛り付いていた。
「ルーク君。」
「あ、レオさん。」
「どこかに行く時には、僕に声を掛けてね。」
「あ、はい、分かりました。」
「それより、何を見てるの?」
「ここの鉱石が綺麗だなって思って。」目の前で輝いている鉱石を指差しながら答えた。
「じゃあ、好きな鉱石を選んで。記念に買ってあげるよ。」
「えっ、良いんですか!」言葉を言い終える前に、体が動いていた。鉱石が入っている棚をグルグルと回っていた。
上から見たり、横から見たり、一流の鑑定士のようなことをしていた。ある棚の前で、足を止めて、僕に向かって手を振り始めた。
(さて、どんな鉱石を選ぶのかな。)
「レオさん、僕はこれが良いです!」
「えーと、どれどれ。」ルーク君が見ていたのは、トパーズだった。それにしても、様々な色がある。
「レオさん、僕は何色が似合いますか?」
(前世での経験は無いが、間違えたらダメなやつだったなぁ...。)
「うーん...。」やっぱり、人に物を選んであげる時は、緊張する。
「別に、直感で良いですよ。」
「じゃあ、全部で良いんじゃない?」
「え!」僕の口から、そんな言葉が出てくるとは、頭の片隅ででも思わなかったようだった。
「で、でも、1つ10万ウィーズ(約10万円)はしますよ!」
「まあ、そこは任せて。」
僕には付与術があるから、問題ない。勝手に作業すると怒られるので、レジの人に声を掛けておかなければ。
「シエナさん、ちょっと良いですか?」
「あ、レオ君。今年もそんな時期なんですね。それで、何か用ですか?」後ろのカレンダーをチラッと見ながら、話し始めた。
「ちょっとトパーズを使いたいんですけど...。」
「トパーズですね。」
「はい。前回と同じで、使った分だけ払います。」
「何色にしますか?」
「全色で、少しずつしか使わないので、欠片で良いですよ。」
「ぜ、全色ですか...。では、探してきます。」
シエナさんがトパーズの欠片を持って来た。それを1つ1つ秤で量って、それを紙にメモしていった。
「レオ君、準備できましたよ。」
「じゃあ、ルーク君、行こうか?」
「...あ、はい、分かりました。」ルーク君は状況がイマイチ読み込めていなさそうだった。
「レオさん、何をするんですか?」
「ルーク君に、首飾りを作ってあげようと思ってね。」
「え、作るんですか?」思わず、ルーク君は僕の手を強く握った。そして、すぐにワクワクしているような顔付きになった。
(まあ、宝石を買った時に、首飾りにするとか言われたら、ビックリするだろうな。)
「レオ君、ここで良いですね?」
「はい、机と椅子があれば、問題ありませんよ。」
「では、終わったら呼んでくださいね。」
「分かりました。」
付与術を使える僕にとっては、首飾りを作るなんて朝飯前のことだ。まあ、作り方は時間と魔力だけかかる、シンプルなものだ。
①使いたい鉱石を削る。
②その小さい欠片に『結合化』をかけて、丸く固める。
③好きな形になるまで、繰り返す。
④『鋭利化』を付与した針で、穴をあけて、『頑強化』と『柔軟化』をかけた紐を
通せば、完成だ。
「よいしょっと。」
「これで完成ですか?」
「ちょっと待ってね。」
首飾りに変な所はないか、じっくり見てから、ルーク君に渡した。ちなみに、代金は10万ウィーズちょっとで済んだ。これくらいなら、僕のジューサーが頑張れば、大丈夫な範囲だ。
領主会合と領主会議の結果は、どうなったのでしょうか?
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。
今後とも八咫烏をよろしくお願いします。




