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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第3章 僕と激動と
35/58

35、友達と首飾りと

 僕と少し離れながらも、しっかりとルーク君は隣を歩いていた。時々、僕の方をチラッと見ながら。ここは公爵屋敷、予想を裏切らず、庭はとんでもなく広かった。


「ルーク君、しっかり自己紹介してなかったね。僕はレオ・マングスター、もう少しで6歳だよ。」


「ぼ...僕は、ルーク・ラクターンです。レオさんより1つ下で、11月で5歳になります。」少し下を向いて、両手でズボンを握りながら答えた。


「何か、好きな事はない?」


「僕ですか?」


「うん。まあ、ルーク君は僕の弟みたいなものだからね。」


(いやぁ、うちに妹はいるけど、弟はいないんだよね。)


「弟...レオさんの弟...。」何かをブツブツと復唱していた。


「いや、別に嫌だったら。お友達ってことでも良いんだよ。」さすがに、初手で嫌われでもしたら、この先が思いやられる。


「弟で友達ということで。」


(いや、その2つは同時に存在しないんだけどなぁ。)


「うん、分かった。じゃあ、僕は兄で友達だね。それで、好きな事は?」


「僕は...魔法とか魔物とかが好きです。」


「お、やっぱり兄弟だね。良い場所を知っているから、行こうか?」


「あ、はい、分かりました。」




 僕が目指している場所は、僕がこの街で一番好きな場所である。何となく、商店街を歩く人からの目が気になったが、ルーク君と楽しむ方が重要である。


「ここはどこですか?」


「上の看板を読んでごらん。」


「冒、険、者、ショップ?」1文字1文字、ゆっくりだが正確に読んでいった。


「よく読めたね。そう、冒険者ショップだよ。」


「冒険者ショップって何ですか?」


「まあまあ、入ってみたら分かるって。」ルーク君の背中を押しながら、冒険者ショップのドアの方へ歩いて行った。


「じゃあ、ルーク君、ドアを開けるよ。」


「あ、はい。分かりました。」




 ドアを開けると、いつも通りに、様々な色、大きさ、形の魔物の素材が見えた。その隣を見ると、冒険者の装備が色々置かれていた。


(ここなら、気に入ってくれるだろう。)


「あれ?」横を見ると、さっきまで僕の服を握っていたルーク君がいなかった。


(ヤバいヤバい、迷子にでもなられたら...。)


周りをグルッと見ると、鉱石が入った棚に(かじ)り付いていた。


「ルーク君。」


「あ、レオさん。」


「どこかに行く時には、僕に声を掛けてね。」


「あ、はい、分かりました。」


「それより、何を見てるの?」


「ここの鉱石が綺麗だなって思って。」目の前で輝いている鉱石を指差しながら答えた。


「じゃあ、好きな鉱石を選んで。記念に買ってあげるよ。」


「えっ、良いんですか!」言葉を言い終える前に、体が動いていた。鉱石が入っている棚をグルグルと回っていた。




 上から見たり、横から見たり、一流の鑑定士のようなことをしていた。ある棚の前で、足を止めて、僕に向かって手を振り始めた。


(さて、どんな鉱石を選ぶのかな。)


「レオさん、僕はこれが良いです!」


「えーと、どれどれ。」ルーク君が見ていたのは、トパーズだった。それにしても、様々な色がある。


「レオさん、僕は何色が似合いますか?」


(前世での経験は無いが、間違えたらダメなやつだったなぁ...。)


「うーん...。」やっぱり、人に物を選んであげる時は、緊張する。


「別に、直感で良いですよ。」


「じゃあ、全部で良いんじゃない?」


「え!」僕の口から、そんな言葉が出てくるとは、頭の片隅ででも思わなかったようだった。


「で、でも、1つ10万ウィーズ(約10万円)はしますよ!」


「まあ、そこは任せて。」




 僕には付与術があるから、問題ない。勝手に作業すると怒られるので、レジの人に声を掛けておかなければ。


「シエナさん、ちょっと良いですか?」


「あ、レオ君。今年もそんな時期なんですね。それで、何か用ですか?」後ろのカレンダーをチラッと見ながら、話し始めた。


「ちょっとトパーズを使いたいんですけど...。」


「トパーズですね。」


「はい。前回と同じで、使った分だけ払います。」


「何色にしますか?」


「全色で、少しずつしか使わないので、欠片で良いですよ。」


「ぜ、全色ですか...。では、探してきます。」




 シエナさんがトパーズの欠片を持って来た。それを1つ1つ(はかり)で量って、それを紙にメモしていった。


「レオ君、準備できましたよ。」


「じゃあ、ルーク君、行こうか?」


「...あ、はい、分かりました。」ルーク君は状況がイマイチ読み込めていなさそうだった。


「レオさん、何をするんですか?」


「ルーク君に、首飾りを作ってあげようと思ってね。」


「え、作るんですか?」思わず、ルーク君は僕の手を強く握った。そして、すぐにワクワクしているような顔付きになった。


(まあ、宝石を買った時に、首飾りにするとか言われたら、ビックリするだろうな。)


「レオ君、ここで良いですね?」


「はい、机と椅子があれば、問題ありませんよ。」


「では、終わったら呼んでくださいね。」


「分かりました。」




 付与術を使える僕にとっては、首飾りを作るなんて朝飯前のことだ。まあ、作り方は時間と魔力だけかかる、シンプルなものだ。


①使いたい鉱石を削る。

②その小さい欠片に『結合化』をかけて、丸く固める。

③好きな形になるまで、繰り返す。

④『鋭利化』を付与した針で、穴をあけて、『頑強化』と『柔軟化』をかけた紐を

 通せば、完成だ。


「よいしょっと。」


「これで完成ですか?」


「ちょっと待ってね。」


首飾りに変な所はないか、じっくり見てから、ルーク君に渡した。ちなみに、代金は10万ウィーズちょっとで済んだ。これくらいなら、僕のジューサーが頑張れば、大丈夫な範囲だ。

領主会合と領主会議の結果は、どうなったのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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